再度、子宮頸がんのワクチンについて。①大学教授の講演から。
パソコンの不具合、ほぼ徹夜で悪戦苦闘して、やっと回復しました。ご心配をおかけしました。
少し前ですが。9月5日日曜日、広島の産科婦人科学会がありました。性教協の夏期セミナーの反省会と重なったので、朝早く学会に参加。しばらく発表を聞いた後、反省会に間にあうように行って、その後また学会へと、行ったり来たりしました。
午後の特別講演をどうしても聞きたかったものですから。
国立大学の産婦人科の教授の講演です。「子宮頸がんの若年化ー産婦人科医だからこそできること」という教授の講演にしては珍しい演題でした。
確かに、子宮頸がんの患者さんは若年化しています。私のクリニックのデータでも、子宮頸がんの検診でクラスⅢa以上で精密検査を要する人は、二十代が一番多いのですね。
でも、大学の教授などえらい先生は、癌治療や、ワクチンの開発、接種などについてはとても熱心で、医師向けの講演をメインになさいます。でも、なかなか一般の国民や生徒、学生に向けての啓発の活動はなさいません。というか、忙しくて、そんなことは出来ないというのが状況でしょう。
ところが、この先生の話はとっても面白かったのです。その教授は、要請に応じて、中学や高校に出かけで行かれます。ただし、今、教育の世界では、言葉の規制などがきびしくて、こんな言葉は使わないようにという学校には行かない。「性交だの、コンドームだの言葉を使いますよ。」と言って、それを了解した学校しか行かない、と。
本当に、私が地べたを這うようにしてやって来ながら、でも文科省や教育委員会の規制を気にする学校には行くことが出来ない、それを訴えても訴えても、状況が変わらないという、そのところを「そういうところには行かない」とやすやすとクリアなさっています。そうなのですよね。行かなければいいのです。
そして、生徒に動画を見せられます。妊娠28週での帝王切開の様子です。手術によって、赤ちゃんが生まれます。小さな赤ちゃんですが、それでも、産声を上げます。スタッフが寄って、赤ちゃんに酸素を吸わせたりのどの吸引をしたりしています。その生まれる姿はとても感動的です。
そして。でも、普通なら、手術はここで終わるのですが、この人の場合は、これからまだ大きな手術が続きますと。この人は、進行がんです。赤ちゃんが生まれた後、すぐに癌の手術をしますと。子宮の摘出をしなければなりません。それだけでなく、リンパ節のかく清など、大掛かりな手術です。
生徒たちは、命が生まれるという感動的な姿を見、今度は、「癌」ではっとします。
生徒の感想文では、男性も女性もその両方について、深く考えたことが記されています。まさに「産婦人科医だからこそできること」です。
子宮頸がんは、性感染症です。性交により、繰り返しウィルスが入ってくることによって起こります。そのことを、この教授は、性教育の中で「癌」という切り口で、生徒達に伝えられます。
子宮頸がんのワクチンについて、「ワクチンを打つと、不妊になる。外国の勢力が日本民族をほろぼそうとして広めている」などと、とんでもない、全く根拠のない誹謗中傷を広めている団体もあります。まるでワクチンを打っているのが、日本だけだと言っているかのようです。ワクチンは、日本は、後進国なのですが。
いろいろとまちがった知識で反対する人もいます。
私は、癌が予防できるなら、それに越したことはないと思っています。それは、子宮頸がんで悲惨なことになった人たちを見続けているからです。
今度のクレーフォーライフで子宮頸がんのワクチンについて話をします。それにあわせて、もうすこし、ワクチンの話をここでしたいと思います。
コスモス薬局のHPの中に私の「体の相談室」と「著書」の販売があります。
ぜひ、覗いてみてください。
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コメント
河野先生、こんにちは!
我が子は、中学生の時に先生のお話を伺ったと言っていました。女子中学です。
今、NZの高校へ留学中です。
きっと先生のお話が彼女の中にしみ込んでいる…って感じることがあります。
本当に、ありがとうございます♪
ぜひ、多感な中学生に、先生のお話を聞くチャンスを作ってあげたいと思います!!
投稿: おやイスト みんと | 2010年9月18日 (土) 09時11分
おやイストみんと さま
わあ、そうなのですか。あの中学校で話した中に、お嬢様がいらっしたのですね。今、あのときの話を聞いたという生徒さんが、生理痛やワクチンの接種で来てくれています。少しでも話が心に残っていればうれしいです。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2010年9月23日 (木) 15時36分