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高齢の方の産婦人科医療(5)尿漏れには主に二つのタイプが。

 高齢の方に多い訴えの一つに「尿が漏れる」と言うのがあります。いろいろなタイプがありますが、とくにお年の方の場合、咳やくしゃみなどおなかに力が入ったとき、思わずもれてしまう「腹圧性尿失禁」と、おしっこをしたいと思ったら、すぐにトイレに行かないと間に合わない「切迫性尿失禁」の二つが多いものです。(このほかにも、心因性や、からだに障がいがあるための尿漏れなどもあります)

 この二つの尿漏れについてお話します。まず「腹圧性の尿失禁」。これは、咳、くしゃみ、急に走る、重たいものを持ち上げるなど、おなかに力が入ったときにもれてしまいます。出産の経験のある人やお年よりに多く見られます。原因としては、骨盤の底にある筋肉が緩んでしまって、少しの圧力で膀胱の出口が開いてしまうために起こります。治療としては、軽い人は、骨盤底筋体操で筋肉を鍛えます。前回お話しした「キーゲル運動」が基本になります。肛門をぎゅっと締める運動ですね。これに、いろいろな格好を組み合わせます。たとえば仰向けでする、四つんばいになってする、寝た姿勢で足をまげ、お尻をもちあげながらする、などです。

 軽い人は、この運動でずいぶん改善します。重症の方は手術をすると楽になります。手術は、今主流になっているのは、膀胱の出口の部分をテープで吊り上げて固定するものです。これは、お腹を切る必要もなく、高い効果上げることから、ずいぶん普及してきています。が、まだその手術をしてくれる病院が限られているのが難点です。

 もうひとつ、尿意があると、すぐに出てしまう、トイレが間に合わない、下着をおろそうとするのも間に合わないで出てしまう、という「切迫性尿失禁」についてのお話しです。この原因は、自分の意思ではなく、膀胱が勝手に収縮してしまったり、膀胱の容量が小さくなった場合に起こります。

 治療としては、手術は望めません。これについては、ずいぶんいろいろなお薬が出ています。結構、効果がありますので、これを飲みながら、「膀胱訓練」をします。膀胱訓練というのは、排尿、尿失禁の状態をまず詳しく記録します。そして、一回の排尿量と排尿の間隔を知り、その量と時間を少しずつ増加・延長するように努力するものです。要するに、出来るだけ尿を我慢することによって、膀胱の容量を増やしたり、膀胱が勝手に収縮しないように、訓練を、というわけです。

 この尿漏れで、密かに悩んでいる女性がとても多いといわれます。実は、生理用のナプキンが、高齢の女性の尿漏れ用にかなり使われているのでは、というデータもありました。そして、今、生理用でなく、尿漏れ専用のナプキンも出来ています。血液と、尿では、吸収のしかたや、においへの配慮などが異なるからです。また、この悩みの方への説明や、体操の仕方を図解しているパンフレットも沢山出ています。

 私のクリニックでは、このような悩みの方にこれらのパンフレットと、尿漏れ用のナプキンのサンプルをお渡ししています。

2008_11020013  こんな症状の人は沢山いるのですから、一人で悩まないで、どうぞ病院で相談して下さい。とくに高齢の方は、我慢してしまいます。このようなことは、人にしゃべるのははしたないとして育ってこられたからでもありましょう。

 次回は、高齢の方について、最後に申し上げたいことをお話しします。

 


コスモス薬局のHPの中に私の「体の相談室」と「著書」の販売があります。
ぜひ、覗いてみてください。

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コメント

はじめまして(*^-^)私15年ほど前に河野先生にお世話になったことがあります。その節は大変お世話になりました。ありがとうございました。
『高齢の方の産婦人科医療』シリーズ大変興味深く拝見させていただきました。私は50代半ばですが、51歳の閉経ごろから陰部の不快感に悩まされており、一時は歩行も辛くなり、悩みに悩んで近くの婦人科を受診しました。診断はやはりホルモン不足。一日一錠のホルモン剤の服用。大分楽になってきた一ヶ月後、閉経したはずの生理が突然始まり、それがかなりの量!一週間でやっと終わったと思ったら、一週間ほど後にまた始まり、貧血になりそうで恐くなって治療を中止してしまいました。今も辛いのですが何とかやってます。この記事を拝見し、同じような人がいるのだと凄くホッとしました。こんな変な症状の人なんてどこにもいないと思っていましたから。
この記事を載せてくださってほんとうに感謝です。
私は毎日PCライフを楽しんでおります。もっと高齢の方にもPCの世界を知っていただきたいですよね~(*^-^)
コメント長くなって申し訳ありませんo(_ _)oペコッ

投稿: カモミール | 2008年11月 3日 (月) 20時15分

カモミールさま
コメントありがとうございます。性器の不快感には、ホルモンが有効です。それも、いろいろなタイプのホルモンがあります。そのようなときには、クリームもありますし、パッチも、膣錠も、ジェルも、とずいぶんといろいろと出ています。ご自分にあったのを使えばよいので、またご相談なさったら、と思います。それから、ホルモンを使い始めには生理のような出血があることがありますが、そのうちに止まってきます。そのようなことをしっかり事前になしていなければならないのですが。股、ブログも覗いてくださいませ。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2008年11月 3日 (月) 23時39分

いろいろためになることを書いて下さってありがとうございます。私は30代後半ですが、三人目妊娠中に子宮が下がり、しかも、吸引分娩で、かなり産後違和感が残ってしまいました。
その後、体操で少しは改善されたように思いますが、ジャンプや全力で走るのはちょっと避けた方がいいようです。一度受診しましたが、この程度なら体操しかないと言われました。妊娠中や産後の過ごし方、もっとみんなに正しい知識が知れわたるようになるといいなと思います。私は全くこのようなことが起こるとは知らず、おかしいと思いながらも産後もけっこう無理してしまいました。産院でもスケジュールがいっぱいで、あまり寝ていられなかったし…まあ、グチを言っても仕方ありません。先生のブログを多くの人が読んでくれるといいなと思います!
最後に質問ですが、趣味でダンスをしているのですが続けていても大丈夫でしょうか?体調が悪いときは控え目に踊っています。精神的にすごく前向きになれるので、続けたいところですが(^^ゞ

投稿: あばうとまいぺーすママ | 2008年11月14日 (金) 20時24分

はじめまして。2~3年前から不快感があり、自分では『子宮が下がってきている』感がありました。
今日、このブログに出会い、確信しました。
33歳で第1子(2860g),35歳で第2子(3860g)を出産しました。第2子がかなりの難産で、出産後1ヶ月間膀胱に尿を溜められなくなり、垂れ流しの状態でした。
その後は、失禁をするようになりました。数年前からは膀胱炎も患っています。(膀胱炎は直接は関係無いとは思いますが…)
やはり早めに婦人科に行ったほうがよいでしょうか。
なかなか決心がつかないのですが…

投稿: もえまま | 2011年6月15日 (水) 11時33分

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