« 出雲にいます。 | トップページ | 今クリニックで起こっていること⑫子どもを性暴力から守るために »

今クリニックで起こっていること⑪幼い子への性暴力

 一昨日のこと。17歳の少女。くりくりとした目とフリフリの短いスカートがとってもかわいい子です。クリニックにはもう何回も来ています。生理不順の治療のためにお腹から超音波をあてます。彼女はくすぐったいのか、くくくっと笑います。その笑顔がまたかわいくて。

 そのくったくのない、明るい笑顔を見て、ふと私は涙ぐみそうになりました。彼女は9才の時に男性からレイプされています。男は、母親の彼でした。体も心も深く傷ついた彼女はその後本当に大変でした。学校にもいけなくなりました。今は通信の高校に行っています。

 明るい笑顔が出るほどに、よくここまで立ち直ったね、よく頑張って生きてきたね、とそう思いました。 傷ついたのは、彼女だけではありません。母親も深く傷つきました。自分の彼のために、娘がそんな目にあった、母親は自分を責めています。

 もう少し彼女が立ち直ったら、その時に病気になっていないか調べましょうね。今はまだ内診台にあげて検査をするというのは、控えておきましょう。そんな話を母親としました。

 幼い少女への心無い暴力、これは私の現場では、決してまれなことではありません。本当にあるのです。小説でも、漫画でもなく、現実に信じられないようなことが、この社会の中で起こっています。

 相手で一番多いのは、母親の再婚相手。それから、親戚づきあいをしていた男性、それに実の父親にレイプされたという小学生も、一人や二人ではありません。兄、弟、教育現場の人、教師や塾の先生というのも複数います。

 このたび、懲役30年という高裁での判決があったという、広島県の小学校の教師。教え子を相手に強姦45件。強姦未遂12、児童福祉法違反13、強制わいせつ25など本当に目を覆いたくなるほどのひどい犯罪を犯していると認定されています。

 もうずっと前ですが、小学校の教師が性犯罪の被害者である小学生を犯行がばれるのを恐れて、殺害したという事件もありました。

 最近、男性保育士が保育園の幼い園児、何人もの男の子の裸の写真を撮ったと逮捕されています。

 性犯罪の被害にあった幼い子の無残な姿を診察するほどつらいものはありません。体も心も、どうやって治療しようかと途方にくれる思いがします。

 幼い子に性的な欲望を持つ性癖の大人達がたしかに存在しています。そんな人間が、一家の中にいたり、教育現場にいると、幼い子たちはたちまち餌食になってしまいます。

 こんな事件は防ぐことは不可能なのでしょうか。または、起こったとしても、早く発見して再発を予防しなければなりません。懲役30年の教師の犯罪、なぜそこまで続いたのか、早くに見つけてさらなる犯罪を防ぐことができなかったのか、教育委員会の責任も大きいと思います。そのあたりをどうすればいいのか、次回、その提言をしようと思います。

 昨日、出雲から帰って来ました。お墓参りにいったとき、一箇所どこかの観光をしましょうということにしています。前回は松江フォーゲルパークでお花や珍しい鳥達を見ました。今回、松江城の堀川めぐりをしました。

2010_032200232010_03220001 船に乗ろうとしたときに、お嫁さんの乗った船が来ました。新郎は外国の方のようです。素敵なカップル!!

 私たちが乗るのは、コタツが作られている屋根のついた屋形船で、情緒たっぷりです。船の操縦件ガイドをして下さった鈴木さんという方が、また素晴らしくて、薀蓄があって楽しくって、最高でした。

 松江城は、外堀も内堀もそっくり残っていて、それがまた街とよくなじんでいます。堀には鴨、青サギ、川鵜などの鳥達もいて、和ませてくれます。また、古い武家屋敷、何百年も生き続けている幹の太い木々、石垣などもそのまま残っていて、昔を偲ぶことが出来ました。低い橋をくぐるときは、こんな風に屋根が下がります。私たちは首をすくめて、かがんでやり過ごします。それがまた楽しくって。。ほっこりと楽しいひと時でした。

2010_03220021 2010_03220028_2 

 帰りは、山陰道、中国道とぐるりと大回りをして帰りました。大山にはまだ雪が残っています。いつ見ても、大山は雄大で和みます。

さあ、今日からまた仕事です。


コスモス薬局のHPの中に私の「体の相談室」と「著書」の販売があります。
ぜひ、覗いてみてください。

広島ブログ

|

« 出雲にいます。 | トップページ | 今クリニックで起こっていること⑫子どもを性暴力から守るために »

コメント

妹の友達で、母親の彼氏にレイプされ、それを母親に言ったら「そんな事ある訳ない」と、笑って言われたそうです。
その子はパニック障害になってしまい、母親とは縁を切り、今も闘病中だそうです。

私の友達に、高校の時に実の父親にレイプされた子がいました。
その子は母親がすぐに離婚したので、家に帰れるようになり (それまでは校内で夜をすごしていた)、高校生活も続けられました。

私は高校の時にその両方の話を聞いて、ショックから大泣きしました。
でも母親の行動一つで、その子の後の人生が変わってしまうんだなぁ、と思ったのを思い出しました。

投稿: りんご | 2010年3月23日 (火) 15時47分

元教師による性犯罪。この眼で見据えたく、高裁に二回傍聴に行きました。真面目に読み上げられるおぞましい性暴力。税金を使って元教師の些細な性犯罪の認識違いを正さなくてはならないとは。被告は楽しんでいるのではないでしょうか。
多くの人に無視されるこの事例。私は性犯罪を隠すために殺された少女のことも忘れてはいません。
提言、ともに考えていきたいです。

投稿: dreamer | 2010年3月23日 (火) 22時28分

りんごさま
もし被害にあってしまったら、その被害者の立ち直りを回りが支えなければなりません。でも、多くのおとなが被害者を責めたり、取り合わなかったり。胸が痛いことが続きます。コメントありがとうございます。これからも読んでくださいね。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2010年3月24日 (水) 07時22分

dreamerさま
貴重な情報ありがとうございます。私たちは忘れないようにしましょう。粘り強く、訴えつづけようとおもうのですが。そのためにこのシリーズも書いているのですが、少々つかれてもいます。dreamerさまのコメント、とてもうれしかったです。これからもよろしくお願いします。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2010年3月24日 (水) 07時27分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 今クリニックで起こっていること⑪幼い子への性暴力:

« 出雲にいます。 | トップページ | 今クリニックで起こっていること⑫子どもを性暴力から守るために »