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子宮頸がん予防ワクチンについて、もう少し。

 子宮頸がんの予防ワクチンには、HPV・人パピローマウィルスの中で、一番癌化させる働きが大きい16型と18型をブロックするワクチンが含まれているといいました。

 この二つのウィルスの内、18型は、一番たちの悪い「腺がん」を誘発することが多いのですね。「扁平上皮がん」であれば、細胞診で発見しやすく、進行もゆっくりで、かつ、放射線療法も効果があります。比較的、早期に見つけられ、よほど進行して見つかった場合を除いて、治療も可能です。

 しかし、腺がんは、細胞診で見つけにくく、進行も早く、放射線にも抵抗して、治療がなかなか困難なのです。

 ワクチンの接種に反対する人たちが、子宮頸がんは、検診で早期に見つけることができる。見つけても、治療ができる癌であると言っているのは、扁平上皮がんにはいえますが、腺がんには言えないことなのですね。一年前のがん検診では陰性だったのに、今回では進行がんだったという痛恨の事態が、私の現場でも、何人もあります。

 私たち産婦人科医にとって、子宮頸がんの中でも、腺がんが、もっとも手ごわい癌です。それを作る働きのある18型をブロックしてくれるワクチン。いわば18型の感染を防いでくれるからこそ、ワクチンの意義があると言ってもいいでしょう。

 さて、ワクチンには、ウィルスの形をした、殻だけが含まれます。中は空っぽ、DNAなどが入っていないので、それが癌化させることもなく、抗体を作ってくれます。そのウィルス様粒子をL1蛋白と言います。

 そのL1蛋白が、サーバリックスは16型と18型が平等に入っています。しかし、ガーダシルの場合、どうしたことか、16型が40μg .そして、18型は20μg しか含まれていません。その上、癌ではなく、コンジローマをつくる6型が20μg と、同じくコンジローマを作る11型が40μgと、腺がんをつくる18型の倍も含まれているのです。

 その結果、ガーダシルを接種して2年まで18型の抗体価がどんどん下がっていき、5年経った時点で、自然感染のレベルにまで落ちてしまった。その時点でもう一回再接種、4回目の接種をしたと。そしたら、また、18型の抗体も上がったという内容の複数の論文が出ています。( 〇HPV-010 Study Group,26th IPC,Canada2010,July3-8,P-692  〇 SVEN-EO et al.: Vaccin.25,4931-4939, 2007 〇 Susan JK et al.: Drugs.68(3),359-372,2008 〇Presentation on the 10th of March at SGO,2008)

 肝心の18型の抗体が落ちるなんて。サーバリックスは、そのようなことはなく、75ヶ月まで一直線で抗体価を保っています。おそらく20年はこのまま続くでしょう。

 また、クロスプロテクション効果というのがあります。ワクチンは、16型と18型を含んでいますが、その他の型にも効果をもたらすというものです。もともと、似たようなウィルスですから、その他のウィルスにも影響を与えることはありうることです。

Photo  これらの効果をみても、あくまでも「癌の予防のワクチン」ですから、私は、今のサーバリックスを接種すべきと思っています。ガーダシルが何故18型を少なくしたのか、それを尋ねても、答えはいただけませんでした。そのかわり、また新しくワクチンを開発していると。でも、そのワクチンがいつできるものやら分かりません。今あるワクチンのもっとも効果があるものを接種する。もしもっといいのが出来たなら、その時点でいいものを選択すればいい、そう思っています。

 なお、私は、これらの製薬会社には、全く好き嫌いがあるわけではありません。私は、ガーダシルの会社の低用量ピルをもっとも沢山処方しています。どの薬が患者さんにとってもっともいいのか、それを考え、選択するのは、私たちの使命でもあります。

 以上、子宮頸がんの予防ワクチンについてのお話でした。

 私は今、新年の診療開始もあって、ひどく忙しくて、家に帰るのはいつも深夜、昨日は午前一時でした。そんなわけで、今日のブログの更新がひどく遅くなりました。すみません。

 それなのに、深夜でもいいから話を聞かせろというマスコミの方がいます。お断りすると、怒る人がいます。私は公人ではなく、一私人なのですから、お断りしてもいいはずだと思っています。


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ぜひ、覗いてみてください。

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コメント

このたびの子宮頚癌ワクチンの件、とてもわかりやすくすんなり頭に入りました。
私も過去にⅢaの結果だったことがあります。経過観察で結果癌にはならず安心しました。何度も検査に通い、そのたびに高額な料金を払い検査結果にショックが重なり。。。人生で初めての独特な重たい期間でした。でも、腺がん…というのがあるのは今回初めて知りました。
だから広島市は2年に1度、子宮頚がん検査の案内が届くのですね。出産してからはなぜか届かなくなりましたが。。。。

投稿: けいちゃんママ | 2011年1月 7日 (金) 23時02分

高3の娘が学校の性教育の講演会で、頚がんのワクチンは6年しか効果がないと聞いてきました。
計3回、約5万もかけて、6年しかもたないなら、接種する意味がない、というのです。

でも今回先生の説明を読んで、納得しました。
そんなはずはないから、必要だから 受けに行こうと 説得しました。
高1の次女は公的補助の対象になれたので、ひとり分の負担ですむことに少しほっとしています。

投稿: チェリー | 2011年1月 7日 (金) 23時06分

けいちゃんママさま
そうだったのですか。それはしんどいことでしたね。せっかくワクチンで予防できるのですから、できるだけ沢山の人に受けて頂きたいですね。広島市では、大東のすべての保護者にプリントが配られます。是非、保護者の方、積極的にして欲しいです。コメントありがとうございました。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2011年1月10日 (月) 17時38分

チェリーさま
一体誰がそんな講演をするのでしょうね。きっと、うたせたくない派の人だと思います。そんなことはありませんので、是非お嬢様の将来のために、うたせてあげてくださいね。高一の人だけは、三月一杯までに一回はうっておかないといけませんので、ぜひ時期を失することがありませんように。コメントいただいたのに、お返事が遅くなってすみませんでした。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2011年1月10日 (月) 17時40分

去った9月15日からガーダシルが認可され、助成の対象になりました。
9月に入ってから娘(中3)の予防接種を予約したので、病院のほうから「9月15日以降なら2価ワクチンと4価ワクチンと選べます」との話がありました。そこの先生は4価ワクチンを推しているようでした。
ネットでサーバリックスとガーダシルについて情報を集めましたが、河野先生のブログを読んでストンと納得できました。
サーバリックスを選びます。
ありがとうございました!

いつも参考にさせてもらっています。
ありがとうございます。

投稿: yukiko | 2011年9月21日 (水) 13時18分

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