子宮内膜症の治療について
今日の日曜日は、日本産科婦人科学会広島地方部会総会でした。お昼のランチョンセミナーは高知大学医学部産科婦人科学教室の深谷孝夫教授の「子宮内膜症治療の変遷と新しい薬物療法」という講演でした。
子宮内膜症、激しい月経痛や性交痛、不妊を起こす病気ですが、今だにその原因もわからない、不思議で深刻な病気です。私が医師になり立ての頃は、麻薬を使わなければならないほど強い月経痛で、涙を流す患者さんもしばしばでした。
しかし、この病気については、数々のお薬もでき、外科的な治療も含めて世界的に研究され、ずいぶん治療が進みました。しかし、いろいろな治療が一気にできた感があって、現在ではどう治療をすすめたらいいのか、迷うこともありました。今日の講演でその方法も整理されたので、明日からの患者さんの治療にすぐに役にたちそうです。
この病気で苦しんでいる方も多いと思いますので、今日気づいたことを少しお伝えしますね。
まず、子宮内膜症の一つ、卵巣のチョコレート嚢腫は時に癌化することがあることが知られていますが。その割合は0.5~3.4%もあるとのこと。私もこれを警戒して患者さんには、三ヶ月に一回は見せて下さいと言っています。が、が、100人中0.5から3.4人もの人が癌になるというのであれば、もっと気をつけて診ようと思いました。
このチョコレート嚢腫は、以前は10センチに、そのうち7センチに、そして最近では6センチになったら手術を、とされていましたが、今回の講演で、ヨーロッパでは今、3センチになったら手術をしたほうが良いとされたそうです。これには、うーん、3センチとなったら、ほとんどの人が手術を、となってしまいます。で、同時に外科手術のしすぎは、妊娠する能力を損なう恐れもあるとのことですので、その兼ね合いがとても難しいことになります。
お薬も色々です。今日のお話では、選択肢は、まず低用量ピル、効かなければ、ディナゲストという黄体ホルモン単独の内服薬、そして、偽閉経療法という、月経を半年止めて内膜症の部分を枯らせるという治療、これも無効であれば、手術、このあと妊娠を望む人であれば、すぐに妊娠を目指した治療、それも体外受精のほうがウンと成績が良いとのこと。妊娠を目指さないのであれば、手術のあと、またお薬を、とのことでした。
一応、治療の方向性がはっきりしました。講演を聞いてよかったと思います。
昔は、本当にうんうんと耐えるしかなかったつらい内膜症ですが、こうして治療もどんどん進んでいます。医療の進歩も捨てたものではないと思います。
これは、ペットボトルのキャップです。800個でアフリカなどの貧しい国の子どもにワクチンを一本うつことができます。と、先日行ったWeプラザで協力の呼びかけがありました。早速クリニックでも集めています。たまったら、Weプラザに持っていきます。

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ぜひ、覗いてみてください。

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コメント
そうなんですね。医者から、筋腫がだいたい4~5センチでぎりぎり内膜にひっついてるかな~といつも半年定期検査でいわれます。右下腹がちょっと引きつる感じがたまにあるから、ひっついた!?か^^と心配になります。でも初めてしりました筋腫がおおきゅうなると、内膜にひっついて子宮内膜になると、、、ほんと?先生!私の理解であってます?^^あっカンジダ先生のコメントみて不安で行ってきました!キョワイじいちゃん先生が顕微鏡で確認する時間心臓バクバク^^ひとこと、これではもう来なくていいでしょう。。。安心。
投稿: はいむるぶし | 2009年9月 9日 (水) 08時40分
はいむるぶしさま
筋腫を持っているのですね。いえ、筋腫と内膜症は、全く別のものなのです。筋腫が大きくなって内膜にくっついても、内膜症になることはないのです。私が書いた大きさは、内膜症による「卵巣のう腫」の大きさのことなのですね。いまかかっているドクター、とてもしっかり診てくださるようですので、信頼して受診を続けて下さいね。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2009年9月11日 (金) 08時35分