若者の無知⑩風俗嬢のためのフリーペーパー
昨年の10月12日、福岡でエイズ予防財団主催の研修会が開かれました。私はここで「女性とエイズ」の講師を勤めました。「CSWへのアプローチ」、コマーシャルセックスワーカーへの働きかけという副題がついています。昨年のブログでは、せっかく作ったスライドが消えてしまって本当に大変だったという話しを書いています。
このときの話しをいつかはきちんとまとめて書こうと思っていて、そのままになっていました。実はこの時、私ともう一人、関西からこられたタミヤリョウコさんの二人が講師を勤めました。タミヤリョウコさんは、風俗で働いています。そして同時にライターでもあります。
彼女は、風俗で働く仲間と一緒に「風俗嬢流行通信 ヲトメのための健康マガジン」や、「ビッグプレジャーナイトマガジン」などの風俗で働く人や風俗ユーザーのためのフリーペーパーを造って無料配布をするなどの活動をしています。
これらのフリーペーパーには、性感染症についての知識や予防や検査についてしっかり書かれています。自分たちの仲間への啓発の活動ですね。それから、ここには載せませんが、風俗ユーザーに対してのパンフには「こんなお客さんが好き」とか「こんな行為はNG」とか、「性病のガセをあばけ!!」とかの記事満載で、お客さんたちへの啓発の活動もしています。
私は、タミヤリョウコさんの中に、プロとしてのプライドを見ました。そして、たちまちファンになりました。
風俗で働くということの危険もしっかり承知した上で、目的をもちながら、喜びを持って働いている、そのプロの姿です。もちろん、しんどい時もあるでしょうが、それらをすべて飲み込んだ上での仕事なのですね。
そんな彼女とうらはらに、私は、病気や避妊の知識も意識もないままに、ただお金の魅力で仕事をしている若い女性たちに危機感を持ちます。そのうち、気づいたときには、その筋の人の人の餌食になっていたり、自分の命の危機になっていたり。
以前のシリーズで、私は人の目が届かない密室で二人っきりになるということのその危険性について書きました。風俗で働くということ。こればっかりは、いくら知識を持っていても、なかなか解決する問題ではありません。いつも危険と隣り合わせの仕事であるということですね。
だから、私は、若い人たちに、「性を売る」ということの深刻さに気づいてほしい、その上での、分かった上での、自分の選択なのか、と問いかけたいと思っています。
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ぜひ、覗いてみてください。
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