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診察室で。

 いろいろと忙しくしていても、毎日ちゃんと診療をしています。他の活動は、診療の合間、休診日や夜にすること。これは原則です。

 今日は、久々に診察室のことを書こうと思います。それは昨日があまりに強烈だったからかも知れません。このごろ特に増えた患者さんは、親にちゃんと育てられていない子と風俗の子なのです。

 愛情を持って育ててもらっていない子は、何かにすがるように異性を求めます。まるで彼女自身の居場所を求めているかのように。でも、自分のその思いが、相手にも伝わっているとは限りません。当然、とてもしんどいことが彼女にのみ起こります。

 そのしんどいことが起こったときに、自覚を持ってくれればいいのですが、それでもまだ相手を信じようとしては、さらに傷ついて行きます。これまで辛い中で生きてきた、そこで培われたものを、ほんの一時期関わる私の言動でガラリと変えるなんてできるわけがありません。

 それでも、ほんの一時期でも、一生懸命に自分に関わってくれた大人がいるということが、彼女の中に少しでも残ってくれれば、と思います。いつかまたしんどいときに、あそこに行ってみようか、と思ってくれますように、と。そう願いながら治療をします。

 昨日来た患者さんの個人情報を話すことが出来ませんが、でも、親だけでなく、すべての大人たちがもっと意識を持って子ども達に関わっていかなければ、という焦りがあります。診察室の中は、社会の縮図です。言っても言っても変わらない社会が居続けます。

 ああ、またこの子もかと風俗に足を入れてしまう女性にも次々と出会います。あまりに無防備で、自分がバラバラになってしまうのではないかと危惧します。もっと前から風俗で働く女性は、しっかりプロ意識があって、自分の体の管理にも熱心です。でも、誰でもできる、素人そのものの女性は、自分の体の管理をしながら主体性を持って働いているわけではありません。余りに無防備で・・・。

 昨日の一人は、私が引いてしまいそうになるくらい、ぐっちゃぐっちゃでした。産婦人科歴39年で初めて出会うほど、ぐちゃぐちゃです。ため息が出ます。こうなるまで、どうしていたのか、辛かったでしょうに。それに、こんな状態で風俗の仕事をしていたことが、信じられません。客は、どうしてこんな女性を相手にできるのか、それも信じられません。何とか、治療をしますが、それでも、完治させる自信はありません。

 こんな女性に出会うと、自分の仕事に無力を感じてしまいます。これまで私は何をやってきたのだろうか、と思ってしまいます。

 今、多くの大学生がアルバイトで風俗嬢になっています。親は何も知りません。まさか、自分の子がと思われているでしょう。私は、彼女達に必要なのは、プライドだと思っています。ぐっと胸を張って前をまっすぐに見つめながら生きていく、そのプライドです。たとえ貧乏でも、自分を売り渡したりはしない、そのプライドです。それは自分を肯定的に捉えないと、持てないものでしょうね。また、いつかこの当たりを詳しく語ってみたいと思っています。

 昨夜は久しぶりに心の通じ合う人たちと、深夜まで語り明かしました。すこーしだけ気持ちが前向きになれました。きょうは、米澤さんのお話を謙虚な気持ちで聞こうと思います。

2011_04070001  すぐには出せなかったのですが、もうこれだけ時間が経ったらいいでしょう。平和公園で。お会いできて、とっても嬉しかったです。私のお宝写真の一枚になりました。ありがとうございました。


「体の相談室」と「著書」の販売があります。
ぜひ、覗いてみてください。

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コメント

先生、こんにちわ。

そうですね。今の時代、「バイトしよう」=「飲み屋さん」ではなく(お金がいるとき)「バイトしよう」=「風俗」なのだそうです。
手軽ですぐできるから。そしてお金になるから・・・。

私は、そんなすばらしく美しいわけではないですが(笑)私に指一本触れるのにいくらいると思うの?!くらいには女性として守ってはいるので、なかなか理解できないのですが、
安易になっている時代みたいです。

私の昔の知り合いにも、いました。
女優さんなみにキレイで、優しいコですが
実は風俗をしていると・・・しばらくしてカミングアウトされました。
やめたくても、やめられない。
くるってしまった金銭感覚、寂しさ、それを満たすためにする風俗での仕事行為は、それは、リストカットと同じ「自傷行為のひとつ」と同じだと、
ようやく足を洗った後に言っていました。

大人は、「何事も経験」だと言います。
私もそう思っていましたが
人生「しなくていい経験」もあるのです。
どうあがいても、それは消えず、「いい人生経験だったね」「いい勉強になったね」とはなかなか言えず、友人・人生・感性・素直な心・・・自分の体。失ったものの大きさのほうが大きいこともあると思います。

