シリーズ「このごろとても気になる事」①母乳と食事とストレス
今日からまたシリーズを初めます。「このごろとても気になること」子育てや、恋愛や、夫婦や、風俗のことなど、いろいろとたまっていることを書くつもりです。
第一回は、ある患者さんのこと。お子さんを産んで3年。気分が塞いでいます。体調も不良で、家事をするのも思わしくありません。月経も出産後一度もありません。
体は痩せ細っています。実は、彼女は声を搾り出すように私に訴えました。産後、母乳育児をするための、助産師さんの指導がとても厳しかったと。「お肉だめ。砂糖もダメ。油だめ。玄米食」と。お肉や砂糖がダメなのは、おっぱいが詰まるから、と。その結果16キロも体重が落ちてしまって、体力もなくなってしまったと。同時にストレスが強く、それで気分も塞いでしまったと、そういわれます。
私にも覚えがあります。母乳を飲ませている間は、とてもお腹がすきますし、のどが渇きます。それまでになかった感覚です。水分や栄養がどんどんと吸い取られていくのですから、一生懸命に食べなければなりません。そうしないと、母体をすり減らさなければならなくなります。
ネットでいろいろと調べてみると、日本では、「甘いものや脂っこいものを食べると、おっぱいが詰まる」と結構言われているようです。欧米では、一切このようなことは言われていません。いえいえ、おっぱいが詰まる、すなわち乳腺が詰まってしまうのは、おっぱいが空っぽになるまで十分に吸わせない場合に起こるというのが定説なのです。また、母乳がおっぱいに残っているときには、絞って捨てておくこと、それによってまた新たなおっぱいが作られる、その循環がうまくいけば、乳腺炎で苦しむこともなくなるのですが。
母乳の成分の多くはたんぱく質です。たんぱく質に富んだおっぱいを作るには、たんぱく質が十分に補われなければなりません。良質な蛋白であるお肉を取ることも必要なことなのです。それに、疲れたときには、お砂糖の入ったものを食べたくなることもあるでしょう。
私は、子育てをするときに、親が禁欲的になり、「こうあらねばならない」と自分に厳しくすることは、とても良くない子育てになってしまうと思うのです。親のストレスは、子どもに伝わります。もっとおおらかに、ゆったり、楽しんで子育てをしなければ。長い間の子育てです。少しは手抜きやちゃらんぽらんなことがあってもいいのですよ。
その患者さんには、今、しっかり好きなものを食べなさいと指導しています。少しずつ体重も増え、元気を取り戻しつつあります。でも、自力で月経があるようになるには、まだまだ時間がかかります。
自分の身を削って母乳を飲ませているお母さんに、「母乳のためには粗食がいいのだ」なんて、もっともらしく言っている人もいます。粗食のお母さんから、水みたいな中身のない母乳をのまされる赤ちゃんもいい迷惑だと思います。
母乳指導と称して、厳しいストレスをお母さんに与えることはやめてほしい、と情けなく思っていたら、なんと、それ以上にびっくりすることがありました。妊婦の栄養についてです。これについて、また明日お話しします。
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ぜひ、覗いてみてください。
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コメント
先生のブログを拝見して、私も第一子出産後のことを思い出しました。
退院してから、すぐに乳腺炎になり私も助産師さんのところへ、行きました。
それでなくても、全てが初めての経験で不安だらけ。
思うように寝れない身体も戻らない、自由に過ごせない不安とストレスでいっぱいの中で、更にあれも駄目これも駄目というお話で、泣く泣く家に帰ったのを思い出しました。
母親ならばここまでして当たり前だという話で、本当に私は子供産んではいけなかったのではないかとまで、思いました。
そんな話を母親にしたところ「完璧じゃなくていいよ。私もあなたを生んで、少しずつ母親になれたんよ。」っと言ってもらい、安心しました。
河野先生の今日のブログをたくさんのママさんが読んで、救われるといいですね。
本当にいいお話でした。
ありがとうございました。
投稿: おけいこ.com | 2008年12月 6日 (土) 23時44分
私の場合は、親身に接してくれた助産婦さんのおかげで、特に母乳の心配は無く。
でも、アトピーで悩むお母さん方の話を伺うと、戦後の昔と違い、今は栄養過多の時代だから、和食を見直しましょう!という方向のようです。要はバランスでは?
また、農薬だらけの野菜や抗生物質処理が多いかもしれない肉・卵etcの影響でアレルギー疾患増加の可能性もあるなら、消費者の立場から、安全な食を求める時代ですよね?
