弘中惇一郎弁護士の講演
今日の診療を終えてすぐに旧全日空ホテルへ。そこで開かれている「外科学会」に参加した。場違いではあるが、「弘中惇一郎弁護士」の講演があったから。今や時の人。あのロスで自殺した三浦和義三の日本での弁護士さんだ。
というか、私たちにとっていちばんの記憶は、あの薬害エイズの裁判だ。裁判の原告、薬害の被害者の人たちの弁護をしていて、突然、帝京大学の血友病の医師安部英三の弁護士になった人だ。わたしたちは、HIVのボランティア活動をしていて、アット驚いたものだった。そして、安部英氏も三浦和義氏も無罪を勝ち取るという、凄腕の弁護士さんだ。
今日の講演のテーマは「医療行為と刑事裁判」。薬害エイズの裁判をした経験からのお話しであった。私にとっては、「モンタニエ、ギャロ、厚生省の松村さん、郡司さん」などと、懐かしい名前が次々と出てきた。さすが、筋が通って、コンパクトにまとめてすっきりした話しであった。だが何分にも話しが古い。タイムリーな話題ではない。
医療の分野に司法の手が入るようになり、そしてあの福島県の大野病院の産婦人科医師の逮捕があり、次々と全国の病院から産婦人科医が撤退することになった、そのような話しが現実である。この医師が無罪となった今、これからの医療はどこに向かうのか。検察はこれからも医療に介入を続けるのか。それが聞きたかった。
大野病院の事件のような、無理をすることは検察も控えるかも知れない。しかし、一般的な医療の水準に大きく外れるとき、そのときは司法の手がこれからも入ることが予想されるとのことであった。患者さんの目も厳しくなっているし。それはそうであろうと私も思う。
医療者にとって、ますます厳しい状況となるであろうと思う。
先日、私のクリニックの前でばったりと先輩のドクターに出会った。[あれ?先生、どうなさいました?お仕事は?お昼休みですか?」そしたら、先生は「辞めた。」といわれた。驚いた。すべての診療をやめて、産婦人科のビルも全部ぶっ壊して跡形もなくしたのだと。沢山の人がお産をしていた医院だ。「すっきりしたよ。本当に楽になった。」と。後は、健診所でがん検診のアルバイトをしているだけだと。先生の顔がとてもおだやかになっているのに、また驚いた。
私も「いつ決断するかだよ。」とそそのかされてしまった。それはそうだけど・・・。私は今診療を辞めなければならない理由は何もない。せいぜい、「一般的な医療の水準」から外れないように、日々研鑽を積もうと思う。
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