ただし、それを選んだのは自分なので
たとえ失ったものが大きくても
腹を決めて生きていかなければいけません。
それはもう、自己責任だと思います。

できることなら、小学生のうちに、その「危機感」と「腹をくくる責任」を伝えることができればいいと思います・・・。
人間、生きなくてはいけないのならば、
できれば自分に楽に、自分にいいことで生きれればいいのですが。。
人間、死ぬ時は一人なんです。
寂しいからって他人に求めても
満たされていない親からの愛情ならば
それは親と自分しか解決できないし、他人は他人です。自分の欲しいものが与えられるわけがないと思います。だからこそ、繰り返すのでしょう。「まだ足りない」「まだ足りない」って・・・。気づいて欲しいです。
自分を満足させられるのは、自分でしかいないことを。

投稿: A | 2011年4月17日 (日) 15時51分

仕事は何でも義務と責任が伴う大変なものです。楽して大金を稼げるのではありません。

投稿: リラックマ | 2011年4月17日 (日) 22時13分

河野先生こんにちは。
大変なお仕事、責任を抱えられて、本当にお疲れ様でございます。
先生の患者さんが、ご自身の治癒力と、先生の治療で病気を克服され
心身の健康を取り戻されることを願っています。

投稿: ひ | 2011年4月18日 (月) 00時07分

先生、こんばんは。夜分遅くに申し訳ありません。
ご無沙汰しております。

お忙しい中ご活躍されていて、本当に先生はすごいなぁと思っています。

私の近況を書くこと、お許しください。読んでいただけると幸いです。
先日、子宮けいがんの検診に行って参りました。手術したのとは違う病院に行ったのですが、診察台に上がった瞬間涙がとまらなくなり、しゃくりあげてしまいました。いろいろ思い出して恐かったのと、悲しい気持ちでいっぱいでした。先生に、呆れられたと思います。恐怖心が体に刻み込まれていることを感じました。そして、情けない話ですが、病院に行くのが怖くて、結果も聞きに行けていません…。鎮痛剤も切れたし、行かなければならないとは思うのですが…体が震えます。


それから、生理前に、ものすごく、不安になるようになりました。セックスをしていないのだから、妊娠していなくて当たり前だと思うのですが、何故か妊娠している気がして、仕方ないのです。自分でもおかしいとわかっているのです。もう一度手術を受ける夢を見ては、精神が疲れる日々です。毎月生理前はこうなって、友人に泣きながら電話してしまい、迷惑をかけています。早く、安定した心で生活したいです。


本業の学業ですが、去年一年間の単位はすべて取得できました。こちらで皆様に暖かく励ましていただいたおかげです。皆様には本当に感謝しています。私のような人間にも優しくしてくださる方がいることは私の勇気になってくれます。

進路は、教員採用試験に向けて勉強しています。しかし、迷いだらけで、まだまだ集中できていません。いつになれば精神が安定して物事に集中できるのか、気持ちばかり焦っては、生きてることに嫌気がさす、の繰り返しです。やはり、教員になるには、私は不純過ぎると思います。


本当に私の話ばかりになってしまいました。申し訳ありません。ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
朝は寒いですので、お体には、お気をつけてください。

投稿: まな | 2011年4月18日 (月) 00時42分

Wみよちゃんじゃないですか!
今彼女はフランスですよ。

投稿: ⑦パパ | 2011年4月18日 (月) 14時03分

先生、こんにちは^^
いつもこちらで勉強させていただいています。
うまく言葉を紡げないかもしれませんが
肯定感のお話が出ているので、私が感じたことを書かせていただきますねっ。
今・・・若い子は自分を大切にするってことができなくなっていたり
河野先生がおっしゃられているように
肯定感が希薄のまま大人になっている人が多く居ます。
非行に走ったり、犯罪に手を染めてしまう子の中に
実は発達障害の子が何のケアもされないまま大人になっていく過程で起こりうるケースが多いと聞きます。
幼児虐待も原因として発達障害が絡んでいることも多く
このような話を聞く度に、小さいうちからのケアと
多くの人の理解が必要だと痛感します。
また親の愛情ってすごく大事なんだなぁ~と身が引き締まる思いです。

その患者さんが発達障害だと断定するわけではありませんが
もしかしたら、道徳的なものが身についていないのかもしれません。(きちんと理解できるように教えてもらっていない)
だから自分の意思で相手にノーと言ったり出来ないのかもしれませんね・・・。

