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私的平和考⑬田母神氏が8・6に広島で講演をすると。

 昨日の終わりに述べたように、田母神氏が、広島で、それも8月6日に講演を行うと中国新聞に出ていた。講演のタイトルは「ヒロシマの平和を疑う」。主催は日本会議広島。中国新聞の取材によれば「日本のために核武装をするべきだと考えており、講演ではそこに触れることになると 思う」のだそうだ。

Img061  なぜ広島で8月6日にこのような講演を行うのか。自らの筆舌に尽くしがたい経験から、核兵器廃絶を願う被爆者に対し、あまりにむごい仕打ちではないか。

 主催する日本会議広島は「原爆殉職者に追悼の祈りをささげる特別な日。戦後日本の運命を決定づけた象徴的な日をあえて選び、真の平和を考えるイベントを企画した」のだそうだ。

 田母神氏は、「核兵器は絶対に使われることのない兵器だが、持つか持たないかで国際的な発言力が全然違う」とも述べたと、記事にある。

 いわゆる「核抑止論」であろうか。私が44年前、大学の一年で取った「政治学」。そのときの教授が「核に対しては、核で防衛しなければならないのです。」と、必死で語っていたのを思い出す。その頃、まだアメリカとソ連の冷戦の時代。競争の様に核兵器が増産され、一時は世界で7万発といわれるほどの原水爆が作られた。

 しかし、それから半世紀もたとうとしている今、世界の状況は異なる。もしも核戦争が起こったなら、世界中の人間が何回も死ぬような状況である。抑止などという状況ではない。一発でも使われたなら、たちまち世界中で使われ、地球の破滅に向かうであろう。

 核兵器は「決して使われない兵器」であるというが、これまでも現実に何回も核兵器を使うことを検討した戦争が存在する。それを押しとどめた理由の一つは、私は、被爆者たちの粘り強い訴えであると信じる。

 人類が絶滅してしまうかもしれないこの状況の中で、核を増やそうとするのではなく、世界中で、核軍縮、廃絶に向かうべきである。

 しかも、核兵器を持つか持たないかで「国際的な発言力が全然違う」と言うのも、おかしい。これは、北朝鮮の状況を見れば明らかである。これだけ世界中で核が存在する中で、いまさら一つや二つ作ったところで、北朝鮮の発言力が高まったか。世界中から嘲笑され、制裁により、ますます孤立を深めることになっている。核兵器を作り、核実験を行ったことで、国際社会でのその効果は逆効果である。もっとも、北朝鮮国内に向けて、国民に鼓舞する効果はあったかも知れないが。国際社会の状況を知らされない国民があわれである。

 日本会議広島の活動レポートを見て、驚いたことがある。今年の2月14日呉で田母神氏の講演会が行われている。それに、「寺田稔衆議院議員、小村和年呉市長もかけつけ、寺田議員が『防衛大臣政務官として田母神氏とは一緒に内局改革を推進した仲』と挨拶」と、挨拶する寺田議員の写真とともに、紹介されている。この講演でも田母神氏は、核武装に触れている。

 寺田議員のHPを見ると、「2月14日2:00 日本会議主催時局講演会にてご挨拶」となっている。さすがに田母神氏の名前は出していない。寺田議員は、「核軍縮を希求する議会ネットワーク会員」であり、「原爆症認定を早期に実現するための議員懇談会」の会員でもある。このごろ、やけに被爆者の会合にも顔を見せて、被団協の役員と仲良しこよしの風を見せている。一方で、日本会議での核武装論者の講演に駆けつける。全く彼の行動の規範の訳が分からない。

 ほかにも、日本会議広島の活動レポートには、多くの国会議員の名前が出てくるが。このような議員の行動が、日本会議を活気付けているのであろう。8月6日の講演会にも、多くの議員がかけつけるのであろうか。

 昔であれば、被団協も、8月6日のこの講演会に非難の声明を出し、日本会議には抗議をしたであろう。たしかに、人には言論の自由があるが、今回のこの被爆者を愚弄し、ヒロシマをこけにする挑戦的な講演を許せるものではない。

