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子宮がんとワクチン①世界中でワクチンが接種されています。

 先日、診療後にある会議に参加しました。もうすぐ厚労省から認可されるであろう「子宮頸がん」のワクチンの普及の戦略にかかわる会議です。

 子宮がんには、膣に面した部分やその少し奥の頚の部分に出来る「頚がん」と子宮の奥の内膜に出来る「体がん」があります。この体がんはホルモンの影響で出来るといわれています。が、頚がんは、ウイルスの感染で起こることが分かっています。

 そこで、その頚がんを予防する「ワクチン」が出来ました。今、世界中でそれが採用され、実際に使われています。今、約百カ国で採用されています。ワクチンをまだほとんど性経験のないうちに注射するわけです。

 たとえば、オーストラリアでは、12才から26才の女性に公費で無料で接種されていますし、アメリカでも、経済的に困窮する人には無料で接種されています。カナダでは、中学生の女子に学校で投与しており、男子が「なぜ女子だけなの?僕たちにはうってくれないの?」と疑問を述べたとの話しも聞きました。

 子宮頚がんは、人パピローマウイルスの中の主に16番、18番の持続感染によって起こるとされています。そのウィルスの感染はセックスによって起こるものなのですね。男性がそのウィルスを持っていると、女性にうつり、女性が子宮のがんを発生するということなのです。前の奥さんが子宮がんになり、再婚した次の奥さんもまた子宮がんになり、子どもを産んでいる愛人も子宮がんになっているという有名人の話もあります。

 日本では、子宮頚がんは、今、一年に7000人の人が罹り、2500人の人が亡くなっています。実は、子宮頚がんは年一回、定期的に検診を受けていれば、がんになる前、前がん状態のうちにみつかりますし、もしそうなったなら、円錐切除という、子宮頚部の部分を切除するだけで対応できます。だから、子宮を失うこともありませんし、妊娠、出産も可能です。

 しかし、そのがん検診を受ける人の割合が日本ではとても低くて、25%くらいの人しか受けていないのです。これは、先進国の中でも、格段に低い数値です。たとえばイギリスでは、受診率が50%から90%に上がって、子宮がんで亡くなる人の数が激減しました。

 さらに日本では、細胞診という簡単な方法で、がん検診ができるようになって、年々子宮がんで亡くなる人は減少していたのですが。ところが90年からまた死亡数が上がってきているのです。検診さえ受けていれば、死ななくてすむ病気です。でも、死亡する人が増えているということは、検診率の低さと関係があります。

 世界では、高率のがん検診の受診と、さらにワクチンの開発、接種で、着々と子宮がんでの死亡を減らすことができるようになっているのです。が、日本では、検診率が低い上に、さらに、なのです。世界の中で、遅ればせながらですが、やっともう少しでワクチンが認可されそうというのに、日本では、このワクチンの接種が普及しないのではないか、といわれているのです。そのワクチンの接種に反対する人たちの動きがあるからだといわれているのです。

明日に続きます。少し硬い話しですが、でも、とても大切なことなので、どうか続いて読んでくださいね。

 


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広島ブログ

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コメント

>がん検診の受診率が日本ではとても低くて
 私の周りの人も受診しないので、勧めているのですが…

>「子宮頸がん」のワクチン
 医学の発展により、いろんなワクチンが開発中なのですね。

>そのワクチンの接種に反対する人たちの動きがあるからだといわれている
 なぜ反対するのか、その理由も知りたいです。
 わかる範囲で教えて下さると幸いです。

投稿: r s | 2009年4月29日 (水) 08時27分

とっても参考になります。
女性にとって心配な問題ですので、
このようなブログを書いていただくと心強く思います。ありがとうございます。

投稿: 福山市出身 昭和36年生まれ | 2009年4月29日 (水) 16時23分

河野先生、はじめまして。
コメントさせていただくのは初めてです。
はじめましてなのに、長文になってしまっています。
これは私のくせです。いけないと思っているのですが、なかなか直りません。ごめんなさい。

私は身体の成長に精神の成長が追いつかないハンディキャップを持っています。特に人間関係をうまく築くことに困難があります。だから、恋人をもったことは一度もありません。私は女性ですが、男性にも女性にも恋愛感情を持ったことはありません。だから恋人がいません。

