児童相談所の所長のお話を聞きました。
昨日は、性教育の研修会で、広島市児童相談所の所長さんの話を聞きました。この社会では、子どもたちの上にとても信じられないようなことが起こったりするものです。私は、産婦人科医療の現場でそのようなことは数多く見て来ました。そこから、また私はどのような性教育がなされるべきであるかということを学んだりもしています。
「虐待」。これは、本来「抵抗できない弱い立場の人が、暴力の被害にあうこと」なのですが。今の法律「虐待防止法」では、「性的虐待」は保護者(親権を行う者)と定義されています。私はびっくりしました。私の現場ではよくある、たとえば「塾の先生」や「兄弟」からの性的な暴行は、虐待だと思っていたのです。でも、法律上はそうではありませんでした。ですから、虐待防止法では対処できないのです。
虐待防止法により、「虐待」に気づいたものは通告の義務があり、また、それによって児童相談所は様々な行動を取ることが出来ます。しかし、性的虐待はそもそも周りが気づくことはまれですし、それに本人もこれはほとんど人には言いません。そして、たとえ気づいたとしても、それが親権を持った親の場合にのみ、法で禁止され、通告しうるものなのですね。
本当にびっくりしたし、また、勉強になりました。
今の社会、多くの子どもたちがかわいそうなことになっているのは、本当に胸が痛みます。「家族や親」のためでなく、「子ども自身」のために、児童相談所の職員の方達が骨身を削っていることもよく分かりました。
数々の事例など、盛りだくさんのお話しが聞けてとても良かったです。私たちがこれから進むべき方向も少し、見えて来ました。だって、子供の虐待は、ひたすら「大人の問題」です。その大人たちが子ども時代にどのような生き方をさせられ、何を学んできたか、これが課題でしょう。
それにしても、今の法律では救えない子どもたちがいること。早く「法律の整備」がなされなければなりません。子どもたちを丸ごと守るべき「子どもの権利条約」が批准されたのに、その先がさっぱりです。
「子どもの権利条例」の制定に反対する人たちが、本当に子どもの幸せを願っているのでしょうか。そのままで幸せな子はそれでいいのです。そうでない子を救うためにも、条例の制定が早くされなければ。子どもの幸せを願うのなら、この今の法律では守れない、隙間を埋める形になりうるであろう権利条例に反対できるはずはないと思うのです。唐突かも知れませんが、改めて、そんなことを感じました。
私にとってとても重い研修となりました。
ところで、その時、児相の所長から「里親になりませんか」というパンフレットをいただきました。今日、そのパンフをスキャンしていませんので、アップできませんが、広島市のホームページをぜひのぞいてみてください。里親には、養育里親、親族里親、専門里親などがありますが、それ以外に、「ホリデー里親」というのがあります。児童養護施設などで生活している子ども達に、週末や夏休み・冬休みを利用して家庭生活をしてもらうために継続的に預かっていただくボランティアの方です。
パンフレットに、ホリデー里親に行った子どもから里親への手紙が載っています。10歳の女の子です。
・はじめてもちつきをして、おもちをまるめてあつかったけど、じぶんでつくったおもちはおいしかったです。もってかえったおもちは、みんなでたべます。
・運動会を見にきてくれてありがとうございました。写真をとってくれたり、はげましてくれてありがとうございました。
・このまえは、とまりにいかせてくれてありがとうございました。たこやきづくりもたのしかったです。はなびもきれてでした。
・元気にしていますか。私はかぜをひいています。元気になったら、また、遊びに行きます。
ああ、こんなボランティアもいいなあ、と思いました。
コスモス薬局のHPの中に私の「体の相談室」と「著書」の販売があります。
ぜひ、覗いてみてください。
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コメント
生活に余裕ができたら、やってみたいですね。
投稿: やんじ | 2009年11月23日 (月) 15時48分
やんじさま
里親は、ホリデー里親も含めてお金が出ます。経済的には心配しなくてもいいみたい。ただ、やんじさんの場合、生活のリズムとの兼ね合いが、工夫いるかもしれませんね。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2009年11月24日 (火) 08時14分