緊急避妊薬正式承認について。
昨日は、東京で「避妊教育ネットワーク」の研究会でした。全国から仲間が集まり、様々な内容の検討をしました。
中でも、特にこの2月23日に正式承認された「緊急避妊薬」についての勉強をしました。
この緊急避妊薬は、以前にも書いたことがありますが、国連加盟国192カ国の内、承認していない国は、日本、イラン、アフガニスタン、ペルー、北朝鮮など七カ国だけだったのです。日本は、これでやっと世界で193番目の承認国になりました。
コンドームが破れた、レイプされた、などの緊急の事態が起きたときに妊娠を防ぐ目的で服用するお薬です。
これまで日本は、この薬が承認されていなかったため、代わりに中用量ピルをどーんと一度に一日量の4倍も飲むということで代用して来ました。そのため、ほとんどの人がひどい吐き気、嘔吐などの副作用に苦しんで来ました。
正式に承認された厚労省の薬事審議会で反対の人は、何と女性ばかりだったという話も伝わって来ました。まあ、そんな人を選んでいるということでもあるでしょう。
「避妊措置に失敗した、または避妊措置を講じなかった性交後に緊急的に用いるものであり、通常の経口避妊薬のように計画的に妊娠を回避するものではない」
「計画的に避妊する場合は可能な限り避妊効果の高い経口避妊薬などを用いて避妊すること」
などと添付文書に記されます。
経口避妊薬での避妊の効果は、99,41%~100%です。失敗率は0~0.51%。
この度承認された緊急避妊薬では、日本の治験では81%。国際的には84%の効果とされています。これを見ただけでも、計画的な避妊に使うものではないということが分かっていただけると思います。
それでも、妊娠しても産めない、育てられない女性、特にレイプされた、最近特に増えている明らかにDVでの避妊のない性交などで、妊娠の恐怖で苦しんできた女性への大いなる福音となるでしょう。
それにしても、世界で193番目だなんて。子宮頸がんの予防ワクチンは100番目でした。女性行政、性に関しての行政がいかに不自由なままであるのか、思いを新たにしました。
これらの使用は、世界的にみても、「性教育」と対のものであるべきであって。性教育で中学生が避妊について学ぶことも全くない今の現状で、この薬の情報のみが一人歩きすることのないように願っています。
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コメント
はじめまして。
193番目・・・
日本が、性に対して、先進国ではなく、
途上国であるというのが、何となく分かるような数字。
緊急避妊薬が使えるからって、
「避妊をしなくても良いや」と、
訳の分からない勘違いする人が増えない事を願います。
投稿: おくの | 2011年3月 7日 (月) 18時12分
おくのさま
私は、「訳の分からない勘違いをする男が増えないことを願います。」と言いたいですね。実際、診療の場では、そんなケースが圧倒的なのです。コメントありがとうございます。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2011年3月 8日 (火) 08時05分
バイアグラの認証の早さに比べると、なんでこれまで認められてこなかったのか不思議です。ピルの承認もずいぶんかかりましたが、女性を守るべき薬の承認の遅さは異常ですね。
性道徳が乱れる、などというカビの生えた無意味な慎重論がそうさせるのでしょうか?
投稿: めかちゅーん | 2011年3月13日 (日) 23時31分