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性感染症と子宮頸がん③予防の教育を!!

 もう何回もこの場で言って来たことなのですが、性感染症というのは、性交でうつる病気です。そして、いま文科省のカリキュラムでは、中学校で性感染症とその予防を教えることになっています。避妊は「家族計画」ということで高校で教えることになっています。

 以前でしたら、中学校で性感染症だけでなく、避妊もおしえても良かったのですが、今では、「指導要領」をはみ出したことになり、「教えてはならないこと」になっています。性感染症の予防はおしえても、避妊を教えると「行き過ぎた性教育」になってしまうのです。

 しかも、性感染症と予防を教えるのに、「ことば」の問題があります。「性交」「セックス」「エッチ」どれも使ってはいけないと決められています。使っていいのは、「性的接触」だけです。しかも、コンドームも具体的に教えてはいけないと。

 私は、ことばを正しく使うことはとても大切なことだと考えています。性的接触と言うことによって、物事をとてもあいまいにしてしまいます。今どきの若者が「性的接触をしようよ」と言うでしょうか。

 いま、世界の不思議とされているのは、日本で「HIV」エイズウィルスの感染が増え続けていることです。日本のように経済的に恵まれていて、識字率も高くて、どうして感染を減らすことが出来ないのかと。アフリカやアジアの貧しい国のように、コンドームを買うことが出来ないということはありません。買おうと思えば、品物も豊富にあります。義務教育も長く進められ、字が読めないという国民もほとんどいません。それなのに、なぜ感染を減らすことが出来ないのでしょうか。

 これはひたすら教育の責任です。性感染症の予防ということをきっちりと教えなれければ。言葉も使えないと、どうやって教えればいいのか、分かりません。ある県で、これは十代の中絶がとても多くて、日本一多い県になってしまったと。そこで何とかしなければ、ということで委員会を作って、対策を検討し始めたと。それには、医療関係者だけでなく、当然教育関係、教育委員会の人たちも入っていました。で、具体的に討論をしていたら、教育委員会からストップがかかります。それはいけない、これもいけない、と。

 とうとうメンバーの一人のドクターが「バーン!!」と机を叩いて、「その結果が、中絶、ワーストワンなのか!!」と怒鳴ったのだと。そのドクターは医師会のメンバーとして参加されていたのですが、内科の方で、これまで性教育の現場のことなどは知らなかったと。で、びっくりなさったようです。

 私たち、これまでかかわってきたものは、そのような現場を知っていて、なれている部分もあります。でも、知らない人には、本当にびっくりのことだったようです。逆に新鮮だったのでしょう。

 私は、その話を聞いて、反省しました。そのような事態を何とかしなければ、と思い、様々な発言もしてきました。でも、そのドクターのように、直接どこかに怒るということをしていません。

 性教育が一部の特殊な政治的な人たちのために文科省が動き、各教育委員会が動き、現場の隅々にまでその指令が行き届き、後退してしまいました。その結果が、今、私のクリニックで起こっているように若い子、特に中学生の産めない妊娠の増加であり、性感染症の増加であり、若い人の子宮頸がんの陽性の増加であり、そして、日本中でのHIVの感染の増加でもあると。

日本の性教育事情は、本当に世界から見たら、なぜ?といわれるようなとても異常な状況なのです。

 私は、性感染症や子宮頸がんにかかった人たちを「自業自得」だとは思いません。こういう事実を教えてもらっていない、知らないからこそ行動をとってしまった、被害者なのだと、そう思っています。そして、教えてはならないとする人たちが加害者だ、その人たちは、国民の命を守ろうとしない、犯罪者ですらあると、そう思っています。


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コメント

学校や文科省には任せておけないので自分で「普通の言葉」を使って具体的にしましたよ。
「天は人の上に乗って・・・」の親父に自分がされたと同じように。

投稿: ⑦パパ  | 2009年5月19日 (火) 13時50分

河野先生、こんにちは。

私はその昔に小学校の教員免許を取りましたが、実際教壇に立ったことはないので、先生がここに書かれたような現状になっていることを、恥ずかしいですが全然知りませんでした。
しばらく前、確か東京でしたか、知的障害のある児童生徒のためにとても工夫された性教育の実践をしておられた特別支援学校の先生方が教育委員会から攻撃を受けたというようなニュースを聞いたことはありました。

ずいぶん前の記事(5月1日)にもコメントさせていただいたのですが、私たちが大人になっていく時期にも、じゅうぶんな性教育がなされていたとは言えないように思います。
今は、部分的には改善した面もあるかもしれないけど、多くの部分では、私たちの頃よりひどいかもしれませんね・・・。


おうちの方の考えというものもカギを握っている感じがします。
たまたま先日出くわした場面で、それを感じました。
ふたりの小学校1年生の女の子の自分の外性器に対するとらえ方のあまりの差に驚いたのです。
同じ小学校の同じクラスの子なのですけどね・・・。

細かいことはそれぞれの家庭の考え方があるとしても、どの子にも等しくつけてほしい知識がありますよね。

その場面では、私は、2人の会話を黙って聞いていることしかできませんでした。
自分自身がドギマギしてしまって、「何か聞かれたらどうしよう!」とそんなことで頭がいっぱいだったのです。
自分が情けないです。

もう一度勉強しなおしです。
自分の体のことだって、まだまだじゅうぶん理解できているとは言えないです。

先生、これからもよろしくお願いします。

投稿: 迷い人@広島っ子 | 2009年5月20日 (水) 01時25分

⑦パパさま
ええ、⑦パパさまほど、しっかりお子様とお話しなさっていれば大丈夫ですね。お嬢様もだんだんと話しづらくなっていらっしゃる様子、楽しんで読ませてもらっています。だから、それまでのコミュニケーションが大切なのですよね。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2009年5月22日 (金) 14時53分

迷い人@広島っ子さま
いつもコメント有難うございます。
体を知ることはけっしていやらしいことや恥ずかしいことではなく、とても大切なこと、そうしっかり自分に言い聞かせていれば、どぎまぎすることもないと思うのですね。今後ここにもいろいろと書きますので時々は覗いてくださいね。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2009年5月25日 (月) 14時54分

「性交渉による感染」ばかりクローズアップされますが、私はどうやら公衆浴場で尖圭コンジローマをもらったようです。普通にイボ痔だとばかり思っていました。。。
気づいたら膣周辺にもでき始めていました。
無縁に思ったので検診は受けていなかったけれども
Wikipediaで知り、子宮頚がんの可能性もあり、結果待ちです。
年齢のせいかと思ったけれども、生理の出血量が増え、だらだら長引くようになりました。時々下着にくすんだ出血もあります。どうか皆様、少しでも早く検診を!

投稿: よぴ35歳 | 2009年5月28日 (木) 19時33分

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