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息子が彼女を妊娠させたなら(7)親はどうすればいいのでしょう。

「ママ、もし、私が高校生で妊娠したらどうする?」

 娘が小学生の時、私にためすように言ったことがあります。当時、私は勤務医で、若い人の妊娠だの、中絶だの、養子縁組だのと奮闘していたころです。

私は言いました。

「ママがどうするという問題ではないでしょう?あなたがどうなのかということでしょう?あなたが、この妊娠はつらい、産みたくない、と思うのか。ああ、うれしい。私はこの子を産んで育てたいと思うのか。それによってママがあなたをどう助けてあげるかが、決まると思うよ。いい?私の問題ではなくて、あなたの問題なのだからね。」

 そしたら、娘は、「ふーん」と考え込んでいました。そして、言いました。

「でもね、パパがね。」と。

「そうね、パパはきっと悲しむよう。あなたを殺す!と言うかもしれんねえ。もし、そうなりそうだったら、パパには内緒にしないといけないこともあるかもねえ。」と。

 そして、中学生の息子にも言いました。もちろん、まだ彼女なんていない時です。

「彼女を妊娠させたらいけんよ。もし、妊娠させたら、その時、あなたから「おろしてくれ」と頼むことは許さないよ。彼女がもしこの妊娠はつらい。私は産みたくないと言ったら、それはしようがないけれど。彼女が産みたいと言ったら、それはちゃんと引き受けないとね。ちゃんと働いて、親子の生活を支えんといけんよ。」

そしたら、娘がそばから言いました。

「大学はどうなるん?」と。

「行けるか。大学なんか行かずにちゃんと働かんといけん。しっかり働いて、もし、将来生活にゆとりができて、また勉強したいと思ったら、そのときに大学に行けばいい。」

そしたら、娘がまたいいました。

「あああ、お兄ちゃんの人生、真っ暗じゃ!」

そしたら、息子が

「妊娠何かさせんよ。そんなことはせんよお。」

と言ったのです。

 私は、あくまでも自分のこととして捉えてほしかったのです。自分のからだ、自分の行動は自分自身のもの。他の誰のものでもありません。親のものでもありません。そう考えてほしいと思っています。だって、結果のすべてが自分自身にかかってくることなのですから。ただ、自分の責任として考えるように、様々な情報は積極的に与えたいと、そう思っています。ここに述べた避妊のしんどさも含めて、ちゃんと伝えておかなければと。

 その上で。もしも、自分の息子さんや娘さんに何か困ったことが起きた時。まず、しっかり話しを聞いてあげてほしいのです。自分自身はどう思っているのかと。親が子ども自身のことより、自分の立場で対応すると、それも自分自身の世間体が前面に出るとき、とても子どもの心を傷つけてしまいます。

 彼、彼女のためにどうすればいいのかを子どもたち自身と共にしっかりと考えてほしい、そう思います。

 これも以前、家庭での性教育のシリーズで述べたことなのですが、

「何かあったら助けるよ。私はあなたの親なのだから、あなたが困ったときには、何があっても助けてあげたいと思う。どうしたらいいか分からないときには、どうしたらいいか、一緒に考えてあげることができると思う。ここに、相談相手がいるということだけは忘れないでね。」

と、何かあったら助けるよ、とのメッセージは機会あるごとに伝えてほしいのです。私は、身近に相談相手を持たず、親には知られたくないがために時期を失し、そのためにもっと悲劇を拡大する、そんな若者の姿を散々見てまいりました。

 厳しく禁じていれば、それで行動は取らないだろう、とそう考えていたなら、甘いのです。その結果は、ただただ親に内緒にしようとするだけです。若者自身が賢く行動できるように、自身で納得できる、そんな伝え方をしなければ、と思います。

 もしも、二人が人工中絶を望むという結論を出したのであれば、それも個人の選択です。ちゃんとした中絶の仕方ができるようにサポートをしてあげて下さい。親に知られたくないがゆえに、遠方の、安くて、同意書もいらないような、その後の薬も診察もしないような、とてもいい加減なところで手術をして、後が大変だった子もいます。中絶をしたら、それでその子の人生がすべてダメになってしまうわけではありません。また、早く立ち直って強く生きていくこと。そのためのサポートも必要です。私は人工中絶なんて、一回きりのもの。二度と繰り返さないこと、そのために必要なのは何だろう、と、そんなケアをしています。