投稿: r s | 2008年12月 7日 (日) 12時21分
うん、うん。母乳をあげてる時は、どれだけ食べても
太りませんでした。
母乳を飲ませなくなってから、太りました。
「母乳って、すごい」と思いました。
食べなくては母親の体力が持ちませんよね。
確かに、初めての子育ては育児書を片手に、不安とストレスと葛藤していた気がします。
河野先生のブログを多くの方に見ていただきたいと思います。
投稿: ウリ坊 | 2008年12月 7日 (日) 16時19分
先生が今日書かれた記事をもっと早くに読んでいれば・・・、
と思ったベテランママさんがきっとたくさんいると思います。
私は出産した病院の助産師さんの言葉に従い、
「おっぱいにストレスを溜めないように」、
時々美味しいものを食べて、自分のペースで授乳してました。
基本は和食中心で、麦茶と牛乳の生活、これで3人とも完母で出し切りました。
母親だって人間です。
少しは、というか適当で「自分に大甘」な母さんですが、
子供たちはしっかり育ってくれてますので、
“良し”としております。
先生のブログは本当に勉強になります。
また寄らせて頂きます。
投稿: めぐママ | 2008年12月 7日 (日) 17時58分
こんにちは、今日の母乳育児の話は桶谷式というのではないでしょうか?実は私は約26年前、桶谷式の母乳育児をしました。河野さんのブログに書いてあるような食事内容でしたが、私はその患者さんのようにきっちり決まりを守らず、時にはケーキを食べたり(ケーキが一番母乳によくない)、甘いものも油ものも欲しい時には食べました。また桶谷式であればよい母乳を出すためのマッサージをしてもらったりしました。卒乳も、簡単にできたし、子どもも1850gの未熟児にもかかわらず、健康に育ちました。
私はいい加減な性格だったので、逆に良かったのか、楽天的であまり心配もせず過ごしたので良かったのか、わかりませんが・・・・・。たぶん、その患者さんはまじめに決まりを守ろうとされたのですね。
河野さんがおっしゃるように、ゆったり子育てを楽しむことが一番いいのですね。
投稿: eastwaterY | 2008年12月 7日 (日) 18時10分
一人目は3ヶ月までミルクと母乳の混合で、それ以降は母乳オンリーになりました。
娘は乳を吸う力が強くて、私の乳首が切れて血が出るので、痛くて痛くて母乳をやるのがイヤになったりしましたが、気長に吸わせていたのが良かったようです。
私も周りから色々言われましたが、両親は「気長に吸わせてみて、ダメだったらミルクにすればいい」と言ってくれ、気が楽になりました。
ちなみに、助産師さんに揉んでもらったりはしなかったけど、出るようになりましたよ。
産前産後って特に感情の浮き沈みが激しいので、言ってるほうは何気ない事でも、言われた方は深く気にしてしまう事もあるので、気を付けたいですね。
投稿: りんご | 2008年12月 7日 (日) 18時37分
こんばんは。このコメントには差障りが色々あるので匿名にさせてください。掲載されずでも結構です。
うちの女房が6年前に出産した後、産後ウツにかかりました。育児をする気力もなく、生きるのが辛い状態だったのです。
そこで身内の紹介で、とある助産士さんにカウンセリングを受けたところ、・食生活を改善すること(例によって粗食、自然食を推奨)。・精神科の坑うつ剤を飲むと依存症になって自殺のリスクが高くなるので絶対に行ってはいけない。・薬を飲んで母乳育児ができなくなるのはアトピーなど子供の健康に重大な問題を引き起こす。 と、恐ろしい実例を交えた指導を受けました。
女房は元精神科ナースだったこともあり、その指導を受け入れることなく精神科に行き、薬の服用で数ヶ月で軽快して行きました。ミルクに切り替えましたが子供は元気に育ち、私も授乳の喜びを味わえて全く問題ありませんでした。
我が家は幸運にも助かりましたが、女房本人や家族の判断力がもう少し低下していた時期であったなら、この指導を受け入れて抜き差しならない事態になっていた可能性が大いにあります。あの助産士さんに再び会うことがあれば、罵声の一つも浴びせてやりたい気分です。
現代医学が全て正しいとは言いませんけれど、医療界の淵には命を危険に晒すことを平気で言うような人たちがいるという事実は覚えておくべきだと思います。しかもこの人たちは善意で物を言っているから始末が悪いのです。
先生の記事で久しぶりに思い出しました。
投稿: 匿名希望 | 2008年12月 7日 (日) 20時34分
久しぶりにコメントさせていただきます。
私は、和食中心の指導を受けて、救われました。
大きい乳房のためか、乳腺炎を繰り返しました。
和食中心に切り換えて、どんなに助かったことか。
和食を中心にと指導されますが、甘いものや油ものを、全く食べてはいけない、とはおっしゃいません。
先生の患者さんは、たいへんお気の毒です。
けれども、実際はそんなに厳しい指導はされていないのです。
河野先生、私は河野先生の大ファンです。
私を含め、たくさんの方が、こちらのブログを楽しみにしておられることでしょう。
正直なところ、今回のブログは残念でなりません。
患者さんからの情報だけでなく、実際にその助産師の方に取材をしてから、書いていただきとうございました。
人物の固有名詞を書いておられないにしても…。
個人のブログとはいえ、不特定多数の方が読むことができるものですし…。
河野先生ともあろう方が…。
言葉が過ぎていたら、申し訳ありません。
投稿: 美代美 | 2008年12月 7日 (日) 22時30分
はじめまして。広島ブログからきました。
私には2歳の息子がいますが、彼は普通の血液検査ではわからないタイプの食物アレルギー(しかもマルチ)です。
母乳のみで育てていたのですが、母乳経由でアレルギー症状がでたことから私は母子共にアレルゲンを除去しなければいけませんでした。ちなみにアレルゲンは卵、乳製品(乳糖不可)、そば、牛肉、とうもろこし、さつまいも、青魚、甲殻類、柑橘類です。それでも母乳のみで育てたかったんです。
おまけに豚肉のステーキの脂身を食べて乳腺炎一歩手前の状態になり、おっぱい専門の助産士さんに2時間かけて搾って貰いました。「何を食べたんね!!」と怒られましたが。
真面目に除去食を食べていた私は乳腺炎になることなく断乳することができました。
母乳育児の為の食べ物、とても大事だと私は思います。理由があって、除去食を食べながら母乳育児をされている方がたくさんいらっしゃいます。母乳経由でアレルギー症状がでる赤ちゃんもいます。
そのための除去食は否定しないでほしいのです。
投稿: ちらかし魔 | 2008年12月 8日 (月) 17時13分