私の今回のシリーズには、沢山のコメントを戴いています。ひとつの問題提起になっているな、と実感しています。私は、長い間産婦人科の世界に身を置いているものです。沢山の患者さん、妊婦さんに接して来ました。はっきりいえることは、皆さん、人それぞれ、人さまざまだということです。
画一的に「こうあらねばならない」と言う医療はしないこと、をモットーにしてきました。皆さん一人ひとり生身の体と心を持っています。機械とは違います。機械だって時々は故障します。まして、女性の体、排卵、月経、妊娠などはとても微妙なものですし、一人ひとりの受ける心も異なります。
患者さんにプレッシャーや心配ごとはいたずらに与えないように。それには、「禁止」よりも、「賛同」をと。「指導」よりも「寄り添い」をと。
患者さんの希望にどうよりそうか、と。希望も一人ひとり異なります。とてもひどい難病の方がそれでも子どもがほしい、と言われたとき「体のために、子どもを諦めるように」という説得よりも、どうしたら彼女の希望をかなえて上げられるだろうか、と考えます。
とてもひどいつわりの人があまりにひどくて、ひどい栄養不足になって赤ちゃんが育つことが出来なくて、とうとう胎内で亡くなってしまいました。それでも赤ちゃんはほしい、と強い希望があります。次の妊娠も、ひどいものでした。水も受け付けません。点滴と高カロリー輸液でなんとか水分と栄養を補い、体のミネラルのバランスをとり、今度は、何とかなるか、と言うところまで来たときです。なんと、彼女は子宮がんになってしまいました。
私たちも愕然としましたし、お連れ合いは彼女の体のために、赤ちゃんを諦めて手術をと勧められました。が、彼女の希望は強いものでした。「赤ちゃんを諦めるのなら、私は、死にます。」ときっぱりといわれます。
私たちも、いろいろと悩み、文献を調べ、教授に相談し、そして、結局決断しました。28週まで待ちましょう。それまで、何とか頑張って食べて、赤ちゃんを大きくしましょう。そして、28週になると帝王切開で赤ちゃんを出産し、そのまま癌の手術を、と。何とか赤ちゃんが体外で育つ、ぎりぎりのところです。手術には、万全の体制をとりました。他院のNICUのドクターにも来ていただきました。1000グラムほどで生まれた赤ちゃんは、今、大学生になっています。その後もずっとお付き合いは続いています。
「あのときの、赤ちゃんを諦めるのだったら、私は死にます」と、自分の命を懸けて訴えた、彼女の熱意がこの子を生かせたのだと、今もその時のことを思い出すと、涙が出てきます。
一度目に中毒症で入院していたにもかかわらず、胎盤早期剥離で赤ちゃんがダメだった人もいます。でも、どうしても一人は産みたいと強い希望の彼女は、二度目の妊娠は、ずっとずっと入院を続け、そして「無塩食」で頑張りました。入院中のストレスの発散はいろいろと一緒に工夫しました。中でも、彼女はよく歌を歌いました。本格的な歌です。私たちはよく聴衆になりました。
ある膠原病の方はどうしても妊娠の継続が出来ません。途中でダメになってしまいます。羊水が減ってしまって、子宮の中がからからになってしまうのです。生理食塩水を子宮の中に補いながら、何とか、赤ちゃんが生存できるくらいの大きさになったときに帝王切開をしました。赤ちゃんは、育っています。少し障がいを持っていますが、でも、子育てに生きがいを待っているといわれます。
このような方たちは、当然、厳しい食事や行動の制限がともないます。でも、それはひとつの目標を持ってこそ、乗り越えられるものですし、意味のあることでしょう。そのときには、私たちは、彼女の心の負担を出来るだけ軽くして上げられるよう、不安で一杯でなく、希望を持って前向きに乗り越えられるように、そんなケアが必要だととりくんでいます。それでも、振り返ってみると結果的にうまくいっても、こちらの背筋が寒くなる思いのことが多くあります。
今回の皆さんのコメントを読んで、また、人それぞれ、様々の思いでいます。でも、子育てもそれぞれ。画一的に「こうあらねばらなない」との思いでしんどい子育てをしないように、と願います。そのストレスで、自分が追い詰められてしまった人を何人も見ているからです。
それから、いわなくてもいいことかも知れませんが。私は、〇〇式の乳房マッサージをマスターしています。研修をうけ、レッスンをし、その有効性は多いに認めています。ただ、乳管がまだ十分に開いていない人が、先に母乳が作られて張ってしまうと、痛くて大変です。何より乳管が開くようにという乳首中心のマッサージが初期には必要と思います。〇〇式は、なかなかお乳が出来ない、足りないという人にはとても有効だと思います。
今も、乳腺炎になってきた患者さんには、マッサージを一生懸命にします。大体、一回のマッサージで解消しますが、食事の指導はしません。食事が原因であるとの確証が私には持てないからです。
もちろん、アレルギーのある人はとても大変であることも分かっています。そのような一生懸命頑張っている人たちのことを非難しているわけでは決してありません。私は、患者さんを非難していません。画一的な厳しい指導をする人への疑問を持っているだけです。
それから、私はブログに書くことの影響をしみじみと感じています。だから、決していい加減なことは書けません。取材に時間をかけて、間違いないと確信を持ったことだけを書きます。それは自信を持って言えます。皆様のコメントのお一人づつの返事は今回はごめんなさい。この今日のブログで変えさせてくださいませ。
今日は、しんどい記事なので、お花を。kei.先生のレッスンで、恒例のビデマイヤーです。
3月にお花の発表会があります。それを目指してレッスンを続けています。クリニックの受付に飾りました。
コスモス薬局のHPの中に私の「体の相談室」と「著書」の販売があります。
ぜひ、覗いてみてください。
最近のコメント