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性犯罪の裁判

 性犯罪の被害者がもしその被害を訴えたとき、そして加害者が逮捕あるいは検挙されたとき。その裁判の問題です。

 現在、「強姦罪」は普通の裁判官による裁判で裁かれます。でも、それに何かくっついて、もう少し罪が重くなると、「裁判員裁判」になります。たとえば「強姦致傷」。強姦によって怪我をしたとき。いわゆる処女膜裂傷が加わったときなどです。

 「強姦罪」は3年以上20年以下の懲役です。「強姦致傷」となると、5年以上無期懲役までとぐっと重くなります。これは裁判員裁判となるのです。

 被害者が13歳未満のばあいは、本人の合意があるなしに関わらず、強姦が成立します。小学生が犯罪の被害にあった場合、まず怪我をします。たんなる強姦罪ではすみません。

 もうこれまでに何例もの犯罪が裁判員裁判によって裁かれています。

 もしも裁判員が隣のおじさんだったら。または会社の取引先の人であったら。被害者は法廷では本名を隠してイニシャルで呼ばれたりの工夫はしてあるようです。それに裁判員として指名される前に被害者を知っている人ははずすというようなこともなされているようですが。でも、その人を知っているか否かを判断する作業で、被害者が知られてしまいます。

 小学生が被害にあった事件で検事さんと話をしました。この加害者が裁判員裁判で裁かれる可能性があります。

 性犯罪は親告罪です。被害を訴えなければ、ある教育大学での集団レイプ事件のように罪に問われることもなく、終わります。被害を訴えるか否か、その判断に裁判が大きくのしかかっています。私の患者さん場合、被害者の半分も訴えていません。多くの人が泣き寝入りをしています。

 一旦訴えても、和解の話し合いの中で、加害者側から、「裁判になると色々なことが知られますよ」と逆に脅されることもあります。

 今、従来のことに加えて、裁判員裁判というものも、被害者に大きくのしかかるようになってしまいました。せめて性犯罪については、裁判員裁判からはずすということが出来ないものなのでしようか。線引きが難しい、それは分かるのですが・・・。


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コメント

>被害者の半分も訴えていません。多くの人が泣き寝入りをしています。

訴える作業は本当に大変なことです。一度傷ついているのに、さらに傷を負う可能性が高いです。
司法は被害者の味方であってほしいです。常に。

投稿: 山本祥代 | 2011年2月 8日 (火) 23時10分

  >せめて性犯罪については、裁判員裁判からはずすということが出来ないものなのでしようか<
 今までそのことに対してまったく考えてみたことがありませんでしたが 美代子先生の提言を掘り下げて考えてみる必要がありますね。
 こんなに性犯罪が多いのは 思春期に正しい性教育を受けていない・していない事に要因がありますね。 性教育に反対する方たちは 性教育=人間の尊厳・人間関係の構築という捉えができていない残念な方たちと思います。
 これは成熟した市民としての思考も貧しいことですので自分の国の政治にも 未成熟なままになってしまいます。

投稿: yuumin | 2011年2月10日 (木) 06時28分

厳密に申しますと、今の法的処置(裁判制度)では、事実に基づく捜査・起訴・審議・裁判・判決・措置を前提としてあるため、秘守義務や個人情報保護法をもって犯罪被害者のプライバシー保護、生活権保護などを守っているとされてます。 しかし、性犯罪被害者や強制猥褻被害者の配慮は先生も申されます通り、幾分配慮はされていますが、十分と言えないのが現実であります。

そこで、これを鑑みて十分とは言えませんが、私はこうした方々には警察に被害届及び告訴する前に、法テラス制度を先に利用していただく事をお薦めいたします。 この制度は、国が法務省を通じ独立法人を設置し、そこが日弁連を通じ各地方の弁護士会に委託して運営されている国の制度です。 法律に関することなら何でも相談できます。
相談料は無料、全て国が救済目的に制度化した法テラス制度ですから、どんどんご利用することをお薦めいたします。
分かりやすいもので言えば、国選弁護人制度は法テラス制度の中で行っており、民事や刑事事件問わず支えてくれますし、ある一定の所得以下の方は、相談料や弁護費用、弁護士の実費や実労費などは、国が負担しますので無料になるか、貸付制度や立て替え制度がありますので、これも利用すべきかと思います。
また、性犯罪被害者にもっとも適した制度として、犯罪被害者救済制度があります。 こうした被害に合った方が利用すると、まず女性弁護士でその道にたけた弁護士の紹介から始まり、その選任弁護士が事件の把握をする相談を承り、警察への付き添い被害届の提出から裁判が終結するまで、責任もって付き添い行います。
また、裁判後のカウンセリングや支援もしますので、利用しましょう。
J弁護士の事務所(中区幟町)が窓口です。
今のところ、これが最善策かと思います。

詳しくは、法テラスにお尋ね下さい。

投稿: 生徒会長 | 2011年2月10日 (木) 09時35分

性犯罪で問題となるのは、とかく被害者が責められたり好奇の目で見られることが多いことではないかと思います。殺人や強盗ならよほど被害者側に重過失が無い場合、被害者側が責められるケースは皆無なことを考えると、いまだにそういった差別的視線が多いことが裁判員裁判適用となるケースに問題となるのではないでしょうか。

それと、2人以上の集団で強姦等に及んだ場合、親告罪の適用は外れるはずなのですが・・・(刑法180条第2項)

投稿: めかちゅーん | 2011年2月13日 (日) 00時42分

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