シリーズ「このごろとても気になること」⑨障害者用便所
今年の夏ある中学校に講演に行ったとき、校舎に車椅子マークと共に、「障害者用便所」と書いてあるトイレがあってびっくりした。とても気になったので、校長先生に「車いす用トイレ」ではないでしょうかと言った。だって、障がい者だったら、目の不自由な人も耳の不自由な人も知的障がいの人もみんなこのトイレに入りなさい、みたいだったから。
ついこの間、県の生涯学習センターで性教協の会議をして、ふと見ると、またここにも車椅子マークと共に、「障害者用便所」と書いたトイレがあった。うーん、やっぱり違うのではないか、と思って、事務室で、「どう書いたらいいのか分からないんだけれど、障害者用便所というのは、違うのではないでしょうか。」とだけ言っておいた。
それから、ずっと引っかかって、考えていた。そこには他に洋式のトイレはなく、「障害者用便所」以外は、全部しゃがんで使う和式のトイレだけだ。「洋式トイレ」では?いや、違うなあ、狭いと車椅子は入れないし。ても、やっぱり障害者と言うのは、違う。障がい者でなくとも、一時的に足が悪くて、しゃがむのがしんどい人もそこを使ってもいいはずだし。
そもそも障害者というのは、誰が決めることなのか。法律で決められた、障害者手帳を持っている人が、そうなのか。その人だけがこのトイレを使うことになるのか。
いやそれよりも、それを使う人に、気持ちよく使ってもらうためにはどう表示したらいいのか。うーん、分からないなあ、と。
そしたら、なんと昨日の廿日市の講演会の会場で、ずばりと答えがあったのだ!!
ああ、そうだった!!これなのだわ。ここのトイレを使いたい人、だれが入ってもいい。これを使うかどうかは、自分で決めればいいのだから。中はとても広くて、車椅子でももちろん入れるし、ベビーカーも一緒に入れる。赤ちゃんのオムツを変える簡易ベットも備えてある。
車椅子ではなくとも、歩くのがつらい人、しゃがむのがつらい人にも手すりがぐるりとついていて、使い勝手がよさそうだ。
これで、私のもやもやは解決した。さあ、これからいろいろな所でトイレが気になるだろう。公共の建物の中で、どのように表示してあるのかが。
これで、一応シリーズは終わります。デモ、今、頑張って調べていることがあるので近々また「医療シリーズ」を始めたいと思います。後期高齢者医療はどうなっているのか、ほとんど報道されなくなって、落ち着いているかのように見えるけれど、老人殺しが着々と進んでいるような、この現状を告発したいと思います。
ドイツクリスマスのオーナメントです。教会の聖歌隊です。ひとつひとつ木で作られています。教会、お家二個、木が二つ、聖歌隊の四人とリーダーが一人。好きに並べます。
コスモス薬局のHPの中に私の「体の相談室」と「著書」の販売があります。
ぜひ、覗いてみてください。
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コメント
だれでもトイレ
いい名前ですね(*^_^*)
ただ、女の子達が、
お化粧直し?に集団で入っていて、
車いすの方と、ずーっと、
空くのを待ってた経験があるので、
だれでも…というか、
使い方には、気を付けて欲しいなぁと思います。
図面に書くときは、
多目的便所などと書きますね。
いろいろな建物のトイレを見ると
ただ、あるだけだなぁと思うトイレ、
あぁ、よく考えてあるなぁと思うトイレ、
いろいろです。
結構面白いですよ(*^_^*)
投稿: かしぴり | 2008年12月15日 (月) 23時14分
昨日オーナメントを撮影している先生に出くわしました(笑)
話しかけようかしらとおもったのですが
真剣に写真を撮ってらしたので(笑)
オーナメントかわいいですね^^
投稿: りり | 2008年12月16日 (火) 11時01分
「だれでもトイレ」というネーミングがいいですね。
「みんなのトイレ」のような一体感をにおわすような言葉じゃないのがステキです。安心安全が確保されていそうだし。性同一性障がいの方も、これで人目を気にせずはいれますもんね。
投稿: たけうち | 2008年12月16日 (火) 12時00分
トイレ、よく車いすのマークが付いていますよね。認知症があって少し介助が必要な母と出かけたときは使っています。私の中では既に「だれでもトイレ」です。出入り口が広くて引き戸で、母が用を済ませたら私も使用してました。使いやすくて便利ですからね。
トイレのマークやロゴを気にしたことは有りませんでした。(鈍感なのかしら?!)あのタイプのトイレは必要ですし、助かります。使用者を限定しないで必要な人が使う、「だれでもトイレ」この名前がいいですよ!!
