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子宮頸がん予防ワクチンについて④ワクチンと性教育

 子宮頸がんの予防ワクチンに反対する人たちの、もっとも急進的な人たちは、「やっぱり」性教育に反対する人たちです。いわゆる「過激な性教育キャンペーン」で、様々な出来事をでっち上げ、捏造し、「性教育は若者をそそのかす」と、政治をも動かしてきた人たちです。

 このワクチンについて私のブログにも様々な人のひどいコメントが寄せられました。その人たちが言っていることがみな同じです。団体で活動しているのでしょう。(私は、このような「うそ」のコメントは断じてアップしません。)

 このワクチンは、ペットを去勢するために作られた薬。これをうつことによって、死んでしまう、不妊になる、日本民族を滅ぼそうとする外国の勢力の陰謀である、と。でも、このワクチンが認可されたのは、世界の中で100番目なのです。ワクチンに関しては、日本は後進国なのですね。日本民族を滅ぼそうとする以前に、どんどん接種しているヨーロッパや、カナダ、アメリカやオーストラリアなどの民族は一体どうなるのか、と思います。

出所は、ここでした。あの例の人たちなのかとネットで検索してみると、それにもっと輪をかけたような人たちでした。

 「日本の子供の未来を・守る会」=「國體護持塾」という、もうびっくりの世界です。だって、「日本国憲法は憲法として無効です。私達の正統憲法である大日本帝国憲法は今も生きています。」とトップページに書いてあるような団体でした。でも、この中の「日本の子供の未来を・守る会」は、今、活動停止すると表明しています。

 さらに、その会の名前を語って「子宮頸がんワクチン推進の反対活動」が行われているが、6月27日をもって当該案件に関する活動は一切行っておらず当会とは関係ないとまで。うその情報を振りまくだけ振りまいて、そして後はもう私どもとは関係ございません、という、まことにおかしな、そして卑怯なやり方です。だって、その振りまいた情報がすでに一人歩きして、ネットの世界でまかり通っているからです。

 いま、教育界では、まともな性教育がとても難しい状況になっています。

 文科省の指導要領では、中学校で「性感染症とその予防」高校で「家族計画という避妊」が教えられるようになっています。

 しかし、中学校では、「性感染症」を教えると言っても、言葉の規制があります。「性感染症」なのに、「性交」という言葉は禁止です。さらに、「セックス」も、「エッチ」もダメ。そのような言葉を使わないで性感染症を教えよというのですから、現場では「出来ない」ということになるのは当然です。さらに、予防としての「コンドームの使用」についても、決っして具体的には教えてはなりません。ただ、言葉としてあるだけ。

 私は、義務教育の内に、性感染症とその予防と「避妊」をしかり教えるべきだと思っています。それは、長い将来の中で、ほとんどの若者がいつかは性に直面する時が来ると思うからです。今すぐの問題ではなくとも「いつかは」なのですね。そのためにも知識を持っていないと。だって、今、一番沢山人工中絶をうけ、性感染症に罹り、子宮頸がんの検診に引っかかるのは、20代なのです。早いうちから教育を受けていない彼らの行動により、自らの体と心が傷ついていっています。成人した人たちに性教育をしてくれるところなんて、ないのです。学生の内にこそ、です。

 それらを教えることにって、若者をそそのかすことになる、興味を持つではないか、と彼らは言います。とんでもない、若者達は、もうすでにしっかりとそそのかされているのです。

 この情報社会で、面白おかしく、性の情報が飛び交っている、その状況を知らないのでしょうか。その情報により、若い彼ら、彼女達の性意識は作られています。

 その彼らに、まともな情報を真正面から教えることによって、彼らに賢くなってほしいのです。自分の生き方を自分で賢く選択してほしいのです。

 性教育というと、若者達にセックスを推奨して、フリーセックスの国を作って、家族の形態を崩し、国をほろぼそうとしているという、こんなとんでもないことをいう人たちを相手に、私は奮闘して来ました。裁判までして、そうではないということを証明しようとしました。

 それなのに、ここで、また、子宮頸がんのワクチンという材料に飛びついたかのように、彼らがぞろぞろと動いていますし、実際、ワクチンは危険であると、とんでもないことを広めてしまいました。