 どうすればいいのか思案中である。少なくとも、この講演会にどんな議員が行ったのか、名前のチェックくらいはしておかなければ。


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ぜひ、覗いてみてください。

広島ブログ

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コメント

みこし連はこの会場を使えませんね、広島市にあるこの施設もこうした事が事前に分かるので、断る勇気がほしい物です。

投稿: 河口 | 2009年6月25日 (木) 12時47分

核は廃絶ですよね!!
世界的にも軍縮の方向へ流れが進んでいる時に
こんな講演、信じられません!!
喧嘩を売っているとしか思えません。
被爆者や被爆都市ヒロシマを冒涜するものです。

こんな講演をする人も、そこへ馳せ参じる議員や
政治屋(政治家ではありませんね)も、
核が一発炸裂したら一巻の終わりなのに。
そんなことも分からないおばかさんなんですかね。
核と人類は共存できません!!

前回の記事を拝見してびっくりしてあきれ、猛烈に
腹が立ってきました。
今からでも阻止できないものでしょうか。

投稿: 波 | 2009年6月25日 (木) 18時42分

T議員ですが、小選挙区制ですので、議員は何でも一票がほしいのです(笑い)。

それが思想の堕落を招いています。本来、右翼でも、伝統重視とアメリカ重視ではまったく正反対です。それが自民党という形で一緒になっているので訳がわかりません。

二大政党制の弊害ですね。選挙制度も考えたほうがよさそうです。

投稿: さとうしゅういち | 2009年6月25日 (木) 19時22分

呼ばれた人も読んだ人もヒロシマへの挑発をしているのでしょう。私は最近人権コンサートの一つ「放送禁止歌トーク&ライブ」をやっているのですが、その中で今までは歌わなかった歌『自衛隊に入ろう』を歌う決意をしました。ある種コバカにする内容なので、避けていたのですが、向こうが挑発的なのなら、私もしっかり批判を付録に挑戦的に歌う覚悟をしました。
あちこちで小さな集会を持ち、批判の声を挙げましょう!

投稿: おとぎぞうし竹本 | 2009年6月26日 (金) 00時17分

子ども達に希望ある未来を残してやりたいと願う私たちにとって、
核による「恐怖の均衡」を是とする考え方は、
決して許すことのできない思想です。

投稿: 六郎 | 2009年6月26日 (金) 00時48分

>腹が立ってきました。
>今からでも阻止できないものでしょうか。

気持ちはわかるんですが、さすがにそれは言論の自由に対しての挑戦ではないかと。


投稿: ううん | 2009年6月26日 (金) 01時38分

久しぶりにコメントさせていただきます。
広島、長崎の原爆投下以降、これまで何度と無く繰り返されてきた核実験。最近は北朝鮮が無謀な実験をしていることに怒りと情けなさを感じていました。

人が人を殺す、その最大の暴挙は戦争で、原因の殆どは経済の行き詰まり打開と宗教の自己エゴだと思います。日本の自衛隊は、名前こそ自衛ですが内容は軍隊そのもので、その中の教育は戦争賛美ではないかと思うのです。

自衛隊が前身の警察予備隊として作られたとき、その主要構成は旧日本軍の生き残りで、彼らにとって古き良き時代の再来を夢見る教育に走ったのでしょう。

当時入隊した若者達は、未曾有の就職難で入隊した隊員は給料がもらえて、食事がついて上からの命令を守っていれば住み心地が良かったと聞きました。

そんな中に田母神氏のような、狂ったとしか思えないような人(北朝鮮の独裁者 金正日 のような)が現れることは必然でした。それは軍隊としての自衛隊が求めた人物像だったのかも知れません。

今回8.6に広島で後援会を開くことに決めたのも、北朝鮮の核実験を良い機会と捉え、日本が核武装する必要を鼓舞宣伝する目的ではないでしょうか。こんな時動揺する人は“核武装”をなるほど、と聞くかも知れません。世論調査のように3週間で右から左に変わる国民の心。

これの繰り返しが日本を再び戦争に導くような気がしてなりません。言論の自由をかざして行う危険な後援会だとは思いますが、このような妄言に負けないような正論をキチンと説き、日本を間違った方向に向けない努力が必要と思います。

この点から言えば、来たる総選挙、自民の政治から転換が必要だと思いますが、民主党が国民の思いに本当に応えてくれるかどうか不安な面も感じるのです。

投稿: なんでも辛口 | 2009年6月26日 (金) 06時04分

この人、北朝鮮のスパイなのかもと思ってしまいます。
北朝鮮が核武装していることを、賛成するような考え方ですからね。

核を持てば核で攻撃されないことと、戦争が起きない事は別問題です。

また核が使われることがないなんて、ありえない。
まだ、広島・長崎の後に使われていないだけで、誰も使わないとは言っていませんからね。
まだ使ってないだけですから。

広島の反核に関わった政党は、どうするのでしょうか?

