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「何か変だ」⑤痛恨の「癌の先端医療」。

 以前から時々このブログに書いている、癌の患者さんのことだ。手術はできず、抗がん剤で治療をしている。癌は大きくもならず、かといって小さくもならず。でも、鎖骨の上にあった転移(これを私が触って青ざめた、癌であることが分かったそのきっかけのもの)は消えている。だから、薬が効いているのだから、頑張って!!と励ましている。

 何度も言うが、抗がん剤は、目覚しく進歩している。私が医師になったころは半年しか生きられなかった卵巣がんの人が10年生きられるようになっている。

 彼女は、手術が出来なかったというのがとてもつらい。その彼女夫婦にとってある先端医療がものすごい励みになった。彼らは必死で情報を探す。ある新聞の記事が目に留まって、そして、夫が何回も何回もそこに連絡を取った。

 その治療の臨床試験は、一旦締め切られている。新聞に出て、その後も沢山の人からの問い合わせが殺到したようだ。そして、いよいよ二回目の臨床試験の募集があると。それが今日、4月1日だった。夫から頼まれた。彼らはネットをしない。ネットで頼んでほしい、と。彼は電話で頼むからと。

 以前のその治療の情報も、ホームページに詳しく出ているからということで、私がすべてプリントして渡している。その治療が受けられるかも知れないというのは、本当に彼らにとっての希望だった。やっとその募集がある。彼女がその応募資格に当てはまるというのは、確認済みである。お金がかかるのも承知の上。

 私は、昨晩、ネットを開いて構えていた。ホームページにも4月1日から募集します、このホームページから申し込みがダウンロード出来るようになります。と書いてある。そして、4月1日、午前0時になると、すぐにそこを更新した。でも、何にも変わらない。同じことが書いてあるだけだ。何回やっても変わらない。一時までやってもダメだった。諦めて、今度は朝、8時。やはり変わっていない。一体、どうして?良く読んでみると、4月1日以後にと書いてあった。では、いつなのだろう。

 ところが、午前の診療がすんで、お昼にそこを開いてみた。そしたら、なんと、「締め切りました。」となっているではないか。多数の方の請求で混雑し、応じ切れませんでしたと。ああ、もう終わっている。大変なことをした。待って待って、やっとやって来たこの機会なのに。これを逃してしまった。

 すぐにご夫婦に連絡を取った。そしたら、何と受付は10時からだったのだそうだ。それを私は知らなかった。ホームページにも時間は書いてなかった。彼は知っていたのだが、私に伝えるのを忘れていた。私は日にちだけ聞いていたので、てっきりその日の始まりからと思っていた。彼は10時から電話をかけ続けたと。ずっとずっと話し中で。やっとつながったときには、もう締め切ったといわれたのだそうだ。

 ああ、もう、痛恨の極みだ。その治療が本当にすべての人に効果があるのか否かは分からない。でも、すがるような気持ちで新しい治療を待っている患者さんは沢山いる。彼女だって、たとえ、運良く申し込みの資料を手に入れることが出来ても、今の主治医の許可がないと正式には申し込むことが出来ない。とにかく、それを手に入れて、主治医に頭を下げてお願いするといっていた。

 臨床試験の対象に選ばれた人は、ひとつの希望を持つことができる。結果が思わしくなくっても、何も治療がないままに過ごすよりは、きっと充実するはずだ。これまでの臨床治験で、ある程度の効果が見られるとのことなので。

 早くこのような治療が厚労省から認可されて、希望する人すべてがその治療を受けることが出来るようにと、願いたい。

 この夫婦は、また次の募集の機会を待ちたいと希望を持っている。そうね、その時には、私ももう失敗しないように、10時になったらすぐに申し込むようにするからね、それまで頑張って抗がん剤の治療を続けてね、と答えたのだが。

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その後、恒例のクリニックのお花見でした。重い気持ちで参加しました。平和公園の川沿いです。お弁当は昔から「千鳥」に頼んでいます。桜餅が入っているのがうれしいです。みんな寒さ対策をして行ったのですが、陽がぽかぽかとして暖かかったです。サクラも6分咲きでしょうか。きれいでした。この後、午後の診療を始めるとすぐに、雨が降り始めて、びっくりしました。


コスモス薬局のHPの中に私の「体の相談室」と「著書」の販売があります。
ぜひ、覗いてみてください。

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コメント

河野先生 快適な暮らし応援隊のきぬさんです

私は今はとても元気に生きさせてもらっていますが実はk内科医の先生のお陰で生きさせてもらっています。

複数の総合病院で検査したにもかかわらず分からないまま破裂寸前まで悪化した胆石の手術そして肝臓癌の早期発見・手術また胃がんの早期発見・手術と異なる病気で3度の開腹手術をしています。

発見が遅れていれば、私はもう空の人になっていたかも知れません。k内科医の先生の敏感な対応のおかげで今まで命をつなげています。

胆石の手術の後すぐに胆石は開腹手術でけでなく超音波で石を破壊したり内視鏡で胆管を広げる手術が出来るようになりました。内視鏡手術はそれからも何度かお世話になっています!

医療の発展が目覚ましく進歩していると思います。
私の父はS34年に結核で亡くなりましたが、その後結核は治る病になりました。

医療は一番大切な人の命の科学です。目的を持って生きる人に命の平等を与えてくれるのは、医療の発展なくしては可能になりません。

これからも目的を持って生きる人の大きな力になってあげて下さいね!

  みじん切りのきぬさんでした

投稿: きぬさん | 2009年4月 2日 (木) 01時01分

身につまる思いがします。
すがる様な気持ちでしょうね・・・
いわゆる治験ですか?
かなり安全なものでも国は認可しませんね。
患者の任意で許可してくれればいいのに・・・
昨日のニュース。子宮ガン?の女性たちの署名が
受け入れられ薬が使えるようになりましたね。
救われる方ができるのはいいことですね。

投稿: Artsts | 2009年4月 2日 (木) 04時06分

きぬさま
有難うございます。そうなのですね。きぬ様もそんなご苦労が御ありだったとは。でも、本当に運命も寿命のうちと言うか、それよりもどの医師にかかるかも寿命の一種だと、そう思われます。私の夫もひどい進行がんだったのですが、ちゃんと生きることが出来ました。これも本当にありがたいことです。これからも何とか、沢山の方の力になりたいと思っているのですが。難しいことも多いです。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2009年4月 2日 (木) 23時44分

Artistさま
厚労省がなかなか許可しないのは、医療費の高騰を防ごうとする意図もあるのではないでしょうか。どんどん医療がすすめば、医療費も当然高騰します。でも、国民の命にかかわることなのだから、予算の立て方そのものを変えるべきだと、そう私は主張し続けています。これからもまだ書き続けますので、よろしくお願いします。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2009年4月 2日 (木) 23時47分

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