子宮頸がんワクチンについてもう少し。
子宮頸がんのワクチンは、HPVの中でも16番と18番の感染をブロックするものです。
子宮頸がんから検出されたHPVの型です。16、18が飛びぬけて多いのですが、中でも18番は腺癌になる確率が高く、注意を要します。腺癌は、がん検診で検出されにくく、また悪性度も高くて、進行も速く、放射線も効き難いなかなか厄介な病気です。(それぞれクリックすると大きくなります)
これは、HPV16や18に感染した人の前がん病変である高度異型性になる発生率のグラフです。
対象はKaiser Permanenteという健康プランに加入し、定期的に子宮頸がん検診を受診している16歳以上の女性20810人。1989年から1990年、122ヶ月間の追跡調査を行っています。子宮頸がん検診では細胞診と発がん性HPVの検出を行い、陽性の場合に16と18の有無を検討しています。
もうこれだけでも16番と18番のブロックをすることの意義を分かっていただけるかと思います。
でも、このワクチンに反対している人の中には日本人は16と18が少ないのだから、効かない、効かないものをしても意味がないという人もいます。それらの根拠となる文献をちゃんと出して欲しいのですが。では、このグラフを見てください。
これは、日本人子宮頸がん患者さんのHPV16/18の年齢別検出率です。若い人ほど検出率は高く、20~29歳では90%近くが16か18に感染して子宮頸がんになっています。
これだけでも、日本においても16と18のHPVをブロックするワクチンの意義が分かって頂けるかと思います。
さらに、このグラフです。日本の若い女性の婦人科領域の癌は、今や圧倒的に子宮頸がんが多いのです。
私たちは、この癌の多くを予防できるワクチンをせっかく手に入れたのだから。有効に使いたいと思います。
ワクチン+1年に1回の子宮頸がん検診でいつの日か子宮頸がんをなくすことが出来ると確信しています。
副作用についてですが。腕の筋肉に打ちますので、ほとんどの人が「痛い」と言います。それに発赤、腫脹。これが三大副作用で、全身に影響を及ぼすような重大な副作用は、日本の臨床試験でも見られていません。これらについて、次回もっと詳しく述べますね。
今日も日帰りで宝塚でした。三週連続で中学生に話すと、さすがにくたびれます。でも、やんちゃな中学生達も、必死で話す私に向き合って、必死で聞いてくれました。聞いてくれたのがうれしくて、気持ちよく帰って来ました。これでしばらく二学期まで宝塚には行きません。
朝出発して昼は中途半端な時間の移動で、ついお昼を食べ損ねます。講演が終わる頃には空腹で低血糖状態になるというのがわかったので、今日は新幹線の中でお弁当を買いました。お昼より少し早めに食べておきました。
小さいお弁当がありますかと聞くとハイッと出して下さったのが、これです。十穀米と麦御飯のおむすびといろいろのおかずです。飯タコも入っていましたよ。600円。実は、帰りには新大阪で夕飯用に二人分の駅弁を買いました。したがって今日は昼も夜も駅弁です。

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ぜひ、覗いてみてください。

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コメント
河野先生、お疲れ様です。
まだ首の痛みが続いていらっしゃるのではないでしょうか。
事故後の痛みにも負けず、相変わらずの東奔西走の毎日、敬服いたします。
子宮頸がんワクチンの情報ありがとうございます。
リレーフォーライフ広島で是非このお話を会場でしてくださいませ。
どうぞ宜しくお願いします。
投稿: のぞみ | 2010年7月 2日 (金) 07時39分
のぞみさま
ありがとうございます。まだまだワクチンについての理解が得られていない今、望様のようなコメントは何よりの励ましです。感謝です。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2010年7月 5日 (月) 23時40分
子宮頸がんワクチンの接種は、ウイルス感染後には副作用があると言われています。
何歳までに接種すべきとお考えでしょうか?
投稿: 平林 三郎 | 2010年11月17日 (水) 21時50分
平林さま
いえ、感染している人にうっても、何の副作用もありませんよ。6月30日の私の記事を読んでください。すでに感染している人ほど、新たな感染を防いで、癌になるのを防ぐという意味で積極的に接種が勧められています。世の中には、根拠なく副作用宣伝をしているひとがいます。それに毒されていらっしゃいませんか。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2010年11月18日 (木) 09時21分