今30代なかばにさしかかっています。
20代後半で、全然別のことで受診して受けた腹部エコーで子宮筋腫(大きな漿膜下筋腫、中ぐらいの筋層内筋腫)が見つかりました。
そこから、婦人科とのご縁が始まりました。
5年ほど経過観察したのち、手術を受けました。

性交渉の経験がないことを考慮して、経過観察中も術後も内診(というよりは内診台に上がらなくてはならないことすべて)を避けていただき、その他の方法で診察を受けてきました。

「内診を受けない」、せっかく配慮していただいた上でのことなのに、いつからか、複雑な感情をいだくようになりました。

一番のきっかけは子宮がん検診のことだと思います。

それなりの年齢になるのに、子宮がん検診に行かない(性交渉の経験がないのだから、子宮頚がんになる確率はたぶんとっても低いから、必要ないんじゃないかという理由で)ということで、誰かから変に思われるんじゃないかと気になり始めたのです。
友だちから、一緒に検診に行こうと誘われたら?などと、ありもしないうちから悩みました。

でも、子宮がん検診を受けるには、内診台に上がらなくてはならない。子宮筋腫の手術の前、剃毛をしなくてはならなくて、その時一度だけ内診台に上がったことがある。だから、雰囲気はわかっている。主治医との信頼関係はしっかりしているつもり。だから、勇気さえ出せば、不可能ではない。でも、必要ない検査を受けたいなんて変に思われないだろうか?性交渉を持つようになったから検査を受けたいと言い出したと思われるだろうか?

本当にたくさんのことが頭の中でぐるぐる回りました。

結論として、
「誰に何と思われるかは関係ない、そもそも人間ドックに婦人科検診がセットされていたら、自分はリスクが高いとか低いとか考えずに、流れとして受けるかもしれない、だから私だって検査を受けてもいいんじゃないか」と思いました。

難しいことは考えず、「女性特有の健康診断の一部」と考えることにしました。

経過観察のための受診の時に検診を受けたいと思うということを主治医にしどろもどろになりながら伝え、後日子宮頸がん検診を受けました。
一度経験したので、不安感恐怖感はだいぶん取り除かれました。

手術のため入院していた時、婦人科の病室にいる患者さんの8割かそれ以上が、がんの患者さんでした。
お友だちになってもらった年上の患者さんに、「検診はちゃんと受けんといけんよ」と言われたし、毎日病気と闘っている患者さんたちを見ていると私まで辛くて、検診を受けることで自分はこんな思いをしなくてすむかもしれないんだと自分本位かもしれないけど考えたりしました。

だから、私はこれからも主治医と相談しながら検診を受けたいと思います。

ひとり言みたいに失礼しました・・・。

投稿: 迷い人@広島っ子 | 2009年4月30日 (木) 02時31分

rsさま
日本の子宮がん検診の受診率の低さは、本当に何とかしなければ、と思います。やはり行政と言うか、政治的な問題で、ちゃんと受診するように情宣をしないことが問題なのだと思います。広島市では、ちゃんと一人ひとりにはがきが来ますが、県内のほかの市町ではそのようなことがなく、もっぱら集団検診なのですね。そしたら、パートでお勤めしている人などは、受けられないことになってしまいます。それから、職場の検診でもがん検診を入れていないところも沢山あるのですね。ワクチンに反対する人のことは、ブログの(2)でお分かりいただけたでしょうか。いつも有難うございます。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2009年5月 1日 (金) 00時12分

福山市出身昭和36年生まれさま
有難うございます。これからも、頑張って情報をお送りしますので、よろしくお願いします。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2009年5月 1日 (金) 00時16分

迷いひと@広島っ子さま
詳しいコメント有難うございます。若い女性の産婦人科についての心の動きがとてもよく分かりました。私のブログの(2)に書いたように、性交の経験はなくとも、体がんになる可能性がだれにでもありますので、これからも体がん検診はぜひうけられたら、と思います。それから、人の目よりも自分の健康のため。人には、自分はかかりつけの産婦人科があるから、と、正直に言えばいいのでは?と思います。これからも時々はここを覗いてくださいね。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2009年5月 1日 (金) 00時22分

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