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東チモールの白血病の患者さんとドクターたち。

 昨日、西チモールのドクター二人がクリニックに来られた。15日の国際交流・協力の日」の「地球のステージ」に出演したドクターだ。

 今、東チモールに白血病でとても危ない状況にいる男性がいる。薬があれば治療できるのだが、その薬がない、と。国際交流、特にモンゴルへの様々な支援を行っている小川順子さんが何とかならないだろうか、と、一緒に相談に見えたものだ。

 患者さんは45歳。骨髄性白血病でその中でも「「M6」という難しい病気だと。ほしい薬は二つ。

 私は、白血病については全くの門外漢で、薬の日本名が分からない。「今日の治療指針」をくって調べた。でも、どうもこれではないか、というところまでしか分からない、しかも、どれくらいの量があればいいのか、それも分からない。

 そこで、日赤の白血病のスペシャリストに電話して、教えを乞うた。命がけで白血病の治療にうちこんでいる、でも、性格がとても難しいという医師だ。以前、その医師の私の患者さんへの対応について、トラブルになったこともある。でも、ことは「白血病の患者さん」のことなのだから、と、勇気を持って電話した。「教えてほしい。」と。

 さすがに彼は、患者さんの年齢、病名、欲しい薬を聞いただけで、ダアーッと、様々なことを教えてくれた。電話の向こうで、目一杯必要なことを教えてくれた。

そこで分かったこと。もし診断が正確であるのなら、「M6」はきわめて珍しい。それも、とてもシビアで、まだちゃんと生きているのか、もし生きているのであれば、治療をすることはできる。50%の確率で寛解にもっていくことはできる、しかし、その後の治療が大変だと。少なくなった白血球、血小板などを回復させる治療、それはとても高価な治療になるであろうと。

 彼らが欲しい薬は、日本名で〇〇と〇〇。しかし、古い薬でもうあまり使わないのだと。でも、彼らは、その古い薬を欲しがっている。

 日赤のドクターは、もし、彼を日本、広島に連れて来れば、治療はする、とも言ってくれた。でも、チモールのドクターたちは、首を横に振った。とても貧しくて、日本に来るお金もない、と。

 貧しい国、貧しい人は、病気になっても治療は受けられず、死ぬしかないということか。

 私に出来ること。それは、その彼らが欲しい薬を手に入れること。薬の問屋さんに注文すればよい。それをドクター達が帰国されるときに持たせてあげること。それから、その二つの薬の使い方のプロトコールを書いた「今日の治療指針」をコピーしてあげること。

 そこまでならできる、と私はチモールのドクター達に伝えた。そしたら、そのドクター達が言った。「どうしてそんなに親切なのか」と。私はびっくりした。どうして、と言っても。そんなことを言われるほうがびっくりで、言葉が出ず、絶句した。そばで小川順子さんがけらけらと笑っている。

 他国の支配、紛争、住民の虐殺、まだまだ政情不安で、貧しい生活を送っている東チモールの人々に少しだけ思いを馳せる。

 ドクター達は、専門ということもなく、何でもするのだと。母子医療も。それでも、まだ超音波なんて夢物語で。赤ちゃんの心音を聞くドプラーの機械もなく、私達が昔に使っていた、木の聴診器、片方を母体のおなかにくっつけて片方を私達の耳にくっつけて赤ちゃんの心音を聞く、トラウベという、それを使っているのだと。

 そんな状況の中で懸命に這いずり回るようにして、貧しい人々の治療に当たっているドクター達にも心打たれた。

 ここのところ続いていた中学の講演を巡っての横槍、自らの保身しか考えない学校当局。講演会実現のために力を尽くして下さった保護者達、講演を楽しみにしていた生徒たちには、本当に申し訳ないことだけれど、そんなの小さなことだと思えるようになった。また、近いうちに気の合った人たちと自由に講演会をセットしましょう、そう結論付けた。少々私の心が傷つきもしたけれど、チモールのドクターたち。薬もなく、患者さんの治療が出来ない、その苦しみに比べれば、私の傷なんて、小さなこと。そう思えるようになった。


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ぜひ、覗いてみてください。

広島ブログ

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コメント

本当ですね。
自分にできることを見つけて前進しますo(^-^)o
いつもありがとうございます。

投稿: うさこ | 2009年11月17日 (火) 08時59分

 生き死に・・・寿命、生活の水準、読み書き等々、自分がどこの国に生まれたかで随分違ってきます。
 30年くらい前に中国からの留学生に言われたことがあります。「あなたは日本で生まれて日本にいるから、病院に行って診てもらえるし、文字だって当たり前のように読めるし、食べることに困ることも無かったでしょう。人間はどこの国に生まれたかで、生きられるかどうかまで違うのよ。」と。それを思い出しました。

投稿: momoko | 2009年11月17日 (火) 12時44分

クローン病でも、薬は一切服用せず、腸に悪い食事に飲酒、ダブルバルーンも大腸カメラもせず、二ヶ月に一回の採血で「CRPも血沈も上がっていないから大丈夫」と言う方もいます。
凄い勢いで治療法が進歩する日本にいて、敢えて服薬もしない方もいれば、古い薬さえ服用出来ない方もいる。皮肉なものです。

先生の講演は大切な事ですが、横槍が入るようではやる気も失せますね。
忙しい中、わざわざ足を運んで甲斐がないと言うものです。
先生の意志が尊重される形で、是非継続して頂きたいと思います。

投稿: けん | 2009年11月17日 (火) 13時31分

命はお金で買えるということですよね。
外国で認可され日本ではまだの薬でも助かる命はあるけど、お金がない人はその薬は使えない。
新型インフルエンザのワクチンでさえ、色々な書類を書かないといけないらしいですね、その書式を確立するまで治療を始めなかったために失われた命があったと思うと、悲しいことですね。
後期高齢者医療制度でも、未だに解決はされていません。民主党は事業仕分け先行ですね。閣内に入った社民党は何をしているのでしょう。
収入の少ない高齢者は、自分の命を買えるお金がないから、日本もティモールと同じかもしれませんね。
格差社会は、命の格差も生んでいると思います。
先の知事選でも重要な事項ではなかったと思います。

投稿: やんじ | 2009年11月17日 (火) 20時59分

うさこさま
そう、うさこさまも大変ですね。でも、頑張ってね。近くにいれば、直接お話できるのだけれど・・・。いつか、近くに行くときもあると思います。その時には、お会いしましょうね。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2009年11月23日 (月) 12時22分

momokoさま
ええ、本当にそう思います。ただ、豊かにな所に生きているものが幸せだとかは、一概には言えませんけれど。今回のチモールの方たちは、本当に厳しいところに生きていて、医療とも無縁の生活を強いられています。お気の毒ですが。どうにも、なんにもして差し上げられない、無力を感じます。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2009年11月23日 (月) 12時25分

けんさま
ええ、日本にいると、いろいろと自分で治療法を選択することもできます。それは、やはり幸せなことですね。けんさまも大変でしょうが。どうぞ、健やかにすごされますように。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2009年11月23日 (月) 12時32分

やんじさま
ええ、寿命も金しだいなのです。悲しいことです。ただ、白血病などの高額の医療費がかかるのは、日本では、「高額医療」の上限を超えるのは補助される仕組みになっているので、なんとか治療は出来るのです。チモールの人たちは、全く医療の恩恵にあずかることは出来ません。お気の毒なことですが、何にもしてあげることは出来ませんでした。そうそう、チケット取りに来てくださいね。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2009年11月23日 (月) 12時40分

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