大学教授二人の発言
もう、ネットの世界では十分に広がっていてご存知の方も多いと思います。
東大の児玉龍彦教授の国会へ招致されたときの発言、大手のマスコミはほとんど報道しなかったということです。私はテレ朝の朝の番組で見ましたが。
動画、または全文を読みたい方、こちらには両方出して戴いています。この件について、医療系サイトでは、児玉先生に感動したという沢山の書き込みがある一方、現地の先生からの抵抗が強く記されています。児玉先生の発言の一部を引用します。
「私ども東京大学には27箇所のアイソトープセンターがあり放射線の防護とその除染などの責任を負っております。それでわたくし自身は内科の医者でして、東大病院の放射線施設の除染などにずっと数十年関わっております。」
「われわれが放射線障害をみるときには、総量を見ます。それでは東京電力と政府はいったい今回の福島原発事故の総量がどれぐらいであるか、はっきりとした報告はまったくされておりません。
そこで私どもはアイソトープセンターの知識をもとに計算してみますと、まず熱量からの計算では広島原爆の29.6個分に相当するものが漏出しております。ウラン換算では20個分のものが漏出していると換算されます。さらにおそるべきことにはこれまでの知見で、原爆による放射能の残存量と、原発から放出されたものの放射線の残存量は1年に至って、原爆が10分の1になるのに対して、あ、すいません、原爆が1000分の1程度に低下するのに対して、原発からの放射線汚染物は10分の1程度にしかならない。
つまり今回の福島原発の問題はチェルノブイリ事故と同様、原爆数十個分に相当する量と、原爆汚染よりもずっと大量の残存物を放出したということが、まず考える前提になります。」
「次にヨウ素131。これはヨウ素はご存知のように甲状腺に集まりますが、甲状腺への集積は成長期の甲状腺形成期がもっとも特徴的であり、小児に起こります。しかしながら1991年に最初、ウクライナの学者が甲状腺癌が多発しているというときに、日本やアメリカの研究者は、ネイチャーに、これは因果関係が分からないということを投稿しております。なぜそういったかというと1986年以前のデータがないから統計学的に有意だということが言えないということです。
しかし統計学的に有意だということが分かったのは、さきほども長瀧先生からお話しがありましたが、20年後です。20年後に何が分かったかというと、86年から起こったピークが消えたために、過去のデータがなくても因果関係があるということがエビデンスになった。いわゆるですから疫学的な証明というのは非常に難しくて、全部の事例が終わるまでだいたい証明できないです。
ですから今、われわれに求められている子どもを守るという観点からはまったく違った方法が求められます。そこで今、行われているのは国立のバイオアッセ―研究センターという化学物質の効果を見る、福島昭治先生という方がずうっとチェルノブイリの尿路系に集まるものを検討されていまして、福島先生が、ウクライナの医師と相談…集めて、500例以上の、前立腺肥大のときに手術をしますと膀胱もとれてきます、これを見まして検索したところ、高濃度の汚染地区、尿中に6ベクレルパーリッターと微量ですが、その地域ではP53の変異が非常に増えていて、しかもその、増殖性の前癌状態、われわれからみますと、P38というMAPキナーゼと、それからNFカッパーBというシグナルが活性化されているのですが、それによる増殖性の膀胱炎というのが必発でありまして、かなりの率で上皮内の癌ができているということが、報告されております。
それでこの量に愕然といたしましたのは、福島の母親の母乳から2から13ベクレル、7名で検出されているということがすでに報告されていることであります。」
「緊急に子どもの被曝を減少させるために、新しい法律を制定してください。私のやっている、現在やっていることはすべて法律違反です。現在の障害防止法では、核施設で扱える放射線量、核種などは決められています。東大の27のそのいろいろなセンターを動員して南相馬の支援を行っていますが、多くの施設はセシウム使用権限など得ておりません。
車で運搬するのも違反です。しかしお母さんや先生に高線量のものを渡してくるわけにはいきませんから、今の東大の除染では、すべてのものをドラム缶に詰めて東京にもって帰ってきています。受け入れも法律違反、すべて法律違反です。このような状態を放置しているのは国会の責任であります。」