投稿: やんじ | 2009年6月26日 (金) 08時10分

トラックバックを打ったのですが、反映しないようです。私のブログの冒頭を掲載しておきます。
<久しぶりに血が騒ぐ>
「言論の自由」は守られねばならない。自明の理である。
誰かが「Shiozyはアホだ」と言ったからといって、わしはその人を抹殺するわけにはいかない。心の中は怒りに燃えたぎっていても笑いながら「そうかもね」と返さざるをえない。これが民主的な日本のルールである。
このルールを百も承知で、それでもなお、ある言論人に石を投げたい衝動に駆られるのである。個人の言論の自由に対して、石を投げるという行為はファッショである。良い子のみなさんはマネをしてはいけない行為である。だから石を投げたつもりの罵倒を書くことにしよう。<続きはブログで>

投稿: shiozy | 2009年6月26日 (金) 10時37分

初めてコメントさせていただきます。
呉市で皮膚科を開業している橋本です。

この記事には呆れてしまいました。
確かに言論の自由はあります。
ただその日ではなくても良いと思いますよね。
被爆二世としては、その日だけはやめてくれ!と言いたい。
8月6日にするというのは悪意を感じます。

何かできることがあればいいですね。
私も強力したいと思います。

ちなみにT議員は私の選挙区で医師会は推しているようですが・・・。このことだけでも他の方に投票しようかと考えてしまいますね

投稿: 橋本クリニック | 2009年6月26日 (金) 15時29分

河野先生、はじめまして。私は戦争、「慰安婦」問題、性の問題についていつも考えています。
「さらば悲しみの性」は熟読しましたし、宋神道さんに新宿でお会いしたこともあります。
今回のブログについて思うのは、「若者の屁理屈」と言うことです。
個人の自由。人それぞれ。人に迷惑をかけなければ云々。上から目線。いやなら無視すれば良い等々。
何とかの一つ覚えで、皆同じことばかり言いますね。
言い訳するなら、たまには違うことを言えと思うのですが。
とにかく、判で押したように、同じことばかり繰り返します。
「言論の自由」も、ある程度までならばともかく、アホの一つ覚えと言うか、免罪符よろしくこればかり言い続ければ、全てがうまくいく訳ではありません。
屁理屈をこねくり回すなら、たまには違うことを言ってほしいものですね。

投稿: けん | 2009年6月26日 (金) 22時07分

私たち一人一人が平和を守るために何ができるかを真剣に考えなくてはいけないときにきているようです。
子供でも高齢者でも主婦・・・・・でもできることはあると信じます。ブログというツールも有力な可能性を持っていると思います。

投稿: ペア | 2009年6月27日 (土) 07時48分

田母神さんが8月6日に広島で講演!
あの人のレポートを過去に読みましたが印象はとても悪かったです。
日本の侵略戦争は悪くなかったかのような書き方でした。
こういう考え方は右翼に多いのです。
反省しないで平和な未来は得られないと思います。

戦争・核戦争の反省をする8,6広島で、このような人が、あのレポートのような趣旨で講演するとは許せないことです。

投稿: 杉原栄 | 2009年6月29日 (月) 21時31分

被爆者が核廃絶を願ってきた、そして訴えてきた広島市に対する侮辱だと思います。ゆるせません。
名前で検索すると私のブログが出てきます。

投稿: ミュウタント | 2009年7月 1日 (水) 06時21分

こういうことに
言論の自由!
を使われるいわれは無いよ。
何でもありじゃないですから!

言論の自由だから戦争をしましょうと
言ってもいいの?

日時と場所を
わきまえてこそだと思う

ここは日本で広島なのですから

会場は訳の分からん支配人が居るんじゃね(笑)

あっこは利用せんように、しにゃぁいけんわ(笑)

投稿: ポピー | 2009年7月27日 (月) 05時05分

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