緊急避妊薬がやっと使えるようになりました。
このブログでも度々書いてきましたが、いわゆる「アフターピル」、緊急避妊薬がやっと日本でもこの五月の末から使えるようになりました。本当にやっとです。これまで世界中のほとんどの国で使われていたのに、日本だけ、本当に日本だけがこの薬の使用を許可されていませんでした。
だから、日本では、代わりに中用量ピルを四錠から六錠も飲むという、副作用が強く、しかも有効性が低い方法を取るしかありませんでした。
レイプされた、またはコンドームが破れてしまったというような緊急の事態が起きたなら、その72時間以内に「ノルレボ錠」を二錠飲みます。
日本の治験での有効性は81.0%。臨床試験を行ったのは63例。そのうち1例が妊娠しました。世界の臨床試験では、1198例に同じ種類の同じ量の一回投与をして、うち16例が妊娠。妊娠阻止率は84%でした。
それにしても、日本でたった63例の治験をするだけで、どうしてこれだけ認可までに時間がかかったのか、と思います。10年も前から取り掛かっていたそうですが、認可までにはいろいろと政治的な動きがあって、大変だったようです。
やっと認可されて嬉しいのですが、それでも、何とその薬が高いのです。薬屋さんからクリニックに入るのが、一回あたり一万円なのだと。びっくりです。これだと、若い人にはなかなか難しいでしょう。レイプされたら、早く病院に行ってお薬を飲んで妊娠を防ぐこと、と言っても、お金がないと・・・となってしまうのではないかと心配です。
性犯罪の被害者には現在、救済制度があって、初診料や緊急避妊のお金は行政が助成してくれるようになっています。しかし、これは警察に被害届をした場合のみです。多くの被害者が泣き寝入りしている現在、せめて妊娠は防ぎたいと思っても、お金がないためにためらうことになってしまわないか心配です。
原価はうんと安いのに、日本ではなぜここまで高いのか。それには、いろいろと事情がありそうです。
今回、イギリスでの若年の妊娠を防ぐプロジェクトを日本に紹介している方とお話ししました。そのイギリスでのことも含めて、明日もお話しいたします。
一昨日のランチはクリニックのすぐそばのケンタッキーフライドチキンで。照り焼きバーガーとアイスコーヒーです。二階のカウンターで外をみながら食べました。これまで行ってみたかったけれど、買い方が分からないので、躊躇していました。
やってみると簡単なのでほっとしました。セットか単品か尋ねられました。どう違ううのですか?セットにはポテトがついています、と。ポテトはいりませんといったら、それなら単品だと。そんな会話も初体験だから、緊張しましたが。計620円でした。美味しかったですよ。
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コメント
あまりにも安いと安易に使われそうだからじゃないでしょうか?
もうコンドームは要らない。と、ナマでする子が増え
性感染症が増えて仕舞わないために、わざと高くしている。
もう一つは、悪代官への袖の下資金。な~んちゃって
解っちゃいないのに勝手に想像してみました
投稿: ⑦パパ | 2011年5月27日 (金) 14時32分
河野先生こんにちは。
いつも参考になる記事をありがとうございます。
値段の問題,救済制度の制限について,先生の心配に同意します。
ところでちょっと疑問に思ったので教えてください。
日本国内での有効性81.0%は何を意味しているのでしょうか?
臨床試験63例中1例だけが妊娠で62例で妊娠を阻止できたので62÷63×100=98.4%ではないかと思ったのです。
妊娠阻止率と有効性は異なる概念のように感じましたが,
この場合の「有効」はどのように定義されているのでしょうか?
投稿: yu_k | 2011年5月28日 (土) 07時59分
⑦パパさま
そう、その通りと思います。でも、それは、設定を決める側の論理。そして、男の論理。女性にとって産婦人科に行って緊急避妊をと訴えるだけでもとてもハードルが高いことなのですね。その女性たちのことを考えると、せめて値段は低くしてあげたいと思います。生でして、産婦人科で薬をもらえ、という男の多いこと!こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2011年5月28日 (土) 08時37分
yu.kさま
コメント、ありがとうこざいます。私の書き方は少し乱暴でしたね。世界の妊娠阻止率も同じなのですが。
妊娠阻止率:月経周期ごとの妊娠確率から求めた妊娠予定数を用いて算出した値です。具体的には
妊娠阻止率:(妊娠予定数ー実際の妊娠例数)÷妊娠予定数×100(%)
妊娠予定数:各性交日の推定妊娠例数(性交日の妊娠確率×性交人数)の総和
となります。聞いてくださってありがとうございました。これからもよろしくお願いします。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2011年5月28日 (土) 08時45分
河野先生,お返事ありがとうございます。
なるほどそういうことなのでしたか。
人数の比率ではなく,妊娠可能回数に対する比率なのですね。
了解しました。
投稿: yu_k | 2011年5月28日 (土) 10時52分