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久々に泣いた。

「センセ、聞いてももいい?」

「うん、いいよ、何を聞いてもいいよ。」

「あのね、お父さんのお友だちは、みんな同じことをしてないの?」

「うん?なに? 同じことって、〇〇チャンと同じことを? 自分の子どもにってこと?」

彼女は私の目をみながら、こくんとうなずいた。

「うん、しないよ。だれも子どもにはしないよ。だから、〇〇チャンのお父さんがいけない人だったってことなのよ。」

「あのね、みんながすることだと思ったの。みんな我慢しとる、だから、私も我慢しないといけないと思ったん。」

 その前に初めて私のところに現れた彼女に、私は、

「あなたが悪いのじゃないのよ。いい? あなたが悪かったからこうなったのじゃない。そんなことをした大人が悪いのだからね。自分が悪かったって思っちゃいけないよ。」

「世の中にはね、けしからんことをする人がいるのよね。多くはないよ。ほとんどの大人はとてもいい人なんだけれど、でも、少しだけ、とてもよくないことをする人がいる。その人にあなたが会ってしまったんだね。かわいそうだったね。でもね、それはあなたのせいじゃないからね。」

そう言ったら、彼女は、ポロポロと涙を流しはじめ、やがて、わーん、わーんと大声で泣いた。

 今回は、二度目の来院。「みんな我慢してると思った」と彼女が言ったとき、今度は私が泣けてきた。

 幼い彼女にとって、どんなにしんどい事だったか。何年も何年も我慢し続け、ついにお母さんにSOSを求めた。それからの環境の変化は、きっと彼女は自分のせいだと思い続けていたに違いない。自分がお母さんに話したから、お父さんとお母さんが別れることになったと。

 自分を攻め続けた彼女に、「あなたは悪くない」と言ったら、一気に緊張が解けたのだと、母親が言う。

「あのね、もう、あなたはいやな思いをしなくて済むからね。お母さんは、あなたを守ってくれたからね。お母さんも、あなたにそんなことをして来た人と、一緒にいたくなかったんよ。だから、お父さんとお母さんがわかれたのも、あなたの責任ではないからね。あなたは、もう、あんないやな思いをしなくていいのだから、気持ちが楽になっていいからね。」

 男は、「なに、ほんの遊びだ」と言ったという。

 まさかと思われるような性的虐待は、私たちの現場では珍しくない。それに、このような被害にあった彼女たち、その親たちの、立ち直りに向けてのカウンセリングなどのシステムは、全く出来ていない。相手が身内だから、加害者への罰則もなかなか難しいものがある。

 こんな事件に出会うたびに、「子どもの権利条約」が批准されているにもかかわらず、全く具体化していないと思う。「子どもの権利条例」の成立に反対している人たちが思い浮かぶ。彼らは、今のままの法律やシステムで十分対応できると言う。とんでもない。十分であったなら、日々、繰り返されている子どもの虐待の報道は、一体何なの?と思う。それだけではない。報道されないところで、性的虐待も、起こり続け、少なからぬ子どもたちが苦しんでいる。


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コメント

辛い、悲しい現実が横たわっているのですね…。
涙がにじみました。
周りが早く気づけるような、そんなシステム作りができないものかと考えこんでしまいます。

話は変わりますが。

先生のご著書、『さらば悲しみの性』の文庫本を読ませていただきました。
単行本は本棚にあるのですが、今回は高校3年生の息子用のつもりでした。
幼い頃から、精一杯の性教育をしてきたつもりでしたが、この度びっくりさせられることがありました。
幸い、とりこし苦労で事なきを得ましたが、落ち込んでしまいました。
そんな時、先生のお言葉…『傷を負うたびに、一まわりも二まわりも大きな人間になっていくことだってできると思うのです。』
このお言葉に救われたような気がいたしました。
本当にありがとうございます。

