「私と性教育」(22)会いたくない教授に会う。
エイズについて、官も民もいろいろに取組んでいた頃。私は、どうしても広島大学のある教授と会わないといけなくなりました。最も話しをしたくなかった教授です。
当時、いかにHIVの感染の広がりをストップさせなければならないか、国全体、いえ、世界中が必死な頃です。教育の現場では、コンドームによる性感染症の予防ということをもしっかり教えなければならなかったのですが。
その教授は、それと真っ向から反対の行動をとっていらっしゃいました。えらい人ですから、あちらこちらでよく講演をなさっていますし、県の組織の要職をしていらっしゃいます。その講演で「コンドームなんてことをいうから、性が乱れるんです。」と言っていらっしゃいました。絶対その人とは一緒にやりたくないと思っていたのですが。
間を取り持って、私を説得されたのが、当時厚生省から赴任されていた広島県の担当の課長でした。僕が同席しますから、〇〇教授と話しをして下さいと。エイズに対して、県としての取り組みにボランティアをも入れなければならないということでした。私たちは、民間のボランティアとして独自の活動をすればよいと考えていましたが。国のほうから、それらをも一つにまとまりなさいというう指示があり、教授が会いたがっているということでした。
会いたくない気持ちをもちながら、いやいやながらですが、私はその教授の部屋に行きました。仕方ない、私がなぜ教授を嫌っているか、ちゃんと話しをしましょうと決心して。そして、県の課長立会いの元、お話しをしました。
私は、息子が中学生の時、息子に「女の子を妊娠させたらいけんよ。もし妊娠させたら、あなたから中絶を頼むようなことは絶対ダメ。もし、彼女がこの妊娠はつらい。産みたくないと言ったらそれは仕方ないけれど。彼女が産みたい、育てたいといったらそれはちゃんと引き受けなさいよ。もし学校に行ってたらやめてでも働きなさいよ。」と言いました。そばにいた娘が「大学はどうなるん?」と言いました。私は、「いけるか。大学に行くよりもちゃんと働いて、彼女と子どもの生活をちゃんと支えること。もし、歳をとって、生活も楽になたら、それから行きたければ大学に行けばいい。」といいました。
息子が大学に入学して18歳で東京に行くとき、私は「コンドームのないセックスだけは、絶対にしてはいけないよ。」と言いました。大学生にもなけば、もういろいろあるでしょう。それは、自分自身の学生時代を考えてもありうることだと思います。だから、そういいました。そしたら、息子は、「そうじゃねえ。エイズもあるしねえ。」と言いました。先生、その言い方は何かおかしいですか?と加えました。
県の課長は、「大学生にもなればもういろいろとあるでしょう」と言ったときに、上を向いてあはは、と大笑いしていました。
でも、先生は、「コンドームなんてことを言うから性が乱れるんです。」という講演をなさっています。これは、今、世界を挙げてエイズの感染予防にとりくんでいることに反します。そのような講演をなさっている先生と一緒にすることは出来ません。と、言いにくいことですが、思い切って言いました。
そしたら、教授は「僕は、今、初めて性教育を受けました。よく分かりました。よくわかったので、一緒にやりませんか。」と言われました。それまで性教育を受けたこともなく、考えたこともなかった人が、それぞれの分野で性教育に向き合わなければならなくなった、エイズの感染拡大がそうさせていたのです。
それからは、県のHIVへの取り組みに、広島エイズダイアルも参加することになりました。
25日の日曜日の夕飯はたこ焼きです。初めて自分で作りました。上出来でした。外はカリッ、中はふわふわでおいしかったです。二回作って、後の一回分は、冷凍しました。湯気で写真がぼわっとしています。すみません。
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コメント
こんにちは。はじめてコメントします。
大義のために、あえてお話しされた河野先生もすごいですが
今までのご自分の主張を撤回して理を取った享受も素晴らしいですね。
(ここには書かれていない色々があったのかもしれませんが)
投稿: tkzy | 2010年4月27日 (火) 13時04分
tkzyさま
そうですね。でも、なんだか、その後も同じことをいっていらっしたというのが耳には言ってがっかりしたのです。そこまで時間をかけてえらくなった方ですので、なかなか変わられるのは難しいのでしょう。コメントありがとうございます。感謝です。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2010年5月 1日 (土) 08時41分