 性教育をしっかりして、それからワクチンを、という人たちに。一体いつになったら、そのような教育ができる社会になるのでしょうか。今の政治の状況を誰がつくりだしたのでしょうか。文科省に圧力をかけ続け、全くまともな状況も教えられない今日の社会を作った人たち。そんな行動を許してきた責任は、誰にあるのか、それを考えてほしい、そう思います。ワクチンをうつことによって、むしろ、何のためのワクチンなのか、それをしっかり教えるとてもいいきっかけになると私は考えます。


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ぜひ、覗いてみてください。

広島ブログ

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コメント

このワクチンが出来たという話題になった時、友人に、
「女性だけが高額なお金を出してワクチン接種するのはおかしい。性感染症だと言うなら、男性が接種して女性にうつさないようにすることはできないのか」
と言いました。
私には知識がないのでそのように言われてもわからないのですが、男性がワクチン接種することにより女性への感染を防ぐことはできるのでしょうか?
可能であっても、発症しないウイルスのワクチンを打つ男性も滅多にいないとは思いますが……

投稿: | 2010年9月24日 (金) 14時38分

どなたかは不明ですが。
男性の接種について。貴重なご意見ありがとうございます。私も男性にも打てばいいのに、と思いましたよ。この件については、このシリーズの⑥に書かせて頂きました。読んでくださいね。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2010年10月 1日 (金) 08時12分

”子宮けいがん”を予防するためだから女性なんでしょう。感染症予防目的ならば両性に施すべきですが男性側が感染する不利益よりも女性が感染した時の方がリスクが高いことと医療コスト面も考えると女性に摂取することは合理的だと思います。
 男性は避妊具をつけることが予防策だと思いますよ。

投稿: 男性 | 2010年10月 7日 (木) 21時26分

今回、この記事を見たのはお付き合いしている彼女のお母さんが子宮頸がんになり、また彼女自身もその予防として予防ワクチンを今月接種したためです。
上記の記事で言われているように学校教育では子宮頸がんの予防とワクチンについてなど教えてもらった事がありません。男性側の私としてはなかなか婦人科の医師の話を聞く機会も無いので、ネット(あいまいな情報も含む)に頼る部分もあります。お付き合いしている以上、女性任せではなく男性もきちんとした知識をつけなければならないと感じています。

子宮頸がんの予防ワクチンについては接種すると妊娠しにくくなるといったリスクはないのでしょうか??
また6ヶ月で3回の接種が必要だと聞いたのですが、その期間中は避妊具をつけてのセックスも禁止なのでしょうか??
接種期間中の性行為はワクチンの効果を下げると聞きました。

投稿: | 2011年8月24日 (水) 04時00分

お名前がありませんが。
はい、このワクチンの接種によって妊娠しにくくなるということはありません。そもそも子宮頸がんにかかっている人だって、妊娠しにくくなるということはないのですよ。それに、接種中のセックスもまったく問題ありません。ただ、3回の接種中に妊娠した場合、残りの接種は出産がすんでからとなります。すでに私のクリニックでもそのような人は何人も出ていますよ。すんでから接種しても効果は変わりありません。デマに惑わされないで。彼女にはちゃんと3回接種するように励ましてあげて下さいね。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2011年8月24日 (水) 07時35分

無知なままの質問で恐縮です。
予防ワクチンは、性行為のある予定の人に必要な物ですよね?
50歳と更年期に入り、出産後は夫ともセックレスの状態で、多分、もう経験する事はないような私でも必要なワクチンでしょうか?
癌検診は、市からの通知を持って2年毎に行っています。これも一生涯、検診を受けた方がいいですか?

投稿: | 2011年8月24日 (水) 16時35分

チャンネル桜や南出弁護士などのトンデモな皆さんが医学的な根拠もない話しや事実誤認などで大騒ぎするから、それを信じた人たちがさらに大騒ぎする。

おかげでガン患者はガンで苦しうだけでなく家庭生活にも支障があるような事も起こっています。

この患者への差別を植え付けるような活動をしている人たちが許せません。がんばって下さいね。専門知識のある議員さんががんばってくれるのは心強いです。

サーバリックスウィキを作りました。
ご活用下さい。http://www44.atwiki.jp/cervarix/

投稿: 梨恵華 | 2012年8月 7日 (火) 12時52分

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