※全ての発達障害児・者が世の中から逸脱したことをすると言っているわけではありません…。

投稿: Meg-ing | 2011年4月18日 (月) 17時19分

いつかの援助交際のタイプがかわったのもでしょうか。目の前のお金に目がくらんで自分の中で一番大切なものをも簡単に。。。。そして気付いた時には身体も心もボロボロに。。。
麻薬とにたかんじがします。
なかなか足を洗えなくなる状態。
女性として思うことですが、河野先生の名が有名だから「神の手」というか神頼み的に先生のクリニックに駆け込んでくるのでしょうね。
先生の偉大さを感じるとともに「河野先生がいるから。。。」駆け込み寺的に思っている風俗嬢もいるのではないでしょうか。。。危険だし自分で自分を守らないといけないと思います。
「勇気をだす」という勇気が必要な気がします。そのためにはたくさんの努力と支えが必要かと思います。
どうぞこれ以上苦しむことのないよう願うばかりです。同じ女性として。

まなさん
自分の過去が目指す将来にストップをかけているようですが、それにも「勇気」を出してみてはいかがでしょうか。逆にそれが「支え」となって、過去があるから今の自分がある…とは考えられないでしょうか。。。。私は教員試験に頑張るまなさんは素敵だと思いますよ。
生意気なことを横から口出しして申し訳ありません。

投稿: けいちゃん | 2011年4月19日 (火) 08時38分

⑦パパさん同様、みよちゃんだ~と思いました。
高校の同窓生です。

美代子先生とみよちゃんのつながりを
次回お目にかかった時にお教え下さいね。

場違いなコメントで申し訳ありません<(_ _)>

投稿: 波 | 2011年4月19日 (火) 16時30分

まなさんへ

今回の大地震と津波で大勢の方々が亡くなりました。

自らの夢を実現することもできず、家族、仲間、仕事、思い出、本当に大切な様々のものを残して亡くなりました。

どんなに絶望で苦しんで亡くなったのか想像もつきません。

家族、仲間、仕事、住居、家財道具などすべてを失い、それでも頑張る人々も大勢いらっしゃいます。

それに引き替え、今生きることができて、夢を追うことができる私たちは幸せです。

今回の大震災で亡くなられた方々や、すべてをなくされ、それでも必死で生きている方々のためにも、必ず夢を実現させるべく、一緒に頑張りたいです。

投稿: リラックマ | 2011年4月19日 (火) 18時22分

波さん

じゃあ波さんはパパの1つ後輩ですわw

投稿: ⑦パパ | 2011年4月20日 (水) 13時42分

⑦パパさま、波さま
ええ、そう言えば同じ名前でした。私がコンサートに行ったこともご存知でした。秋葉さんが最後の慰霊碑に献花されるときにご一緒したものです。お会いできて、とても嬉しかったです。高校つながり、私もそうですが、大切な仲間ですね。⑦パパと波③も繋がったのですね。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2011年4月23日 (土) 08時04分

Aさま
私は風俗で働いている人も沢山診ています。一つの職業として、誇りを持って働いている人もあります。その人たちには何も言うつもりはありません。ただ、若い人がそんな覚悟もなく、さほど苦労なく多くのお金を得ることができるからと、そこに自分自身のプライドを捨ててしまっている姿を見て、悲しいのですね。A様の言われること、すごく分かります。そんな伝え方ができれば、と思います。コメントありがとうございます。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2011年4月23日 (土) 08時09分

リラックマさま
 本当にそうですね。でもそれは彼女たちが客から無理を強要されたり、病気をうつされたりして初めて気づく。そのときには、暴力団の手の中にすっかり落ちてしまって身動きできなくなる、そんな彼女達が心配でたまらないのです。コメントありがとうございます。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2011年4月23日 (土) 08時17分

ひさま
ありがとうございます。ええ、頑張ります。彼女、ちゃんと通ってきてくれていますが、次々と病気が見つかり、なかなか治癒の方向が見えて来ません。でも、通って来てくれるのが救いです。はげましながら治療をしています。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2011年4月23日 (土) 08時22分

Meg-ingさま
コメントありがとうございます。いつもブログ、楽しく読ませていただいています。Agくんが育って行くようすを見るがとても楽しいのです。同時にお母様の努力もすごいと思います。
 ええ、あきらかに発達障害だなあと思う子もいます。ただ、自分を大切に生きることができるかどうかというのは、もうちょっと何か違うような気がするのですね。お金の価値観、プライドの持ち方、自分の周囲の人達との繋がり方などなど。何を大切に生きるかということを、育つ過程で考えることがなかったような・・・。私もうまく表現できないままなのですが・・・。ただ、これからも彼女達には向き合い続けますね。いつかお会いできると嬉しいです。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2011年4月23日 (土) 08時33分

