渡邊智子医師の性教育④自分たちの始まり
子どもたちは一生懸命考えた結果、四羽を自然に結婚させるために、牧場に返すことにしました。その四羽との別れの後で、渡邊先生の二回目の授業が行われました。これからは、その報告です。渡邊医師から保護者の方への報告書を転載します。
第2回 3年1組性教育授業報告書
テーマ:自分たちのはじまりを知ろう。
目的:自分たちがどのようにはじまるのかを知ることで、命の不思議、
自分の存在が唯一のものだと感じてもらいたい。
1) 四羽との別れ
みなさんは昨日四羽さんとのお別れ会をしましたね。寂しかったですか?
子どもたち:寂しかったけど大丈夫
ちょっと涙が出た
私は仕事で来ることができませんでしたが、お母さんのひとりから、四羽さんの写メールが送られてきたので、これを大事に保存しておきます。(みんなに写真を見せる) T先生に伺ったところ、みんなよりもお母さんたちのほうが泣いていたそうですね。
子どもたち:泣いてた、泣いてた!
大人なのに、どうしてお母さんたちは泣いたのかなあ。
子どもたち:わからない
寂しかったんじゃないかな
みんなと一緒にお父さん、お母さんも四羽のお世話を一生懸命してきたから、きっと寂しかったのかもしれないね。もしかしたら、もうお世話しなくていいってうれし涙の人もいたかな。
子どもたち:それは違う!
あり得ない!!
でも私も昨日来ていたら泣いちゃっていた気がするなあ。四羽さんとの別れを、一生懸命育てたみんなとお別れするときのように思ったお母さんたちもいたのではないかしら。今はみんなお父さん、お母さんが一番好きで、いつまでも一緒にいるよって思っていてくれるかもしれないけれど、大きくなったらきっと「僕、この人と結婚します。」とか「私好きな人ができたから付いていくわ、さようなら。」ってうちを出ていってしまうでしょう?
子どもたち:そんなことないよ。
私の妹はお父さん大好きだから、お父さんと結婚するって言ってる
僕の妹も
あのー、親子とか兄弟って結婚できないんじゃない?
結婚だけじゃなくて、東京で勉強しますとか、外国で働きますとか・・・
みんなは希望に燃えて、羽ばたきたいと思っているけど、残される親は寂しい
ですよ。でも泣いてくれる親がいるって幸せですね。寂しくてもみんなの幸せ
を願ってくれているということだものね。今はみんな子どもだから、お父さん
お母さんも口うるさく注意したりするだろうけど、悲しくても別れてくれる親
がいてくれるって大事なことですね。
2) 質問
前回勉強したところで何か質問やわからないことありましたか?(複数手が上がる)
子どもたち:牛やかまきりはお尻とお尻をくっつけて受精するけど、人間はどうやって受精するの?
はい、それ以外にはありますか? シーン
みんなこれについて知りたいの? ウンウン(うなずく)
知りたくないひとはいますか? 0
では私たちのはじまりについて勉強しましょう。でもいきなり教えてしまっ
てはおもしろくないので、まずみんなでどうやって受精するか考えましょう。
意見のある人いますか?
子どもたち:結婚してキスするとできるんじゃないかな
他にはありますか? なし
では教えてあげましょう。まず結婚式をします。結婚式は神様の前で二人仲良く、助け合って家族になりますと誓うことです。神様もいろいろですが、知っている神様はいますか?
子どもたち:火の神様・空(天)の神様・草の神様・犬神様・ご先祖様
水の神様・龍の神様・貧乏神様?・仏様・大黒様
マリアさまって神様? 神様のお母さんだよ。子どもは誰かな? キリストさま
それぞれの神様に誓うと、神様がその夫婦に子どもを授けるか決めて命の素
をくださいます。こうのとりが運んできたり、郵便や宅急便のこともあります。
そして初めて一緒にお父さんとお母さんが同じお布団で寝ると、天から雷みた
いなものがビビビッと落ちて受精します。
子どもたち:エー!?本当?
精子と卵子はどうなっちゃったの?
じゃあこの説は間違いだと思う人。 あまり手が上がらない
子どもたち:だってお医者さんの言うことだし・・・。信じるしかない。
ビビビ説に賛成の人。 7割くらいオズオズ手を上げる。
子どもたち:雷だと命が危ないんじゃない?
じゃあビビビ説はやめて、さっきキスすると受精するという説があったので、
お父さんの口から精子が出て、お母さんの口に入っていくという説は?
子どもたち:なんか幽体離脱みたい・・・
ちなみに今までの説明はみんな嘘です。なぜなら小学校3年生ではまだ勉強
するには難しいと政府が言っているからです。でもどうやって受精するかは6
年生になっても教えてくれる授業はありません。それでもみんなは知りたいで
すか?
子どもたち:知りたい!!
お医者さんが嘘をついてもいいですか?
子どもたち:ウーン・・・
本当のことを教えてほしいですか?
子どもたち:全員 はーい!
では私はみなさんに誓います。これからみなさんの質問には必ず本当のこと
を教えます。でも許してほしいことがあります。私にも知らないことやわから
ないこと、それに忘れちゃったこともいっぱいあります。その時は正直に言い
ます。そして次までに調べてきますがいいですか?
子どもたち:人間だもの、わからないことがあったり忘れたっていいよ。
以下、河野です。
次回、いよいよ、命の始まりに迫ります。本当に素直で、いきいきとしたいい子たちですね。その子どもたちと共に考え、しっかり意見を引き出す渡邊医師もすばらしいと思います。
明日から二泊三日で旅に出ます。でも,多分このシリーズは続けられると思います。旅先でパソコンが使えれば、ですが。できるだけ休まないで続けたいのです。旅の報告もしたいので、一日二つの記事もあるかもしれません。どうぞ読んでくださいね。
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コメント
美代子先生、はじめまして


」とパワーをもらっています。
私は三重県の公立高校で養護教諭をしています。
前の学校では、総合的な学習の時間の一部をもらって、1年生『大切な自分』 2年生『命の不思議さ・大切さ』 3年生『ユニバーサルデザインのまちづくり』をテーマに、各学年5~6時間、保健師さん、助産師さん、車いすバスケの選手の方などの力をお借りしながら生徒たちと勉強していました。
自分を大切に、周りの人も大切に、その中に「性教育」と言われる内容も、気が付いたら含まれていた・・・というスタンスでした。
今は工業高校で、男の子たちが知識もないまま行動だけはしていくこと、少ししかいない女の子にもなかなか知っておいてほしいことを伝えられないことを気にしながらも、何もできないでいました。
今年ついに、もうすぐある文化祭の企画の1つとして、たった1時間ではありますが、『いのちの話』をすることにしました
対象が「希望者」なので、どれだけ集まってくれるかわかりませんが、かわいい大事な私の宝物たちに、最低限の知識と、自分や周りの人の大切さを伝えたいと思います。
前任校でお世話になった助産師さんに、胎児・赤ちゃん人形もお借りしました
雑誌の連載と本、このブログで先生のファンになり、男の子への性教育や、今の小学生の性教育などのシリーズに、「やらな
これからもブログで色々なことを教えてください
投稿: 楓 | 2009年11月 3日 (火) 17時04分