おっぱいを創る(2)逆の場合
Bさんは、出産の経験がある。が、どうにも自分が女性であることに耐えられなくなって、男性への変更を強く望むようになった。で、男性ホルモンを投与する。それによって月経は止まる。
性同一性障害の人にとって、どちらの場合も月経は大きなネックになる。自分が男だけれど、女の体である場合、月経があることがてもつらい。どうしてこんなものがあるのか、とのろいたくなる、という。自分は女だけれど、男の体である場合、月経がないことがつらい。人並みの体になって、子どもも生みたいのに、と嘆く。
Bさんは、ホルモンの投与によって筋肉隆々の男っぽい体になった。そこで、おっぱいがあることがいやだと。授乳をしたバストは、大きくて、垂れ下がっている。
バストの手術を受けるのも、お金がかかる。だから、懸命に働いてお金をためた。その手術、とても大きいオッパイなので、傷がわからないように、たとえば腋下からの傷で乳腺だけを取るというのは、難しい。皮膚も余ってしまう。だから、胸を一文字にばっさりと切り取る。
乳首は自分の乳首を小さくして移植をした。小っちゃい男性の乳首が出来上がった。しかし、問題は乳輪だ。何もないところに乳首だけがポツンとある。
私は、足の付け根から皮膚を取ってそれを移植するのだと思っていた。乳がんの手術後の乳房再建術の時などにそうすると知っていたから。
でも、彼の場合はそうではなく、乳輪はタットゥー、刺青でするという。やがて、薄い茶色のきれいな色の乳輪が出来た。男性の乳首そのものになった。私は、刺青で作るというのに感動した。美容外科の技術というのは、本当に進歩するものなのだ。
そのうち、胸の傷もほとんど目だたなくなって、裸になると筋肉が美しい、男性の体になった。でも、彼の場合はまだまだこれからの道のりは険しい。頑張ってお金をためて、一つずつクリアしていくつもりでいる。
ところで、彼は母子家庭で子どもを育てているのだが、いつの間にか、父子家庭となっているので、子どもの学校の先生が家庭訪問に来るとびっくりすると笑っていた。

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コメント
河野先生、こんにちは。相変わらず全国を飛び回っておられるようですね。
私は自分が病気をして、健常者だとわからない部分が
見えたところもあります。
そして、開腹手術の傷ってすごく大きいんですよね。
最初の傷は、本当に先生に綺麗にして頂き、感謝しました。でも、次の傷は、どんなに話し合っても結果はでず、今は大きな富士山が残っています。
この男性?のように傷が見えなくなる方法があったの
でしょうか?出来たらそれを選択して欲しかったですが、時間とはすごいもので、今は大して気にならなくなりました。無い自分を忘れてしまったくらいに・・。
走って回られて怪我をされませんように・・・。
投稿: どらみ | 2008年9月 1日 (月) 16時32分