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企業での子宮がん検診の実施について。

 とてもしつこいのですが、またこのグラフです。クリックして大きくして見て下さい。

Photo なぜ日本の子宮頸がん受診率が低いのか。その一つに、高齢者の方が産婦人科を受診しづらいことをあげて来ました。そのため、高齢の方の子宮がんの発見が遅れ、死亡率が高いことはこれまでにもお話ししました。「高齢の方の子宮がん死亡率」。もう一つ、家庭の主婦は職場での定期健診がないので、なかなか自分からは検診に行かないというのもあると思っていました。

 でも、どうもおかしい。働く人の子宮がんの検診もあまり行われていないのではないか、と感じていました。私のクリニックはビジネス街にありますし、土曜日にも夕方まで診療をしているので、けっこう働く人が来ています。子宮がん検診をしていない人に、「会社で定期健診がある?」と聞きます。労働基準法で決められていますので、働く人は定期健診をうけなければなりません。わたしのクリニックでも、年一度の従業員の健診をしています。

 ところで、その健診で「子宮がん検診や乳がん検診は?」と聞くと、多くの方がそれはないと言うのです。とても大きな会社でも、社員の健診にこれらが組み込まれていないのです。かろうじてあるところでも、それは40歳以上です、という答えが返ってきます。

 厚生労働省では、今、子宮がん検診は20歳以上に、と決めて、行政に指導をしています。住民健診として、20歳以上の人は、行政の補助で、広島市では2年に一回1000円で子宮頸がん検診が受けられます。なぜ会社ではそれに準じての社員健診をしないのでしょうか。

 私は立派な会社で組合もしっかりした組織の社員の方には、「組合を通じてでも、婦人科検診を社員健診に組み込むよう、せめてオプションで希望者だけでも出来るように、要求をしてもらいなさい」とけしかけています。

 そんなとき、先日の宮崎県の看護協会での講演の際、聞いてみました。「皆さんの職場で子宮がん検診が社員健診に組み込まれている人?」と。ほんの少数でした。「いない人?」圧倒的でした。やはり。企業の経営者にも問題があるのですね。

 組合健保をもっているところなど、社員の癌で健康保険が大変だという話しはよく聞きます。であれば、社員の癌は早期発見をして、早期に治療をしたほうが、うんと医療費は少なくてすむのにと思うのです。

 ところで、最近、「ブログを読んで子宮がん検診をしなければと思って来ました」と言ってクリニックに来てくださる人が増えました。少しでもこのブログがキャンペーンになっているのであれば、うれしいことです。ブログを続けるかいがあるというものです。

 今日は、性教育の研修会です。広島の児童相談所の所長さんに、自相での性に関わる子どもの事例ついてのお話を聞きます。私のクリニックでも、とってもかわいそうな子どもの来院があって、胸が詰まります。これは、「子どもの問題」ではなく、すべて「大人の問題」です。しっかり勉強してきます。


コスモス薬局のHPの中に私の「体の相談室」と「著書」の販売があります。
ぜひ、覗いてみてください。

広島ブログ

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コメント

はじめましてメケコと申します。福島県在住の20代です。
いつもblog拝見しております。

昨日、友人の披露宴で広島に行きました。
河野先生の近くにいるんだなぁと思うと嬉しかったです。

先生のblogを読んで私自身、たくさん勉強になってます。

私の家庭では教えてもらえなかった性教育を、私は自分で伝えたいと思います。

ご苦労も多いと思いますが、これからもお体を大切にしてご活躍ください。

投稿: メケコ | 2009年11月22日 (日) 13時07分

メケコさま
わあ、福島から広島へ、ですか。私も福島へはPTAの方達や高校生にお話しに何回も行きました。こちらでは暖かかったのに雪があってびっくりしたこともあります。ブログ、読んでくださってありがとうございます。コメント、とても励まされました。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2009年11月23日 (月) 12時19分

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