今クリニックで起こっていること⑭大学生の出産から時が経って。
一昨日の夜、一組の親子に会いました。写真も内容もすべてブログに書くこと、O.K.との了解を得ましたので。差し支えのない範囲でお話しします。
彼女は20年足らず前、彼を産みました。それは、とてもしんどい状況の中での決断で。私は、彼女が妊娠が分かったときから、ずっと診ていました。彼女は当時東京の大学生。高校時代私の講演を聴いていて、私の勤務する病院に来ました。
産む決断まで大変でした。詳しくは書けませんが、男性の家族、彼女の親、様々な状況の中で、でも彼女は一貫して「産む」決断はぶれませんでした。
結果的に学生をしながら出産。その出産は壮絶なものとなりました。予期せぬ突然の大出血。胎盤早期剥離です。母子ともに命が危ない中での、緊急の帝王切開です。夜中でも、すぐに手術が出来る病院であったことを感謝しながらの手術でした。
それから20年。その時のベビーが、もう少しで成人します、そして、彼女の母校である大学に入りました。とのお知らせと、わざわざお礼にと訪ねて下さったのです。
彼が二十歳になったら訪ねようとずっと考え、彼にも言ってきたのだと。彼女は、その後知り合った人と本当すばらしい結婚をし、海外に住んでいます。彼は、帰国子女として大学の難関を突破して、日本の大学生になります。二十歳には、まだもう少しなのですが、大学に入る今の方がとのことで、訪ねてくれました。
その頃の、本当についこの間のような出来事ですが、もう、20年近くもなる、そして、その時の危なかったベビーが、もうこんなに素敵な男性になっているというのが、本当に夢のようで。あの時のことなどいろいろと話が弾みました。
裸で手術台に縛り付けられて、「もうこれで死ぬんだ」と思ったこと。まだ麻酔がよく効かない内にメスが入って「いたーい!」と叫んだことなどなど。ベビーは仮死状態だったこと。でも、新生児救命救急センターがある病院でしたので、小児科のドクターが頑張ってくれたこと。まさに命がけの出産でした。
左の奥にいる方は、彼女の友人です。妊娠中、彼女の居場所がなくって、実家にいることもできなくなって、東京に帰る、と言ったとき、その友人が100万円の貯金通帳を「使って」と渡してくれたのだそうです。
様々な困難を乗り越えて、今の彼がいる。彼女も生き生きと、相変わらず素敵な女性でいます。
しんどいことが多い昨今ですが、うれしい一夜を過ごすことが出来ました。
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コメント
こんにちは。
先日は、他院で検診を受けているにもかかわらず
風邪の治療と薬の処方をしていただき、本当にありがとうございました。
以前も、具合が悪いときにお伺いしようかと思ったのですが、よその病院で検診してるのに・・・
と思い、ひたすらガマンで治しました。
ずいぶんと楽にはなりましたが、もうすこしかかりそうです。本当にありがとうございました。
久しぶりにブログを拝見したら、胸が痛い記事が沢山でした。
実は、私も19歳のころ母の交際相手にギリギリのところまでされそうになったことがありました。
19歳といえばもう、分別ある大人と周りは思い、
「自分だってそんなそぶりを見せたのだろう。」
としか思ってもらえなく、本当につらい思いをしました。子供を授かった今でも・・・色々な気持ちがあります。
そのとき、いちばんつらかったのは、
自分の母親から「あんたから誘った」的なことを言われたり、
日々、その男性が私のスカートの中に手を入れたり
することに私が逆上したら、
目の前で見ている母親から怒鳴りあげられ、
「我が家はそういうルール(触ったりしてもいい的な・・・)」というようなことをいわれたり。
でも、家を出ること(自活)はまったく許されず、バイトも許されず、有り余るおこづかいと、好きなことをさせてもらえる、生活の中で、人の心を失って
毎日生活していました。
そんな時、将来を思える彼ができたのですが・・・
って、長くなる話ですね(笑)
私に家を出て行く勇気がなかったのでしょうね。
今は、主人の家族と同居し、実家には帰りません。
(また、別の方と母がすんでいるのもありますし。)
先生の、いろんな記事をみていたら
もっと、いろんなところにSOSのサインを出せばよかった。って思います。
たとえ、結婚しようが、子供を持つ親になろうが、
その時のことは、ずっと心に残っています。
消えないものですね。
そして、小さいころから母の目は
私に対しても「女を見る目」でした。
ずっと、しんどかった。
次に生まれる第二子は女の子のようです。
自分が受けてきた母親からの教育。
私、同じようにしてしまうのではないかと
怖くて怖くてたまりません。
きちんと、子供として扱って上げられるのかが
不安でたまらないのです。
誰に相談する話でもないし、
あと、四ヶ月で産まれてくるのですが、
私、自信がありません・・・
投稿: N | 2010年3月26日 (金) 15時13分
こんばんわ。はじめまして。先生のブログはタンブラーで私がフォローしている方が抜粋されている事が度々あり、今まで何度かタンブラー上で拝見していました。
先日、先生のブログにてソニーの話を拝見しました。
拝見した限りではソニー側に完全な非があると思いましたので、本社へ問い合わせてみました。
結果、内容は割愛しますが、ともかくなんかしらの指導を行った旨の返答でした。
だから何だというわけではありませんが、児童等の社会的弱者が住みやすい町になるといいですね。
投稿: | 2010年3月26日 (金) 22時29分
Nさま
そうだったのですね。よそで検診を受けていてもちっともかまいませんよ。私は、久しぶりに来てくださってうれしかったのですから。また、何かあれば来てください。話しにくいことを話して頂いてありがとうございました。あなたのつらい経験は、きっとこれからの人生に役に立つと思いますよ。そんな経験があったからこそ、幸せが分かる、素敵な家庭を築くことが出来ると思います。どうぞ、お幸せにね。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2010年3月28日 (日) 09時19分
お名前がありませんが。
ソニーの件、ありがとうございます。もちろん、私にはなんにもありませんが。これから、どうなのかウォッチングを続けたいと思います。やはり弱者のことに気を配る企業であって欲しいと思います。感謝です。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2010年3月28日 (日) 09時21分