中沢さんからの電話
診療中、電話がかかってきました。受付から、「漫画家の中沢さんと言われる女性の方です。」と言って来ました。びっくりです。漫画家の中沢さんといえば、「はだしのゲン」の中沢啓治さんしかありません。それも女性ということなら、奥様でしょうか。どうしたのかと電話に飛びつきました。
やはり奥様からです。そして「ご心配おかけしましたが、元気になりました。」とおっしゃいました。そして、電話を変わりますと、中沢さんが出られました。
中沢さんは、ここのブログに書いているように、肺がんになられています。生き延びた被爆者が次々と癌にかかられて、なくなっていくように、中沢さんも例外ではなく、癌になってしまわれました。そのブログに書いた会で私は、「とにかく生きて欲しい。生きているだけで、ゲンが生きているというそれだけで、意味があるのだから」と涙ぐんで申し上げました。
以前、みんなで川土手でお花見をしていた時(自転車の前でこちらを向いているのが中沢さんです)に、在日の朝鮮人被爆者の方が、「はだしのゲンに朝鮮人が出てくる。アレは、誰の取材?誰に話を聞いて書いたもの?」と聞かれました。ゲンの中には、被爆した朝鮮人、朴さんのお父さんが差別され、治療をしてもらえることなく亡くなる姿も出てきます。
そしたら、中沢さんが「私です。私の家の裏に朴さんという朝鮮人の方がいらっして、とてもかわいがってもらったんです。」といわれたのです。ゲンは、お父様から、厳しく人を差別してはならないことを教えられて育ちます。本当にはだしのゲンは、中沢さんそのものなのだと思いました。
そのご自分が肺がんだとおっしゃった会には、入院中、医師の外出許可を取って駆けつけて下さっていました。
その後、お具合が悪いとき、薬を人づてにお届けしたことがあります。そしたら、それがものすごく効いたのだと。もう少し薬が欲しいといわれたので、またお出しして、届けてもらいました。
また、年末には、とてもお具合が悪くなって、ICUに入っていらっしゃると聞きました。本当に胸が痛んでいました。
そしたら、このお電話です。お声もしっかりして、キビキビとお話しなさいます。もう、本当に嬉しくて。お電話くださったことに感謝しました。そして私は、今、英語ではだしのゲンを読む講座に参加して読んでいることもお伝えすることができました。
どうぞ、どうぞいつまでもお元気で生きてくださいね、と申し上げました。そして、今、私は世界中の多くの方に「はだしのゲン」を読んでいただきたいと思っています。この漫画から学ぶことはたっくさんあります。
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