ムチウチ、まだまだお辛いことと思います。
ご回復をお祈りしております。
まとまりのないコメントで、失礼いたしました。

投稿: 美代美 | 2010年7月11日 (日) 17時54分

先程、ワタシのバイブル《婦人公論》の中の

アフリカで2千年以上行われている
「女性性器切除」という残酷な因習が
行われていて
幼い少女たちが犠牲になっていると言う
ルポを読んで…

キチンとした学校教育を受けた事が無い
海の向こうの話だと思っていましたが…

未来ある子どもたちが
犠牲になることは許せないことですね。

投稿: 直珍 | 2010年7月12日 (月) 02時04分

つらいお話です。
私も児童虐待を防ぐための活動をしていますが、
こういう現実を突きつけられると
普段言っていることがとんでもなく甘っちょろいことに思えて、
すごくおたおたします。
無力感を感じると同時に、同じ男性として恥ずかしく、
その人間を憎みたくなります。

ですが、自分にできることを
少しずつでもやっていくしかないですよね。
「子どもの権利条約」のこと、おっしゃるとおりだと思います。

投稿: 六郎 | 2010年7月12日 (月) 02時29分

美代美さま
コメントありがとうございます。鞭打ちは、特に雨が続くと後ろ頭から首の後ろが重くて、つらいです。うんざりしています。これは、いつまで続くのでしょうね。
 子どもの性的虐待は、最も発見できにくいことなのですね。誰にもいいにくいことなのです。だからこそ、教育の中で、「誰にも言うなよと言う約束は悪い約束です。それを守ってはいけません。早くに誰かにいいましょう」というCAPの基本を教えたいし、SOSを求める場、人が必要なのです。学校の養護教諭がその役を果たせればいいのですが・・・。
 美代美様、これらもどうぞよろしくお願いします。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2010年7月14日 (水) 08時10分

直珍さま
ええ、この日本でも、数多くあることなのです。一見、すべての国民が教育を受けているようなこの国ですが、事、性に関しては、全く教育はなされていません。あるのは、ポルノばかり。このような状況の中で、幼い子どもたちが犠牲になっています。なかなか具体例は出しにくいことなのですが、出せる範囲で告発していきますね。アフリカの女性に対する割礼、これも大変な問題です。これが「文化」だといわれると・・・。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2010年7月14日 (水) 08時20分

六郎さま
六郎さまのブログは大好きで、いつも楽しみに読ませていただいています。その六郎さまからのコメント、大変うれしかったです。ありがとうございます。虐待の中でも、性的虐待は、一般的な虐待と少し異なっています。SOSを求めにくいこと、たとえそれを求めても、求められた人がその事態を飲み込みにくいこと。その大人がどこに相談すればいいのか、それもきちんと知られていませんし、システム化もしていません。胸が痛いことが続いています。出来る範囲でまた、告発していきますね。活動も読ませていただいています。これからもよろしくお願いします。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2010年7月14日 (水) 08時28分

お久しぶりです。
せんせい、お体のほうはダイジョウブデスカ?
もう、ブログを見るたび驚きでしたよ。

ワタシも、臨月前から恥骨がかなりの激痛で
担当医に相談しても「今は仕方がないね」と。

たまたま、操体法をしっておられる
助産師さんに聞くと、骨盤の緩み、胎児の様子
などをおしえてくださり、体操を少し教えていただき
さらしを巻き少し楽になってます。
足のむくみもそりゃ、ひどいものでした~。
こんなとき、どういう風に誰に助けを求めたら
いいのか、いつも迷ってしまいます。

子供への、虐待。
いろんな形であるのですね。
性に関すること、人には言いにくいこと
どこのだれに、聞いてみたらいいのか?
本当にsosが出せません。
同じような体験をしたので、胸が引き裂かれそうでした。
でも、幸い、お母様が守ってくださった。よかった。
うちとは違って。
けれど、この子は背負わなくてよい思いをずっと
持ち続けるんですよね。
どうか、自分を責めることのないように育ってほしい。
自分さえガマンすれば・・・
って思わないで。

あと、二週間ほどで予定日です。
ワタシの骨盤は大丈夫かしら?
少し心配しながら居ます。

無事に産まれますように。

投稿: N | 2010年7月14日 (水) 15時23分

Nさま
コメントありがとうございます。
臨月なのですね。恥骨が痛いのなら、マジックテープのついたダテジメを恥骨の位置でしっかり絞めてください。恥骨結合が開いてしまうと歩けなくなってしまいます。足のむくみはスイカを食べておしっこを沢山出してね。もう少し!頑張ってね。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2010年7月17日 (土) 08時17分

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