今クリニックで起こっていること⑧大学生の妊娠。
昨日は、運転免許証の更新に行きました。そして、夜は広島市民病院産婦人科のオープンカンファレンスでした。日ごろ患者さんを紹介して診て頂いている現場での医療の現場のお話しです。本当にお世話になります。聞いていて、ひたすら感謝です。そして、思います。これだけの患者さんを日夜診ていて、どうして病院の経営が赤字になってしまうのか、やっぱり医療の制度そのものがおかしいのでは、と話しを聞きながら、頭の片隅でそんなことを考えていました。
一昨日は、中区医師会の総会兼研修会。ここでのお話しは「糖尿病の内服薬の治療」についてでした。他科のお話しを聞くのは久しぶりです。この分野でもどんどん医療が進んでいます。最先端のお話しは、とても難しい。でも、面白いものです。もちろん、私自身が糖尿病の患者様の治療をするのではありません。私に出来るのは、更年期などで来られる患者様に、糖尿病などの病期が隠れていないか、早く発見して専門のドクターにつなぐこと。
そんなこんなで、今、診療後もあれこれいっぱいで、ブログを更新するのが精一杯です。皆様にいろいろとコメントを戴いているのに、お返事が遅れてすみません。皆様のコメントは、大変ありがたくて、力を戴いています。今しばらくのお時間を下さいませ。
さて、生理の血液を漏らしてしまって、不登校になった彼女が来た日。この一昨日には、まだまだ大変な人が何人も来ています。
一人は、20歳の大学生です。妊娠がとても進んでいます。今年の一月、相手の男性にそのことを知らせると、全く連絡が取れなくなってしまったと。途方にくれて親に話したのが、三月です。母親がパニックになってしまっています。泣きわめいて、自殺まで図ってしまったと。母親の目が離せなくって、父親が母親に付き添っていると。本人に付き添ってきたのは、母親の友人です。
全力を挙げて早く相手の男性を捜すこと。今、日本の法律では、相手の男性の同意がいります。女性一人の意志では、中絶は出来ません。彼女は一人ででも産めば、いずれその男性が帰ってくるのではないかと考えていたそうですが、今は、それももう諦めているようです。
付き合いがさめてしまったとき、「産んだら帰ってくる」のではないかとよく聞くのですが、いいえ、一旦逃げ腰の男性をつなぎとめるために産んでも、これは、全くダメです。逃げてしまった男性は、戻って来ません。でも、相手の同意書が取れないと、彼女は産まなければなりません。
それに、連絡が取れないというのも、情けない話しです。どこに住んでいて、どこで働いていて、などと分からないうちに妊娠までしてしまうことが、私には情けないのです。時々あります。「まだ付き合いが浅いので。相手のことはよく分からないので。」と言う人が。付き合いが浅くても、セックスはするの?それも、全く無防備で。何回こんな会話を交わしてことでしょうか。
今回の彼女のこと。1.そんなよく分からない関係でも、妊娠はしてしまういうこと。2.彼女は20歳の大学生です。もう大人です。それでも、こんな行動をとってしまって、そして途方にくれています。3.逃げてしまう男性がとてもよくいるということ。4.彼女の親が全く相談相手になっていないということ。これでは、これからも何があっても親には内緒にしておかなければならないと彼女は感じたことでしょう。
しんどいのは、何よりも彼女ですよ、と。彼女を助けるために、どうしたらいいのかと考えなければならないのではないですかと、付き添ってきた友人を通じて親に伝えて頂きました。彼女の友人などを頼って、一刻も早く相手の男性への接触を、これだけでも親に助けて頂けないでしょうか、と。
そして、まだ別の人も。20代後半の女性。相手は妻子ある家庭持ちの人です。このことは次回に。決して若い人だけの問題ではないということです。

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コメント
昔に比べて、夜の仕事をしている大学生は多くなりましたね。
キャバクラで働いてる女性にもかなりいるようです。全てではないですが、仕事の後にホスト(カラス)の店で遊んで、そのままってこともあるようですから。
医療は、大変のようですね。
病床のある病院さえ倒産しているとか。
でも外科が開業しているリハビリは、儲かっているようですね。
重症でない人も、マッサージ代わりのように行き老人のサロン化しているとこも。
高齢者医療が批判される理由の中に入ると思います。
お医者さんの勉強会は、ほとんど毎日のように診療後に行われていますね。
進む医療や新しい薬の勉強をしなければいけないみたいですね。
糖尿の薬も、良いものが新しく出たようですね。
医療現場では、廿日市市に夜間外来がないことも最近知りました。
立派な市庁舎やホールがあるのに、市民の医療を守るものがないなんて。
救急車の使い方が問題視されていますが、救急車でないと近くの病院に行けないのも問題ですね。
投稿: やんじ | 2010年3月19日 (金) 12時25分
私も学生の時に子供が出来て、そのまま卒業と同時くらいに出産して、また院に戻ろうとしています。タイミングも運もよかったんでしょうね。
また、夫の学校・内定先や家族のこともよく知ってたのも、よかったかもしれません。知らなかったら、逃げられたとは思いたくないけど、女ってずるくならないとひどい目に遭いますから。
そして、母がどーーんと構えてる人だったのもよかったです。中絶というのはうちの家族の中では一度も出ませんでした(向こうの家族では話題になってましたね。やっぱり男女の差なんでしょうか)
いまどき、女の子の父親は、「嫁になんてやりたくない、孫だけ連れて帰ってくればいい」と思ってるものなんだから、変な夫がいないのは好都合。なんでもよい方に考えなくては。
それに中絶してしまえば相手の男は何の傷も負いませんが、産めば一生、養育費の請求ができることになります。
ひとりで傷を抱え込むよりも、まわりに迷惑をかけながらも力強く生きるのがいいと思います、ってお伝えください。成人した女性が、中絶して当然なんて世の中はおかしいです。
投稿: | 2010年3月23日 (火) 19時08分