まなさま
久々のコメント、ほっとしたし嬉しかったです。まだまだ立ち直りには時間がかかりそうですね。でも、ここにけいちゃん様とリラックマさまがあなたに向けてコメントしてくださっています。そう、沢山の亡くなった方に比べて、あなたも私も生きている、夢を目指すことができるということを、ありがたく思わないといけませんね。頑張って教師を目指して下さい。産婦人科に行くのがつらければ、しばらくがん検診はお休みしても大丈夫ですよ。電話で結果を聞いてください。せっかく検査をうけたのですから。忙しくて、いくことが出来ないからと言えば大丈夫ですよ。今回の検診に異常がなかったなら、二年は大丈夫ですからね。しばらく近づかない方がいいかも。試験の朗報をお待ちしますね。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2011年4月23日 (土) 08時38分

けいちゃんさま、リラックマさま
まなさまにコメントありがとうございました。とても励ましになったことと思います。生きていること、それだけでありがたいことと思わなければ、と思います。辛かったことを励ましてして。感謝です。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2011年4月23日 (土) 08時41分

>>やはり、教員になるには、私は不純過ぎると思います。

まなさん。

私ももう30歳目の前ですが
20年以上かかった自分の心のトラウマとの葛藤。
そして、また自分へ甘かった過去の過ちを過去にできるのに10年近くかかりました。
未だ解決できてはいませんが
受け止めて共存しています。
決して消えませんが、だからこそそこから学び取り、私だから伝えられることもあると気づき、動いています。

マナさんは、まだ葛藤の真ん中にいると思います。身動きがとれず、苦しいと思います。
自分の苦しさのあまり他人を傷つけてしまうこともあるかもしれません。ひとりぼっちになり
そんな自分がいやになるときもあるかもしれません。
でも、今はそれでいいんです。
しっかり苦しんでください。
自分とケンカをしてください。
つらいけれど、それを乗り越えられるからこそ与えられたんです。
それを乗り越えたら、きっと他の人よりも痛みもわかり、正攻法も、汚い手も両方わかると思います。
キレイなことしか知らない人は、きれいな考えを押し付けます。それじゃ意味ないと思っています。
勉強を教えるのが教師ではないと思います。
マナさんだからこそ、教えられるものもあると思います。
教師というのは、教えるのではなく、「若い世代に伝えていく」ことだと私は思います。

でしゃばって口出してすみません。

投稿: A | 2011年4月23日 (土) 19時21分

先生、最初の続きです。
何度もすみません。

その足を洗ったコですが
なんとまぁ。また場所を変えて行っていました。

一時期、地元に戻り、恋人もでき
少しふっくらもしていたのですが
何年か連絡をとっていないうちに・・・。

気になって、アダルトサイトをのぞくと
いました。
あんなにキレイなコなので
すぐに目立ちます・・・。

本人が危機感を感じてくれないと
無理なのでしょうね。
もう、私とも世界が違うのだと
自然と距離があいていたのですが
悲しかったです。

お金も寂しさも、欲も。
使い方を間違えると麻薬と一緒。
そして、彼女の周りの男友達や女友達。
彼らも彼女をどうして止めない?

同じニオイがするのか・・・と
それもまた悲しいです。


彼女を知る男性が
彼女がそういう女性だと知っていながらも
「かわいいから」と仲良くしていました。
そういう人しか周りにいないのかなと
それも寂しく思いました。

すごく素朴で大人しい子が
お金が欲しいからといって風俗をはじめ。
日に日にブランド品で塗る固めるように派手になっていっていました。
結局なんのためにお金が欲しいのか・・・。

私の「師」である大学の先生がおっしゃってました。日本の義務教育では「お金の話」をしない。日本人は、どうもお金の話は汚いものだと避けたがる。外国では小学生でお金の使い方を学ぶ。と。
本当にそうだと思います。
お金がいったいどこから生まれてくるのか。
なんのためにお金がいるのか。
自分にとってお金は何か。
これを、今の若い人に問いかけた時。

きちんと答えられる人は
いったい何人なのでしょうか。

ただ漠然に「お金がほしい」「必要」。
寂しさを埋めるための、ストレス解消。

そういう意識のままでは、
この先も「贅沢な日本」は避けられないと思います。今だからこそ、こんな状況下だからこそ、見直してほしいです。
先生、どうおもわれますか?

投稿: A | 2011年4月23日 (土) 19時38分

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