昨年度、人工妊娠中絶の統計から。
一昨日の東京での「避妊教育ネットワーク」で、家族計画協会の北村邦夫医師に、 昨年度、平成20年度の日本の人工妊娠中絶数の発表があった旨教えて頂きました。母体保護統計です。
これによると、昨年度の人工妊娠中絶総数は242,292で前年より14,380減少しています。人口1000対の実施率は、9.3から8.8への減少です。
減少し続けているその理由は、ピルの普及など避妊の意識の向上が何より考えられますが、マスコミの分析の中には、カップルが「セックスをしなくなっている」ことを挙げているのもありました。これは、私たち現場でも、日々実感していることです。
それはそれとして、その総数、ならびに実施率を上げておきますね。( )内は実施率、人口1000対の数です。15歳未満と50才以上の実施率は出ていません。
15歳未満347 15~19才22488(7.6) 20~24才56415(16.3) 25~29才 51719(13.8) 30~34才49461(11.2) 35~39才43385(9.1) 40~44才17065(4.1) 45~49才1378(0.4) 50才以上22 年齢不明12
私の持論です。人口中絶というと、若い人のことばかり言われています。でも、実際多く受けているのは、大人なのですね。総数、実施率ともに一番多いのが20~24才、ついで25~29才、30~34才、35~39才、そしてこの次に15~19才が来ます。
私は、大人になると、誰も避妊など教えてくれないから。ちゃんと知ることなく、俗説を信じてしてしまうから。 だから、若いうちに、学校教育の中で教えるべきだと考えています。
もちろん、今のような情報社会ですから、ネットでも本でも何でも、知ろうと思えば知ることばできます。でも、その前の意識、もし妊娠しても産めないのなら、「避妊は必死でしなければならないもの」という、それが分かっていないのです。性というのは、そもそも生殖行為、妊娠する行為なのだから。甘いものではないということ。私が避妊を教えよと言うのは、それを教えよということなのです。
コンドームを知っていても、使わなければ何もなりません。
「外に出せば大丈夫」。そんな意識ではダメなのだと。それをしっかり教えてほしいのです。「避妊を教えると、若者がしたがるから」、「若者をそそのかすこになる」なんて、そんな理由で、今は義務教育では教えてはならないことになっています。
そうではない、避妊というのは、こんなにしんどいことなのだよ、と、将来にむけて教えてほしいのです。
「中学生に教えると、中学生のセックスを認めることになる」と。今は、その考えで、避妊を教えることはまるで犯罪のように捉えられています。
今回の統計を見て、ますますその思いが強くなっています。大人たちが避妊を分かっていないのですね。
若い人の中絶だけが問題なのではありません。中絶をしなければならない女性は、いくつであってもとてもしんどいことなのですから。
コスモス薬局のHPの中に私の「体の相談室」と「著書」の販売があります。
ぜひ、覗いてみてください。
| 固定リンク
コメント
ピルは、避妊の他に、子宮内膜症や重い生理痛などの緩和にも効果があるとよく聞きます。
使ってみたいなぁとは思うのですが、ホルモン剤であることに抵抗を感じてしまいます。
薬の成分が、科学的な成分ではなく、人由来の成分だったら怖いなぁ、癌に罹るリスクが高くなるのでは?という噂など、誰にも聞くことのできない疑問がいっぱいです。
投稿: みっこ | 2009年10月28日 (水) 09時41分
産婦人科は敷居が高いというか、未婚者には勇気がいります。
婦人科系の事で勇気を出して相談に行きました。
人気があるのか、ものすごく混雑し2時間待ち。
内診だけして帰るつもりだったのに、事前の一言もなく(多分)保険内で子宮ガン検診を済まされていました。
こちらから子宮ガン検診をお願いしますと言ってないのに、一方的にされてしまった感じ。
費用も3600円位(領収書行方不明)
開業医なら、これが普通ですか?
河野先生に子宮ガン検診をお願いしたら、いくら掛かるのでしょうか?
