渡邊智子医師の性教育③赤ちゃんが生まれること
赤ちゃんを産むときには痛くて大変だったり、いろいろな危険があります。
人におこる危険で知っていることはありますか?
子どもたち:血がいっぱい出て死んじゃうこともある
手術になることもある
1年生のときみんなはカマキリを飼っていたけど、カマキリには何かリスクってあったな。
子どもたち:共食い!
赤ちゃん産むときお腹がすいているとメスがオスを食べてしまう。
もし男の子が将来結婚して、奥さんに赤ちゃんができて、出産のとき、奥さんに「あなた!お腹すいちゃったけど、食べてもいい?」って聞かれたら、「どうぞ」って言えますか?
子どもたち:たべられるのは嫌!
どこかへ逃げちゃう
でもみんながそうして逃げてしまったら、カマキリの子どもは生まれるかな?
子どもたち:生まれない、絶滅する。
どんな生き物にも赤ちゃんができて出産するまでにはいろいろな危険や大変なことがあるんですね。そんな大変な思いをして、なぜみんな赤ちゃんを産むのかなあ。赤ちゃんを産まなければどうなるだろう。
子どもたち:みんな絶滅しちゃう
そうだね。みんないつかは死んでしまうから、赤ちゃんが生まれなかったら絶滅してしまいます。もし誰も死ななくなったら?
子どもたち:人がいっぱいであふれちゃう!
この教室も80人くらいいれなくちゃ。
どの生き物も必ず死にます。人間もそうです。たくさんの病気の治し方を知っているお医者さんも死にます。だからこそつらい思いをしても赤ちゃんを産むんだね。赤ちゃんを産むときには、お腹が痛くなって長い時間がかかります。でも痛いのに頑張れるのは、お休みの時間があるからです。それに赤ちゃんを産むときの痛みは、赤ちゃんを押し出すエネルギーです。だからお母さんたちはみんな頑張れるんですよ。もしお休みがなかったら、長い時間頑張れません。
手術で赤ちゃんが生まれるときも、お腹は痛くなります。でもお休みのない痛みなので、「麻酔」というお薬で、痛みを軽くするのですよ。
四羽さんは1歳なのに赤ちゃんを産む準備ができているのですね。みんなが
1歳のときは何をしていましたか?
子どもたち:ハイハイしていた
立っていた
8歳のみんなは赤ちゃんを産む準備ができていますか? できてなーい!
四羽さんはみんなより後に生まれたのに、みんなを追い越して大人になっていってしまいますね。
子どもたち:四羽の人生は僕たちの人生の早送りなんだ
そうです。だからみんなもいずれ四羽さんのように大人になって、赤ちゃんが生まれる体へと成長していくのです。これから成長していく私たちのからだについて勉強していきましょう。
第1回 性教育終了
{渡邊先生の感想(略があります)}
どの子の発言もまっすぐで、思いやりのある内容ばかりで、授業をしながら感動することも少なくありませんでした。授業計画を立てている時点ではこのような哲学的な問答をする予定ではありませんでした。子どもたちの気持ちに応えようとした結果このようになりました。休み時間になると津波のように子どもたちが押し寄せてきて、口々に自分の生まれてきたときの様子を教えてくれたり、質問をしてくれました。「どうしたら赤ちゃんができるか」を真剣に考えている子どもも少なくありません。また笑いも絶えない授業でした。
「次はいつ来てくれるの?」「もっと知りたいこといっぱいあるんだよ。」
授業が終わった後、そんな声をたくさんかけてくれました。その迫力に押されてまた5月30日に土屋先生から貴重な授業時間をいただくことになりました。
次回は四羽さんがいません。ですからいよいよ子ども自身の体について学ぶ時間にしていくつもりです。
私は医師という専門家として、子どもの疑問に、知っていることは全て答える覚悟で臨みます。しかし、知らないことや忘れてしまったことは正直に子どもに伝えようと思っています。何回で終わるのか、実際終わりがあるのかすらわかりませんが、私も子どもたちとともに成長していくつもりでやります。
今後ともご支援・ご指導をよろしくお願いいたします。
ご質問、ご意見ございましたら、渡邉までお寄せください。よろしくお願い
いたします。
以下河野です。
以上で第一回目の授業は終わりです。まだ後二回に渡って授業がありました。そのご報告もします。本当に子どもたちがのびのびと、楽しく愉快に、でも命の本質をしっかり捉えた素敵な授業だと思います。二回目三回目、さらにすばらしい授業が展開されます。お楽しみに。

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