「何か変だ」③「バンキシャ」の取材について。
東京から帰って来ました。往復新幹線。それに、東京駅とホテルとの間を歩いただけ。今日は避妊教育ネットワークの集まりでした。その集まりのあるホテルに泊まったので、結局その間だけを歩き、どこにも寄りませんでした。行きも帰りも夜の新幹線は、何にも面白いことがありません。富士山などの景色も、サクラの一本も見えません。それに、ずっと隣にも人が座っていて、窮屈なことこの上なしです。飛行機のように揺れないので怖くはないけれど、でも、本当に疲れます。次回はまた飛行機にしよう、なんて考えています。
会では、全国から避妊教育、性教育にかかわっている産婦人科医40人余りが集まりました。みんな手弁当です。皆さんの近況報告を聞いて、本当に困難な状況の中でも若い人たちが頑張っていることがよく分かりました。頼もしいことです。現場では、みんな孤独ですので、こうして時々集まって励ましあって、力をもらって、また現場に散っていきます。いろいろな課題や取り組みについても、様々な意見を聞くことが出来て、勉強になりました。
さて、シリーズに戻ります。日本テレビの「バンキシャ」のことです。その番組で、事実ではない証言者の証言を放送したと。それが虚偽であったことが判明して社長の辞職にも発展しました。けっこう力の入った取材をしていて、人気のある報道番組でした。実は、この番組から取材を受けたことがあります。
例の「14才の母」のドラマが放送された頃です。番組で若年の妊娠、出産を取り上げたいということで、全国の産婦人科で、若年の妊娠した人を探していました。昔から、私の場では、良くこのような取材があります。
でも、このようなケースは、プライバシーにかかわってとてもデリケートです。若年の妊娠は常にありますが、テレビカメラの前でいろいろとしゃべるのも、とても難しいことです。中学生の妊婦の何人かに話しをし、保護者にも話しをし、了解を得た人のみに話しをしてもらいました。
しかし、その後で、私は、私も彼女も知らないところで、もちろん了解も得ないで、彼女の隠し撮りをしていたことを知りました。クリニックの外にもカメラが待機していたなんて、知りませんでした。冗談じゃない。なぜ産婦人科から出るところなど、撮らなければならないのか、まるで犯罪者を隠し撮りするみたいな扱いではないか。そんなところでカメラを回すことなど、了解していない、と私は怒りました。
私の患者さんが隠し撮りをされる、それは耐えられないことでした。その強引な取材態度は、何かあらかじめ決められたあらすじがあり、それに私たちから提供された材料を当てはめようとしているに過ぎないと思いました。
結局、私のところでの取材は一切なかったことにしてほしい、と、申し入れをしました。すべてのフィルムを廃棄してもらうようにと言い、たぶんそうしてもらったと思います。
今回のことを聞いて、私はさもありなん、と思いました。あの強引さからは、謙虚に対象から学ぶという姿勢は見えません。私たち医師は患者さんから学び、教師は生徒から学ぶというその姿勢が必要だと思っています。私たちだけでなく、これまでこの強引さで取材の対象とされ、涙した人だっているのではないかと思います。
言うまでもなく、取材の内容は何重にも検証されなければなりません。私たちだって、このブログを書くことでも、決してうそは書かないように、という最大の注意を払います。こんどのことで、一気に信用を失ったあの「番記者」は、これからどうするのでしょうね。
kei.先生と弟子の発表会花展での私の作品、フレームです。お花をいれるところが細い試験管なので、花材を入れるのがいっぱいいっぱいです。初め、紅白のガーベラを入れたいと思ったのですが、ガーベラは茎が太くて、二本入りませんでした。で、結局こうなりました。
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コメント
>私たち医師は患者さんから学び、教師は生徒から学ぶというその姿勢が必要
そして、「子は親の鏡」のごとく、親は子どもから学ぶのですね。
花展の葉書をありがとうございました。
先生も、御自愛下さい。
投稿: r s | 2009年3月30日 (月) 09時26分
テレビに出るって、難しいのですね。
こちらの伝えたいことと、
アチラの見せたいモノは、違う…
ってことがあるのですね。
この番組に限ったことではないけど、
必要以上にドラマチックに(?)放送して、
いったい何を伝えたいのか?
と思うものもありますよね(-_-;)
もうちょっと、人を大切にした放送、
して欲しいな、と思います。
あ、なんか、愚痴っぽくてすみません…(-_-;)
投稿: かしぴり | 2009年3月30日 (月) 21時57分
rsさま
ええ、まだまだ、商売をしている人は、客やクライアントから学ぶ、政治家は国民から学ぶべきだと思っているのです。そうしたら、この国はもっと変わってくるのではないでしょうか。はがき、切手、お花のものにして見ました。いつもコメント有難うございます。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2009年4月 2日 (木) 23時51分
かしびりさま
ええ、テレビに出るというのは、番組を作る人たちの材料になるのだという、そういう側面もあるのです。だから、とても慎重にならざるを得ません。今回書いたのは、とても不愉快なことでした。でも、心が通じ合う人というのも、マスコミにはいらっしゃるのですね。そういう人たちは大切にしたいと思います。お体、どうぞ大切になさってくださいね。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2009年4月 2日 (木) 23時54分