 もしも、二人でこれから産んで育てようという結論を出したのであれば、周りはそのサポートをする、そんな覚悟も必要なのだと思います。ちょっとした親のサポートで、ちゃんと子育てをしながら、二人とも高校、大学を卒業して就職したカップルもいます。

一旦、これでこのシリーズを終わります。いろいろなご意見、ありがとうございました。まだすべての方のコメントにお返事を差し上げていません。ごめんなさい。これから、ゆっくりとお返事をしますので、お許しくださいませ。


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ぜひ、覗いてみてください。

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コメント

先生、ありがとうございます。

私の中で
ずーっとほしかった半分のピースが
これでぴったりはまりました。


誰にも言えずに一人で苦しむ女の子がもっともっと減りますように。
命の誕生を他人事ではなく自分のこととして捉えることの出来る男の子が
もっともっと増えますように。

そしてそれらのことをしっかりと子どもたちに伝えることの出来る大人が
どんどん増えていきますように。


生まれてくる赤ちゃんが
みんな
両親の祝福のもとに元気な産声をあげることができますように。

投稿: Hoch | 2009年9月17日 (木) 21時39分

Hochさま
ありがとう。いつもHochさんの言葉には重みがあります。私がどれだけ励まされていることか。感謝しています。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2009年9月18日 (金) 08時27分

このシリーズ、ずっと読ませていただきました(先生のブログもいつも拝見させていただいています)。
それで、私が中学生くらいの頃に母が言った言葉を思い出しました。
「ttがもし妊娠したとしたら、『絶対に母親にだけは言わんといて』って言わんでちゃんとお母さんに教えてね」という言葉。実際に、妊娠した10代の方で「母にだけは言わないで」と言う方は多いそうですね。母は、絶対あなたを守るから、秘密になんてしないで教えてねと言いました。今、私ももうすぐ30歳を迎えますが、母の気持ちがわかるようになりました。
まだわたしは母にはなれていませんが、いつか母になったときに、河野先生のような、こういう会話が出来る親子でいたいと思いました。

投稿: tt | 2009年9月18日 (金) 09時00分

先生のブログの話は男の子の母として
しっかりと息子達に伝えます。
素敵なブログありがとうございます。

投稿: yuki☆ | 2009年9月18日 (金) 09時27分

はじめまして。
二児(長男17次男15)の母です。
無知だから故におこってしまう現実・・・私も10代の頃に辛い経験があります。だからこそ、子どもたちには知っておいてもらいたいと、切に願います!
我が子やその友達には折りに触れ話すこともありますが、その子どもの親たちから認識を変えていかないと減ってはいかないように思います。子ども達が自分に起こると思っていないように、親も我が子に限ってありえないと思ってしまうのです。

投稿: koke | 2009年9月19日 (土) 17時51分

ttさま
そう、その通りなのです。そのことが分かっていただけない方が多くって。素敵なお母様で、幸せですね。うれしかったです。これからもどうぞ、よろしければコメントくださいませ。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2009年9月20日 (日) 10時02分

yuki☆さま
ありがとうございます。ブログ、子育ての奮闘ぶり、拝見しています。今考えると、子どもがその頃が楽しかったなあ、と。いろいろと大変ではあっても。貴重な時をどうぞ、大切に楽しんで下さいね。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2009年9月20日 (日) 10時05分

kokeさま
ありがとうございます。こんなコメントをいただけると、本当に元気が出ます。これからもどうぞ、ブログ、覗いてくださいね。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2009年9月20日 (日) 10時08分

4歳の息子の母です。思春期に「さらば悲しみの性」を母に読まされたので20年もたって偶然このブログを拝見し、とても嬉しく頼もしく思います。本の印象は強烈に残っています(特に膿を出すパイプをお腹につきたてたままの彼女を屋上に連れ出す若い彼の話が悲しかったです)私も息子にきちんと妊娠、責任とは何かを伝えたいと思います。

投稿: なり | 2009年10月17日 (土) 23時08分

できちゃたならその産んだ子を医者など高学歴にさせて、将来的に子供に養って貰えばいいんじゃない?
子供が大きくなったら、ぱっと仕事をやめて実はとうさんは、大学にいけなかったんだ、だがお前も自立したことだ、大学に行く。金がなかったら大学の費用を
負担してくれとかおもいっきり甘えてみるいといいかも。

投稿: めめめ | 2011年11月18日 (金) 22時43分

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