「熱討ちゅうごく」について。
どうにも胸のもやもやが解決しないので、ここに書きます。私が、これだけは残して欲しいと願っていながらも、見事に削られてしまったのは、次のような発言です。
「ここは広島でしょう。一番に考えなければならないのは、”いのち”だと思います。チェルノブイリでは、4年後から子どもたちの甲状腺がんが爆発的に増えました。私は、今、福島の子どもたちがとても心配です。国は国民の”いのち”を一番に考えて政治を行わなければならないし、私たちは、私たちの命を一番に考えて選択しなければならないのではないでしょうか」
これが残らなかったのが、残念で・・・。私以外にも二人の医師が参加していました(それも小児科医!!)が、お二人とも原発は必要と、そしてコストだとか言いながら、この子どもの”命”の発言が全くなかったのが、とても残念でした。
それから、「安全対策」がみんなに知らされているかという質問のところで、島根原発では「500ヵ所以上もの点検漏れ」をしていたことがこの事故の前に分かったけれど、そんなことで、そもそも電力会社への信用がなくなってしまっているところで、と言ったその「点論漏れ」をすっぽり落として「信頼できない」というところだけが残ったので、根拠がなくなってしまって・・・。
ほかにも、私が見学に行った地熱発電のことや、会社、工場は、自らの電力を自分でまかなうくらいの努力が必要という具体例等、発言はいっぱいしたのですが・・・。
しかし、これは事前にわかっていたこと。何度も言うように、番組を作るのは「NHK」であって、私たちはあくまでも作るための材料を提供しただけ。そう自分にいいきかせながら。
でも,ありがたかったのは、ひどい発言を(電波に乗らなかったのはもっと沢山あったのだけれど他の人の発言については、表に出なかったものをあれこれ言うのはマナー違反なので言いませんが)いくつか取り上げてくれたこと。この辺にNHKの番組を作った人たちの誠意を感じ取ることが出来ました。
たとえば「民主主義なのだから、もし原発に反対なのならそこから引っ越すことが出来たはず」と言ってのけた女性。これに牛を飼っていて、出荷停止にされ、毎日大量の牛乳を捨てながら、ついに自殺してしまった男性が重なります。牛と共に、どこにでも引っ越せばよかったのだといえるのでしょうか。
多重防御で安全策が取れていて、これだけで被害がすんだのはさすがだと言ってのけた大学院の男性。「安全だといわれるのだから安全なんですよ。」と言った男性。
これらの発言が、福島から避難してきている人たちをどれだけ傷つけたか、私はその場に参加していながら、そのことばかりが気になっていました。
原発が賛成と言う人たちの中に、このような人たちがいるというのが、よく分かりました。その意味では、やっぱりNHKに感謝しなければ、と思います。
沢山の感想をありがとうございました。今、私はいっぱいいっぱいでお一人ずつのお返事を書くことが出来ない状況で心ぐるしく思っています。ごめんなさい。もう少し時間を下さいね。
私は、これから全国の児童養護施設の職員の方たちの研修会です。今回の震災で沢山の子ども達たちが親を亡くしています。その受け入れと心のケアはどうなのか、その辺りも聞いて来たいと思っています。
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コメント
今回の原発事故の報道ほど嘘で固められたものはないと呆れて見ていますが、その中では、今回のNHK広島の番組はよく出来ている方だと感心しました。あれが今できるギリギリのところではないでしょうか。
河野先生が番組で「必要なのは電力で原発ではない」と言われたのはまさにその通りで、逆に原発があるから電力が高く不安定になっている事実がもっと知らされるべきです。
番組で中国電力の原発依存度が15%になっていましたが、あれは2009年に原発2基が動いていた時の数字で、今は一基だけなので8%、昨年は全て止まっても電力不足はなく、今年も8%以上の余裕がありますから、全ての原発が止まったところで誰も困りません。
欧州放射能危機委員会の科学担当幹事クリストファー・バズビー教授が計算したチェルノブイリ事故に因る癌の死亡者数は140万人です。 その他にもありとあらゆる病気が増えていると言われています。それが日本では子どもの甲状腺がんしか無かったことになっています。
現状を見る限り、原発は頻繁に事故で停止しており、ウランの埋蔵量は数十年しかなく、日本においては使用済み核燃料の保管場所も、再処理も、再利用も、最終処分も全く目処が立っていません。 フランスでも今まさに水不足で半数近くの原発が止まるかもしれないという危機に瀕し、アメリカではレベル4の原発事故が進行中です。それほど脆弱で不安定なエネルギーです。
更にエネルギー政策の9割の予算が原発に投入され、原発を誘致した市長に「50年先はカタワばかりが生まれるようになっても後悔しないだけのお金がもらえる」と言わせるだけの膨大な税金が投入されています。
これだけ脆弱で高コストで危険なエネルギーを選択する理由はどこにもありません。
投稿: 松田 | 2011年6月19日 (日) 11時58分
誤解のないように補足しますが、私は電力が足りているから原発を廃止すべきだと思っているわけではなく、あくまで誰かの犠牲の上に成り立つ利便性を求めようとは思わないというのが本旨です。
日本人は財政負担だけでも大きなものを未来の子ども達に残す=未来の子ども達からお金を奪い取っている、わけですが、命まで奪おうとしているのは余りに酷いと思うわけです。
投稿: 松田 | 2011年6月19日 (日) 21時48分
松田さま
いつも、貴重な情報をありがとうございます。その通りだと思います。政治をつかさどる人たちは、もう、いいかげんに目がさまさなければ、と思います。原発が止まるとすべての電気が止まってしまうような宣伝に載せられてしまっているのですね。今ある発電力を総動員すればしのげるし、その間にも水力発電や太陽光発電を広げていけば、十分に対応できるのに。メディアはもっとそれらを話さなければなりませんね。また、教えて下さいね。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2011年6月21日 (火) 08時34分