息子が彼女を妊娠させたなら。(1)
もしも、あなたの息子が彼女を妊娠させてしまったなら。それも、まだ自立できていない息子であったなら。そして、その彼女がもし「この子は絶対産みたい」と言ったなら。
これは大変なことではあります。しかも、私の現場ではしばしばあることです。だって、若い女性の妊娠については、よく話題にもなるのですが、その妊娠には必ず相手の男性がいるわけです。でも、その男性のことについては、あまり話題にもなりません。
病院に来るのが遅れて、中絶が間に合わなくて、出産せざるを得なくなったとき。中学生で、または高校生で出産をしなければならなくなったなら、これは大変です。もしも出産の事実が近所や学校の人に知られたなら。「あそこの家の子がね、子どもを産んだんだってよ。」「何年何組の何とかさんがね」とうわさになったとしたら。彼女にとってはとても生きにくくなってしまいます。だから、その彼女のことが知られないようにしてあげることも私の大切な仕事なのですが。
でも、だいたい、赤ちゃんには必ず父親がいるにも関わらず、それも知られることもなく、だから、「あそこの家の子がね、こどもを産ませたんだってよ。」とうわさされることはまずありません。
だからでしょうか。男性の性教育については、あまりその必要性が論じられていません。
いざ彼女が妊娠したと、息子に打ち明けられたときの多くの親の姿を私は見てまいりました。彼女に中絶を迫る姿に情けない思いをしても来ました。
息子が認めているにも関わらず、「この妊娠がどうして息子との間の妊娠だと言えるのですか。何の証拠があるのですか。」と色めきたった母親。証拠もないのに、中絶の同意書は書かないといわれるので。
「同意書がないのなら、中絶はできませんね。産むしかなくなってしまいます。では、出産をして、それで親子の鑑定をしましょうね。」と言うしかなくなります。もしも親子であるとの鑑定の結果が出たなら、認知と養育費の請求をすることになりますね、と。
息子が妊娠させたにもかかわらず、「結婚前に妊娠するなんて、こんなふしだらなことをしでかす女を嫁と認めるわけにはいきません。」と言った人。
「私は、4回も5回もおろしましたよ。それは、主人を愛するが故です。あなたも、息子を愛しているのなら、息子のためにおろしてちょうだい。」と言った人も。これには、そばにいた私ものけぞりそうでした。
「産みたい」という女性の中絶の説得は、とても難しいのです。でも、これは産んでもとても無理だな、と私自身が考えたとき、私が中絶の説得をすることもあります。本当に困難ですが、でも、私だったら、それなりに説得もできます。情けないことですが。こんな母親と、その母親に対して何もいえない男性と。そんな人との間に産んでも、なかなか育てるのが大変でしょう、と説得することもあります。
息子の彼女に中絶を迫るくらいなら、その前に。息子さんにちゃんと教育をしていますか。と問いたいのです。妊娠してしまった責任を女性のせいにしてしまうことがないように。自分自身の教育を振り返ってほしいと思います。
この話し、少しシリーズにします。
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ぜひ、覗いてみてください。
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コメント
女性を快楽の道具として考えている。あるいは短絡的。考え方が幼児的。と言う事でしょうか。
私自身は、どうした所で持って生まれた資質が大きく、しっかりした子はしっかりしており、出来の悪い子は出来が悪いと絶望的に考えています。
と言うのも、どうすればしっかりした子になるかと常々考えており、あるいは佐山さんの所に預けようかと思ったりもしました。
勿論、骨の髄まで右翼にされるので行かせませんが、右翼や黒社会とのつながりを別にすれば、武道を通して超スパルタで鍛えるのも有効かとも思いました。
しかし、いかなる方法論を持ってしても、決定的な手段は存在せず、不出来な子は不出来だろうなと半ば諦めています。
38歳の男性が16歳の高校生と交際し、高校生の父親に刺殺される事件が起きましたが、結局良い年になろうが、いかなる教育を施そうが、馬鹿は馬鹿だと言うのが本音です。
自分の娘みたいな子と交際し、快楽を得ようとする者はするし、しない者はしないのではないでしょうか。
妊娠させても、馬鹿の一つ覚えで「個人の自由」で言い訳する子はするし、しっかりした子は、最初から妊娠させないだろうなと思っています。
私は自主的な意志の無い所には、決定的に変える事は不可能に近いと思っています。
例えば、「慰安婦」の事を教えても、下ネタにして騒いで終わる子がほとんどで、真剣に性について考える子はわずかでしょう。
快楽と女性の体について、真剣に考える子は考えるだろうし、考えない子は考えないだろうなと諦めています。
投稿: けん | 2009年9月10日 (木) 10時00分
この親にこの子供って感じですね。
本当に、子供を産む(子作りをする)ための資格が必要な時代が来そうですね。
おろすこと自体も僕はいやですね。
体内で人が死ぬんですよね。
そのひとと性交することを考えるだけで気持ち悪くなる><
おろすことを簡単に発言・選択して欲しくないですね。
どんなに避妊しても、すれば出来る確立は0にはならないということを、
性教育をしている学校でも教えないからね。
道具を使えばOKって言ってるからね。
投稿: みかん | 2009年9月10日 (木) 11時51分
はじめまして。青葉時雨と申します。いつもブログを楽しみに読ませていただいております。私には19歳と15歳の息子がおります。小さい時から体の絵本などを読まていろいろと伝えてきたつもりですが、逆に大きくなるとどう話していけばいいのか迷っているところです。そんな時先生のブログに出会いましたので来年ひとり暮らしをはじめる予定の長男、思春期真っ只中の次男両方にこのシリーズの記事を読ませようと思います。
投稿: 青葉時雨 | 2009年9月10日 (木) 14時18分
とても興味のあるタイトルです
高校生の息子にも彼女がいて
彼女のお宅にも毎日のようにお邪魔して
あちらのご両親にとてもお世話になっているようです
なかなか親子でこの話をすることがなく
いきなり話題を振っても拒否されそうで
先生のこれからのお話を伺いたいと思います
投稿: h-amuse | 2009年9月10日 (木) 17時52分
お久しぶりです。我が家も息子三人でしたが
中高に時代には、口を酸っぱくして、Sexとはと
話したものです。もし妊娠させたら、自分でおんぶして、学校に行くようになるんだよと
自分の責任を教えたものです。
何時も彼女を連れて帰っていましたが、親も何時も
中にはいたり相談相手になったり、責任感を持つ
事を教えていました。おかげで今は、三人とも
孫たちを連れて、我が家に帰ってきます。今でも
親父・・・相談に乗ってくれると 嬉しいことです
帰ってきたらまずバアバの処に行こうと、一番に
行ってくれることも、嬉しいことです。
投稿: yoshijii | 2009年9月11日 (金) 11時21分