私的平和考⑲国と国民(日食の日に)
「あの国は」と言うとき、そう言う人は、その国の何を指しているのでしょうか。為政者でしょうか、国民も含めているのでしょうか。
戦争への道をたどって考えたとき、軍人たちの暴走に、いつの間にか巻き込まれて行き、大変多くの国民が命を落とした、その姿をみました。核兵器で大量に犠牲になった日本人を他の国の人たちはどう思ったのでしょうか。日本の戦争を引っ張った人たちと、軍部の圧力に苦しんできた日本人もみんな同じように見ていたのでしょうか。
鬼畜米英と言って、アメリカ人たちを敵視した日本人は、アメリカ人もまた、人の子であると感じなかったでしょうか。アジアの国々の人たちを沢山殺した日本人は、そのアジアの国の人たちもまた、人の子であると感じなかったのでしょうか。そう感じさせなくさせるのが、戦争なのだと思います。
日本を憎んでいるはずの韓国の人たちは、私たちにとても親切です。
地下鉄の中で、一生懸命駅名を確認しながら立っていると、腕を引っ張って、座るようにと言って下さった年配の女性がいました。市役所の前で看板の地図を見ていた私たちに「お教えしましょうか」と声をかけてくれた若い男性もいました。南大門の市場がどこだろうときょろきょろしている私たちに、「ついていらっしゃい」と、その人にとっては遠回りになるのに、つれて行ってくださった女性もいました。
私は、身が縮む思いなのです。
でも、考えてみれば、私たちだって、平和公園を訪れているアメリカ人には親切にしたいと思います。
「あの国」と言うときに、圧政の下で苦しんでいる国民のことも一緒にして考えてはいけないのでは、と思います。
どの国の人も、同じ大切な命です。国民同士、殺しあうのはやめましょう。大量に人を殺す核兵器は、三度使ってはいけません。
この平和考も明日で最後にしようと思います。
今日の日食、クリニックの屋上でみんなで見ました。黒や青のナイロン袋で、とてもよく見えました。日食めがねなんてなくても、袋で十分なのです。
はっきりと三日月のような太陽を見て感動しましたね。
デジカメに袋をかぶせて、写真を撮ってみました。肉眼では、もう少し、くっきりした三日月様でしたが、ぼけてしまっています。でも、きれいです。

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ぜひ、覗いてみてください。

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コメント
河野先生、はじめまして。
東京の大学生、ユキコと申します。
私が先生の名前を知ったのは中学か高校の保健の時間に見たビデオでした。河野先生が望まない妊娠をした女性と診察室で対談をしているという古いビデオで、当時大変衝撃をうけたものでした。先生の「女の子は自分の体を、男の子は女の子の体を大切にしなければいけない」という言葉が鮮明に記憶に残っています。「さらば悲しみの性」も読みました。
性教育だけでなく平和に関する活動など、広くご活躍されているということを、このブログを読んで初めて知りました。先生のしなやかな言葉遣いが好きです。コメントするのは苦手なのですが、毎日このブログを読んでいます。先生の更なるご活躍を応援しております。
長文失礼いたしました。
……核兵器は、世界全体の利益を考えれば当然に放棄(→廃絶)が合理的な選択なのですが、各国は自国の利益を最優先に守るべきという考えのもとでは放棄という選択が出しづらいのでしょうか……
投稿: ユキコ | 2009年7月23日 (木) 04時30分
袋越しの日食きれいですね~~♪
美代子先生はじめスタッフのみなさんの屋上でのにぎやかな様子が目に浮かぶようで・・・
平和っていいな~と思います。
こうして唯一の太陽と唯一の月を眺めるとき美しいと感じる心に国境は無いと信じます。
投稿: kei. | 2009年7月23日 (木) 16時40分
人間には防衛・友愛・平常・競争・協調・反攻・養育等(他にもたくさんあります)の感情や本能があります。私にはよくわかりませんがどれも間違っているとは言えない行動がその感情や本能の中から生まれます。
国同士が争う戦争は感情や本能や宗教を外して一人の人間として国の理念として地球に生きる人として戦争をしない新しい時代をつくる信念が必要な時代にさしかかっているように思います。
平和は感情や本能よりも経済よりも上位に位置しなければならな概念なのでしょうね。
投稿: きぬさん | 2009年7月23日 (木) 23時10分
ユキコさま
コメントありがとうございます。大学生なのですね。あのビデオは、もうずいぶん前のものですが。教師がずっと取って置かれたのですね。また、時々このブログを覗いてくださいね。いろいろな情報を発信しますので。どうぞ、充実した学生生活となりますように。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2009年7月27日 (月) 14時44分
kei.先生
日食は、楽しかったです。スタッフが交代で屋上に上がって見ました。袋で十分見えるのですね。めがねなんて買わなくても。これからも平和でありつづけますように。いつもコメントありがとうございます。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2009年7月27日 (月) 14時47分
きぬさんさま
ええ、経済の仕組みや宗教や、いろろいな違いはあったとしても、その違いをお互いみとめあいながら、ともに生きていくという、こんな世界になるべきだと私は考えています。武力で国の均衡を保とうとするのは、とても危ないこと。多くの人命が失われてきた歴史をそろそろかえてもいいのでは、と思います。いくら理想論だといわれても、理想的な世界を作る、その考えを変えることはありません。コメントありがとうございます。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2009年7月27日 (月) 15時02分
拝啓 河野先生
私、中学生の時に先生の性教育のお話を広島市内の学校の体育館で聞いたことがあります。熱心にお話される先生を拝見し、真剣に耳を傾けたことを思い出します。
さて、今回のお話の中で、
>>日本の戦争を引っ張った人たちと、軍部の圧力に苦しんできた日本人
とあります。恐れながら、この部分に違和感を覚えました。私は、先の大戦から本当の意味で国民が学び、本気で永遠の平和を望むのなら、軍部への批判だけでなく、自己への批判も欠かさないことが大切だと思っています。新聞などに容易に煽動された、日本人の雰囲気に呑まれやすい全体主義的な傾向こそ、個々人が意識的に疑問を向けていくべきではないでしょうか? そうでなければ将来また、政府の間違った選択を国民が支持してしまう可能性があるように思います。以下、引用ですがご覧下さい。
>ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム・・・(抜粋コピペ)
出典: Yourpedia 百科事典
ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム(“War Guilt Information Program”、略称“WGIP”)とは、文芸評論家の江藤淳が著書『閉された言語空間』(文藝春秋・1989年)に於いて第二次世界大戦後に連合国軍最高司令官総司令部(GHQ/SCAP、以下GHQと略記)による日本占領政策として行われた宣伝として提示したもの。“WGIP”の略称も江藤による。つまりはアメリカの戦後洗脳政策。この政策は現在も続いており全国公立学校で公然と継続されている。
これは戦争についての罪悪感を日本人の心に植えつけるための宣伝計画。日本の軍国主義者と国民とを対立させようという意図が潜められ、この対立を仮構することによって、実際には日本と連合国、特に日本と米国とのあいだの戦いであった大戦を、現実には存在しなかった「軍国主義者」と「国民」とのあいだの戦いにすり替えようとする底意が秘められている。
これから増々暑くなります。どうぞご自愛下さい。
敬具
投稿: ヒロシ | 2009年7月29日 (水) 10時56分