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テレビでのコメントー癌の人も聞いている。

先日、俳優の峰岸徹さんが亡くなった。肺癌でわかったときには手術は不可能たといわれた、と。その発表があった翌日のモーニングショーでは一斉に彼のことを取り上げた。その一つを見ていて、ドキッとした。 

 コメンテーターの一人が、「治療をするとね、一旦、寛解と言って、治ったようになるんですよ。でも、それがまた再発するんですね」と言ったのだ。「再発するんですね」と言った。「再発したんですね」であったなら、これは峰岸さん個人のこととして、まだいい。手術ができなくて、抗がん剤で治療した人はみんなこうなるような言い方をされたので。それはまずではないの、と思った。

 その人は、私の好きなコメンテーターであったし、彼自身も癌を克服した人である。だからと言って、癌のすべてが分かっているかのようなことを言わないでほしい。どんな人がテレビを見ているかわからない。その一言で、深く傷付く人もいるということを知っているのだろうか。

 以前書いた、主治医が赤で「完治不可能」と書いた、その彼女は懸命に抗がん剤の治療をしている。今、三クール目。二クール目まではとても元気だった。でも、ここに来て、がっくりと落ち込んでいると。家族からの連絡があって会いに行った。

 彼女はやはりその番組を見ていた。彼女が癌と宣告されたとき、ちょうど峰岸さんが癌だという記事を週刊誌で見たのだそうだ。そして、もう彼は亡くなってしまって。彼女も同じ肺がんで手術が出来なくて、ステージ4で。いくら治療をしても、自分もそうなるのだと。で、年老いた連れ合いを残して死ぬのは、この人がもうかわいそうで、と。ひどく落ち込んでいた。

 私は、彼女の鎖骨を触らせてもらった。鎖骨の上のくぼみに固まりを触り、私は内心青ざめて、すぐに専門医に紹介したのだった。その塊がすっかりなくなっている。ええ?なくなってるジャン。消えてる!!抗がん剤が効いているんじゃないん。肺は?どうなっているの?とたずねた。そしたら、元のところは、小さくなって、周りに転々とあったのは、消えてた、と。ほらー、効いてるじゃないの。まだ二クールでここまで効いているんだから。

 効果がなくって、どんどん悪くなってるんだったら、つらいかも知れないけれど、でも効いてて、元気なのだから、落ち込むことはないじゃないの。頑張って治療をうけてよね。連れ合いを残して死ぬ、なんて思わないで。死なないで。生きてよね。この人がかわいそうなんて悲しむことはないよ。お連れ合いよりも長生きをすればいいんじゃないの。私の連れ合いだって、半年といわれたのに、もう30年も生きてる。そんなこともあるから、私は、だれでも希望を持って治療してほしいと思ってるよ。

 私はそんな話しをした。医療は進んでいる。私が医師になったころ、半年でなくなったような卵巣がんの人でも、抗癌剤の進歩により、10年生きれるようになってきた。10年というと、完治に等しい。

 人は誰でも死ぬ。死亡率は100%。いつ、誰に何があるか分からない。その現実に向き合って、つらい思いをしている人に、「お前ももうすぐ死ぬのだ」と言ったに等しいようなコメントは本当にしないでほしい。

 今日は今から福山の松永に講演に行く。夜の講演というのも、時にはうれしい。休みの昼がたっぷり使える。車で行こうと思っていたのだが、帰りの運転がしんどいかな、と思ったので、新幹線で行くことにした。中学生や小学生の保護者の方に今の若者の現状と、どんなことを伝えなければならないかということをしっかり話して来ようと思う。人を傷つけないように、人に対する配慮が出来る人になること。それも大切な性教育の一つだから。


コスモス薬局のHPの中に私の「体の相談室」と「著書」の販売があります。
ぜひ、覗いてみてください。
広島ブログ

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コメント

教師時代、院内学級を担任していた頃に
「子どもにテレビを見せるのが怖い…。」
とおっしゃっていたお母さんがいたのを
思い出しながら読ませていただきました。

小児がんの治癒率はどんどん上がっているのに、
未だに不治の病でみんな死んでしまうのだと
誤解されるようなドラマやニュースが結構あって
子どもが元気をなくしていると。

病気のことをあまり知らない子どもも
自分の副作用がテレビと一緒だと気づき
自分の病気も治らないのではと
考えるようになって不安がっていると。

先生が書かれているように
誰が見ているか分からないのだという想像力を
テレビを作る側には持って欲しいものだと思います。


投稿: セラピスト☆マリリン | 2008年10月17日 (金) 20時14分

セラピスト☆マリリンさま
コメントありがとうございます。コメントを読んで、とても胸が痛かったです。本当に、そのとおりなのですね。しかも、大人でなく、子どもたちだから。お母さんもとてもつらいと思います。そんな思いをどうやって届けるかですね。本気で行動をしなければ、と思います。記帳な体験談、感謝します。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2008年10月18日 (土) 07時52分

初めまして 時折拝見させていただいていました。
家内は2回手術をしました。
この種の番組を見ていて、慌ててチャンネルを変えるのも変だし、そのまま見続けるのも可哀想だし。。
悩んでしまうことが多いですね!
只言えるのはそんな番組はもう見ません(笑)

追伸 先生のブログ 私のブログでリンク、または紹介させていただいて宜しいでしょうか?
急ぎませんけれど。。お願いします。m^^m

投稿: minorun | 2008年10月20日 (月) 21時18分

minorunさま
コメントありがとうございます。奥様、大変ですね。みんなが希望を持って闘病できるような、そんな番組がほしいですね。
ブログも読ませていただきました。リンクしていただけるのは大変光栄です。ありがとうございます。これからもどうぞよろしくお願いします。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2008年10月23日 (木) 00時47分

はじめまして。
私も同じ番組を観ていました。
そして、今月はじめに肺がん告知された母も…。
「発見された時は手遅れ」の発言に
母は呆然としていました。
発言をした方ががんの経験者だからこそ
発言に重みがあり、真実味を持ってしまう…。
その前の日には同局で「がんに負けない」といった
番組を放送していて励みになっていただけあって
ショックでした。
テレビが信用できなくなりますよね。

投稿: リョ~リョ | 2008年10月25日 (土) 14時29分

リョーリョーさま
そうだったのですか。お母様、心配ですね。その番組もコメントした人も、良心的にな人だと思うから。だから、余計に厄介なのです。このブログ、リョーリョー様のコメントも一緒に、番組宛のファックスでもしようかなあ、と考えています。コメントありがとうございました。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2008年10月26日 (日) 01時03分

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