病院の方が安いイメージがあります。
相性のいい先生に出会う方がいいけど、患者としては安い方が助かります。
投稿: 愛 | 2009年10月28日 (水) 18時54分
私の考えは厳格主義なので、基本的に子供がセックスすること自体苦々しく思っています。
そんなに早く、初体験を迎える必要がどこにあるのか、他に考えることはないのか、と思いますが、この考えは理想主義であって、現実的でないことは承知しています。
どうしたところでこのような時代である以上、先生のお考えに全面的に賛同致します。
安易な情報が氾濫する状況では、まず正しい知識を学ばせることが肝要であり、取り返しのつかない事態を回避する最善の手段と考えます。
メイド喫茶が乱立する日本橋を歩いていたところ、メイドさんの格好をした女の子にチラシを渡されました。
何かと思えば、「膝枕で耳掃除、3000円」とのこと。唖然としました。
戦場では慰安所。平時であっても遊廓。今はAV。そして風俗ではないにしろメイド喫茶?女性の性を商品にするアイデアが、良く次々と出てくるものです。
慰安婦は一人で二十人や三十人を相手にさせられ、軍の依頼で戦地におもむいた玉ノ井や吉原の遊女は、大勢相手の仕事に驚いたとのこと。
宋神道さんもおっしゃっていましたが、戦場では「遊ばせる」と表現していたらしいですね。
この「遊ばせる」と言う表現に、強い違和感を感じるのは私だけでしょうか。
「膝枕で耳掃除、3000円」「フットマッサージ、4000円」呆れてものも言えません。
物見遊山で話のネタに、一度だけメイド喫茶に入ってやれと思っていましたが、自分の娘ぐらいの年の子達を見たら、回れ右してしまいました。恥ずかしいやら情けないやら。
こんな時代だからこそ、子供達には是非にも正しい性教育が必要と感じる次第です。
投稿: けん | 2009年10月28日 (水) 22時09分
みっこさま
ホルモンは害という困ったうわさが広まっているのは、日本だけです。みんなホルモンのおかげで元気に生活できているのですよ。低用量ピルは日本では、避妊目的だけでなく、月経が楽になる、定期的に来るようになるという理由で飲んでいる人のほうが多いのですね。でも、避妊がキチンとできるるのは、とても大切なことだと私は思います。がんになるというのは、全くうそです。むしろ、卵巣がんや大腸がんのリスクが軽減するのです。また、これらについてはブログでも書きますので、読んでくださいね。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2009年10月29日 (木) 10時23分
愛さま
内診と子宮頸がんの検診だけだと、初診料も含めて、656点。6560円です。保険だと、三割負担で、1970円です。それだけでなく、たとえば超音波で子宮や卵巣を見るということなどもあったのではないでしょうか。私も全く初めての人で、必要があれば超音波で診ますので。どちらにしても、領収書に、した医療の内訳が書いてあるはずです。それから、次からは、してもらいたいことをはっきり伝えておくということも大切でしょうね。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2009年10月29日 (木) 10時28分
けんさま
風俗は手を変え、品を変え、次々と現れています。このところ、風俗がらみの病気の患者さんが続いています。それだけ人間関係が貧しいのでしょう。ただただセックスをしなければいいと言うのではなく、本当に心から満足する素敵な性といいのは、何だろうという、そんな教育をしたいと思います。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2009年10月29日 (木) 10時32分
お返事有難うございました。
超音波らしき画面もありましたが、正常だったのか特に先生からの説明もなく。
内診だけで良いと伝え、まさか、いきなりガン検診まで済まされるとは思いもしなかったのです。
はじめての体験だったし、産婦人科の先生は素っ気ない印象で。(多忙で心の余裕が無かった感じ)
せめての救いが事務の方の心配り。
支払いの時の一言「大変お待たせしてごめんなさいね。」っと。
友人はポリープを取った後の出血が止まらず、翌日相談の電話。入浴しても良いかどうかをその時に相談したら、入浴は避けてと言われたらしい。
オペした時に、入浴不可と言ってくれたらいいのに!っと憤慨。
患者の立場で何を聞くべきか、つい忘れてしまいます。
処置後のアフターフォローというか、こんな症状があったら、こうしなさいという説明もしくはメモがあれば安心だと思いました。
投稿: 愛 | 2009年10月29日 (木) 14時02分
そうなんですね。
生理が重く、辛いので使ってみたいと思っていました。
病院では、聞きづらかったり、聞き忘れたりすることも多いので、このように書いていただけることは、本当にありがたいです。
投稿: みっこ | 2009年10月29日 (木) 15時19分