「第三番目、国策として土壌汚染を除染する技術を、民間の力を結集して下さい。これは例えば東レとかクリタだとかさまざまな化学メーカー。千代田テクノルとかアトックスというような放射線除去メーカー、それから竹中工務店などさまざまなところは、放射線の除染に対してさまざまなノウハウを持っています。こういうものを結集して、ただちに現地に除染研究センターを作って、実際に何十兆円という国費をかかるのを、今のままだと利権がらみの公共事業になりかねない危惧を私はすごくもっております。
国の財政事情を考えたら、そんな余裕は一瞬もありません。どうやって本除染を本当にやるか。七万人の人が自宅を離れて彷徨っているときに国会は一体何をやっているのですか。以上です。」
これまで「安全だ。ただちに健康被害はない」と言い続けてきた御用学者さんたち。これもその一部を引用します。以下、長崎大学の山下俊一教授の講演録からです。この人は、福島県のアドバイザーとして県内各地を安全だという講演をして回ってこられました。
「これから福島という名前は世界中に知れ渡ります。福島、福島、福島、何でも福島。これは凄いですよ。もう、広島・長崎は負けた。福島の名前の方が世界に冠たる響きを持ちます。ピンチはチャンス。最大のチャンスです。何もしないのに福島、有名になっちゃったぞ。これを使わん手はない。何に使う。復興です、まず。震災、津波で亡くなられた方々。本当に心からお悔やみを申し上げますし、この方々に対する対応と同時に、一早く原子力災害から復興する必要があります。国の根幹をなすエネルギー政策の原子力がどうなるか、私にはわかりません。しかし、健康影響は微々たるものだと言えます。唯一、いま決死の覚悟で働いている方々の被ばく線量、これを注意深く保障していく必要があります。ただ、一般の住民に対する不安はありません。」
「放射線の影響は、実はニコニコ笑ってる人には来ません。クヨクヨしてる人に来ます。これは明確な動物実験でわかっています。酒飲みの方が幸か不幸か、放射線の影響少ないんですね。決して飲めということではありませんよ。笑いが皆様方の放射線恐怖症を取り除きます。でも、その笑いを学問的に、科学的に説明しうるだけの情報の提供がいま非常に少ないんです。」
広島・長崎の被爆者の、にこにこ笑っている人とそうでない人にこんなに差があったというデータがあるのでしょうか。チェルノブイリの子どもたちの甲状腺がんは、笑っている子とそうでない子にも差が有ったのでしょうか。動物実験、そのデータを示して欲しい、放射線の害というのは、もっと物理的なものでしょうと、私はそう思います。講演録全文はここにあります。
もうずっと前、約15年になるでしょうか。兵庫県の八鹿高校に講演に行ったときに庭に沢山咲いていた芝菊を少し分けてもらって別府の我が家に植えました。一週間前に帰ってみると、こんなに広がって、塀をぐるりと囲むように咲いていました。たくましく、きれいに生き続けています。
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コメント
暑い中お忙しい毎日と思います
教授という方にも様々いらっしゃいますね
「笑いで放射線被害が少なくなる」なんて
データ分析のスペシャリストの言うことなんでしょうか?そんなことで、
チェルノやカザフのヒバクシャ、甲状腺がんなどで苦しんでる子どもたちが怒りますよ
ところで、先日、NHk「白熱教室ジャパン」という番組で、熱く、原子力問題について語られていたのですが
その主催者の先生が「今までの反核運動はダブルスタンダードで原爆は反対だが、原発は大丈夫というすすめ方だった」というような趣旨の発言があり
ヒバクシャの一人がそんなことはないです
というやり取りがありました
発言自由でしょうが、今までの反核運動の基盤について、簡単にダブルスタンダードだと東大の先生が言うとそういうスタンスですすめてきたんだと思われるのではないでしょうか?
違うと思うのですが、先生はどう思われますか?
投稿: ゆみ | 2011年8月12日 (金) 11時32分
ゆみさま
私は残念ながらその番組を見ていないのですが。でも、今年の8.6関連の記事には、そういう論調が多かったですね。核兵器はダメだけど、原子力の平和利用には触れないと、そんな姿勢で被爆者運動がなされてきたと。そんな記事を書く人は、認識不足、無知なのだと思います。原水爆禁止運動と被爆者運動をごっちゃにしているのでしょう。ほとんどの被爆者は、原発にも反対して来ました。反原発の運動を粘り強くして来た人たちのことは見えないのでしょう。
まして、学者なんて、机の上で事態を都合よく見ているだけ。被爆者の反論があったのは、良かったですね。ゆみさま、コメント、本当にありがとうございます。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2011年8月14日 (日) 10時10分