投稿: momoko | 2008年12月16日 (火) 13時00分
私の勘違いでなければ、確か、南区のゆめタウン広島のトイレも同じような表示でした。
健常者に対し、障害者という表現も、実は気に食わないのですが。
みんな、歳をとれば、目や耳が不自由になるのに。たまたま、普通の人より、早くそういう状態になっただけなのにっと。だからこそ、弱い立場の方も、もっと、社会に向けて、「こうして欲しい」と声をあげようよ。
健康な人だけで作った社会では、多分、弱者の本当の辛さは想像できても、実感がわかないのだと、私は思う。
[だれでもトイレ]…要は、使う人のマナー次第で、お互い気持ち良く利用したいですね。
投稿: r | 2008年12月16日 (火) 15時50分
「だれでもトイレ」、よく使います。
「多目的トイレ」って書かれているのをよく見ますが、「だれでもトイレ」の方が、ひらがなで書いてあるからか、やさしい響きがしますね。
子ども3人を一度に連れて入れるし、オムツも替えれるので、あるととても助かります。
ちなみに、子どもと姪っ子を連れて最高6人で入ったこともあります。
でも子どもが一人か2人のときは、普通の洋式トイレを使うようにしていますよ。
「だれでも」使うトイレだから、長時間使うと後がつかえますしね。
投稿: りんご | 2008年12月16日 (火) 18時17分
「だれでもトイレ」。僕も良い表現だと思います。
欲を言えば、トイレは男女が別々の場所で利用するのが基本なので、男子トイレの隣に男子用車イストイレ。女子トイレの隣に女性用車イストイレがあれば、ベストだと思います。
障害者の性別への配慮が、多方面でもっと検討してもらえると嬉しいです。
投稿: トラ吉 | 2008年12月16日 (火) 19時11分
われわれ設計者は、図面には「多目的トイレ」と書くことが多いですが、
実際に使うときは「だれでもトイレ」という呼称が、やわらかい語感でいいですね。
最近はオストメイト対応の設備があるところも増えてきたんですよ。
投稿: 六郎 | 2008年12月16日 (火) 21時45分
六郎さんへ
オストメイト対応の設備を、私も何ヶ所か、知ってます。医療従事者の立場からすると、医療・福祉に関して日本は、まだまだ遅れているな-と感じる事が多々有ります。別に、「もっと最新情報を先取りしてよっ」と言うのでなく、人と人とのふれあいを大切にして欲しいのです。自販機やコンビニが無かった昔は、必ず人との交流が有り、助け合いの精神が自然に備わり、相手を思いやる心も育ったような気が…
河野先生へ
勝手に意見を言って申し訳ありません。
先生のブログで、いろんな方の意見を拝読し、とても勉強になります。
ちなみに、和式トイレより洋式トイレを使う方が楽ですが、楽な分、太股の筋力が低下し、膝に負担がかかるのでは?と思うのは、考えすぎでしょうか?
投稿: r | 2008年12月17日 (水) 09時38分
かしぴりさま
ええ!?そんな使い方をする高校生がいるのですか。どうぞ、そんなとき「車椅子の人に開けてあげて」と声をかけてください。後ででも。言わないと気づかない人っているのですよね。若いうちにそういう気遣いをおしえないと、と(またまたうるさいばあさんですが)そう思います。多目的トイレというのですね。こなんトイレが増えるとうれしいことです。コメント有難うございます。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2008年12月21日 (日) 13時43分
りりさま
そうなんだ。もう、今度来たときには、ぜひブログのりりだと教えてください。楽しくブログを読んでいますよ。コメント有難うございます。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2008年12月21日 (日) 13時45分
momokoさま
そうですね。車椅子でなくとも、介助の必要な人もいますし、必要な人だれもが使える、そういうネーミングがいいですよね。いろいろと教えてくださって有難うございます。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2008年12月21日 (日) 13時51分
たけうちさま
そうですね。性同一性障がいの方は、それぞれ自分の希望するトイレに入っていらっしゃるようですが、遠慮しないで自由なトイレの使い方が出来るという意味で、こんなトイレがいいですね。気づかせてくださって有難うございます。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2008年12月21日 (日) 13時58分
rさま
そうなのですか。ゆめタウンでも。公的なところだけでなく、民間の施設でもこのようなトイレとネーミングがされるとうれしいですね。バリアフリーと言うのは、単に階段がないというだけでなく、人々の意識のバリアも問題にしなければと思います。「障害者用便所」と書いてあるのを目にしたときの、あのざらざらした違和感がやっとすっきりし始めました。これからも、り目を光らせておこうと思います。いつもコメント有難うございます。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2008年12月21日 (日) 14時04分
りんごさま
ええ、沢山のお子様と一緒にトイレに入れるというのも、メリットですね。お母さんがトイレに入っているときに外で待っている子どもたち、とても不安そうですもの。コメント有難うございます。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2008年12月21日 (日) 14時07分
トラ吉さま
車椅子でも入れるトイレがなぜか女子トイレに作ってあるのをよく見ます。ただ、付き添いで異性が入らなければならないこともあるので、男性女性と限らない方がいいこともあるかと。このたびの「だれでもトイレ」は、向かい合わせで二つの「だれでもトイレ」が。その間の通路を奥に行くと、左右に男性のトイレと女性のトイレが並んでいました。いろいろと配慮する人もいるのだなあ、と、おしえられたのです。コメント有難うございます。また、いろいろと教えてくださいませ。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2008年12月21日 (日) 14時13分
六郎さま
ええ、身内にオストメイトがいる私としても、そのあたりの配慮がもっとほしいと思っていたところです。今の設計の多目的トイレはほぼ「オストメイト」O.K.ではないでしょうか。社会全体にいろいろと配慮が行き届くようになるにはまだまだだと思いますが。コメント有難うございます。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2008年12月21日 (日) 14時17分
rさま
ええ、私は考えすぎだと思います。多くの人が使うトイレなのですから、太ももを鍛えるためのトイレよりも、楽に使えるトイレのほうが必要だと思います。以前、リュウマチで全身の関節がバンバンに膨れ上がって、足が曲がらなくなったことがありました。緊急に飛び込んだトイレが和式で、何とか使った後、立てなくなって泣いたことがあります。あのときのしんどさを考えると、みんなにやさしいトイレのほうが何よりも必要と思います。足は他のことで鍛えればよろしいと私は思います。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2008年12月21日 (日) 14時21分