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私が若かった頃。①犬のぬいぐるみを捨てられません。

 その昔、私がまだ若かった頃。私は医学部の学生で、河野は新人の新聞記者で付き合い始めてまだ間もない頃。

 その頃、白島に「みほ」という喫茶店がありました。そこでいつも待ち合わせをしては、だべっていました。私は牛田に住んでいて、河野は白島で、会社もその近くにありました。

 その日、私はお金を持っていませんでした。財布を忘れたのか、本当になかったのか、覚えていません。でも、そんなことはよくあること。貧乏学生でしたから。学費は親に出してもらってはいても、一切のお小遣いは自分でバイトをして出していましたから。私が河野と付き合うようになったのも、食べ物で釣られたような所もありました。

 その日。お金はなくっても、河野が出してくれるだろうと思ったこともありました。コーヒーを飲んで待っていましたが、なかなか遅いようです。そのうち、おなかがすいて、ハムエッグを頼みました。それを食べても、まだ河野は来ません。

 新聞社ですから、事件があればなにもかも放り出して駆けつけなければならない、そんな仕事のことは分かっていても。でも、電話の一本もかかりません。電話がかかったら、お金がないことも言えるのに。携帯電話なんてない頃の昔の話です。

 そして、とうとう11時の閉店の時間になってしまったのです。私は、食い逃げするしかなくなってしまいました。どうしよう。情けないし、すっぽかされて腹も立つし。泣きたい思いで、決心しまた。

 喫茶店のマスターに「ごめんなさい。私はお金を持っていません。」と頭を下げました。本当に恥ずかしくて、泣きそうでした。そしたら、おじさんが「いいよ、いいよ。また今度でいいよ。それより、帰るのにお金がいるじゃろう。貸してあげるから。これでタクシーに乗りなさい。」とお金を出されました。本当に行き着けのお店で良かった!です。これが知らないお店だったら、どうなっていたことでしょう。

 私は、そんなとんでもない、大丈夫ですと固くお断りをしてお店を出ました。とぼとぼと歩いていると、後ろから大きな声で「電話よー、電話がかかっとるよー」と喫茶店のおじさんの声です。引き返して電話に出ると、河野が「ごめん、今から行くから。」といいます。もう5分早ければ恥ずかしい思いをしなくてすんだのに、もう、遅すぎるのです。私は、「もういい。私は帰るから。来なくていい。」と電話を切りました。お金のことは何も言わないで。そして、半泣きで夜道を歩いて家に帰りました。

2010_05150015jpg その夜遅ーくに河野が家にやって来ました。細く開けたドアからぬっと出されたのが、このぬいぐるみです。1メートルもある大きな犬です。

 以来40年。この犬は家に居続けています。枕になったり、抱き枕になったり、上に座ってテレビを見たり。子どもが生まれると、子どもたちもこの上に乗っかって育ちました。

 ずいぶん古くなりましたが、いまだに私はこの犬を捨てられません。顔から火が出るほどのあの恥ずかしかった思いと共に、我が家に存在しています。

 ええ、次の日、私はお金を払いに「みほ」に行きましたよ。ついてきた彼は初めて事を知ってびっくりしていました。

 そんな私の青春の日々、今さらではありますが、エピソードをちょっと綴っておきたいと思います。

 


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