シリーズ「このごろとても気になること」⑧高齢の方のDV
DVというのは若い人たちだけのものではありません。むしろ、年齢のいった人たちのDVは話しを聞くだけでもつらい物があります。長い間、夫の暴力に耐え続けて、気が休まるときがなく、そして罵声を浴びながら義理の親の介護にあけくれ、やっと両親を看取ったら、今度は夫の介護で、自分の人生は一体何だったのかと、そんな話しを聞きます。
配偶者による暴力は、単に殴るけるというものだけではありません。性の強要、これは多くの人に聞きます。自分は疲れていて、もういやなのに、夫に無理やりに、というものです。無理やりの体の接触は、心も蝕みますし、夫に対して嫌悪感すら覚えるようになります。
また「バカ」だの「出て行け」だの、ひどい言葉を浴びせるのも暴力です。これらの言葉により、人格が壊されてしまいます。
それから、妻が出かけようとすると、「どこへ行くのか」「行くなや」と、拘束する、これもよく見られます。妻が自分の趣味を持っていて、夫の定年退職後にも続けようとすると、それを極端に嫌がる人がいます。
妻が楽しいことをして、生き生きとしていれば、それを喜んで上げたらいいのに、と思いますが、そうは行かないようです。自分の関与できない世界に妻がかかわるのはいやなのは、嫉妬なのでしょうか。妻は自分の世話をするためにいるもの、みたいに思っているのでしょうか。
結婚当初からの夫の暴力と拘束に、とうとう耐えられなくなって、心身症となってしまった人もいます。長い間のつもり積もった我慢が体をも蝕んでしまいました。彼女の「離婚」という選択によって、やっと立ち直りつつあります。
二人で生きるというのは、一方的な上下の力関係ではなく、やさしさとや思いやりを持った温かく楽しい関係、そばにいるとほっとする関係、それでこそ、と思います。パートナーと温かい関係を作るために、そのためにこそ、若いうちに、人間関係のつくり方、コミュニケーションの作り方を学びたいと思います。それも大切な性教育の課題なのです。
そのようなことをも明日の廿日市での講演で話したいと思いますが。日ごろ慣れているテーマでの講演ではないので、若干心配です。うまく話せるだろうか、と。でも、頑張ります!!
ドイツクリスマスのオーナメント、バイオリンです。本物と同じ、小さなバイオリンです。こんな丁寧な手作りの作品がとても好きです。
コスモス薬局のHPの中に私の「体の相談室」と「著書」の販売があります。
ぜひ、覗いてみてください。
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コメント
河野さん、こんばんは
この前は福井県のDVの取り組みを取り上げていただき感謝です。昨日福井新聞社が私たちの高校・大学での講演会を取材してくれ、デートDVについて特集記事を書いてくれました。若い男性記者が書いてくれました。少しずつですが変わってきているようです。
さて高齢者のDVはとても深刻です。私が世話人をしているDV自助グループにも今までに何人か50代過ぎの女性がミーティングにきましたけど、お金、健康、孤独などのいわゆる3Kの問題があり、暴力的環境から逃れられないのが実態のようです。妻が仕事をもつことを阻止し経済的自立を妨げたあげく、殴るけるで腰や鼓膜に障害を残した人も結構います。行政の支援は子育て中の若い女性や独身の女性に集中しているため、なかなか救済もされにくいようですね。訪問介護のヘルパーさんや市の保健師が家を訪ねてきてDVを発見できればまだましなほうなんですが、そういう家庭に限って夫が家に他人をいれたがらないですからね。
高齢者虐待と並んでこれからの大きな問題だと思います。
投稿: たけうち | 2008年12月14日 (日) 01時26分
たけうちさま
その節は大変お世話になりました。戴いた貴県でのDVの取り組みをあちらこちらで宣伝させてもらっています。先日の講演では、戴いたスポット広告も見ていただきました。全国的にはまだまだですが、少しずつでもガンバリましょう。コメント有難うございます。これからもどうぞよろしくお願いします。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2008年12月21日 (日) 05時07分