« カソリックの学校で話すということ。 | トップページ | またまたステキなゲストが来てくださいます。 »

診察室から。労働の評価について。

Aさんは、母子家庭で三人の子を育てている頑張りやさんだ。子どもたちは、思春期を通り過ぎたが、なかなか大変だった。ようやく嵐が過ぎ去って、何とか落ち着いた生活を取り戻しつつある。

 その彼女の仕事は、月から金まで、朝から夜までフルタイムの激しい仕事だ。体を使って、階段を上ったり降りたり。その彼女は、でも、パート職だという。これだけフルに働いても、正社員にはしていただけない。だから、ボーナスもない。聞けば、社員は店長一人だけ。あとはみんなパートだと。さらに驚いたのは、その店長は、何と、26店舗の店長なのだそうだ。

 彼女たちの激しい労働も心配だが、その正社員の人は大丈夫なのだろうか。過労死しないか、これも心配だ。この会社は急成長している。社長の家は、まるで御殿だ。きっと、社長も血のにじむような思いで仕事を作り上げてこられたのだろうが。

 Bさん。ある組織の管理栄養士の仕事をしている。でも、していることは、調理師と変わらない。人がやめて補充がなく、少ない人数のままで仕事はこなさなければならない。これはひどい、と思ったのは、泊まりの日。朝4時から、一人で130人分の朝食と、16個のお弁当を作らなければならないのだと。一人で!家族の食事を作るだけでも、多くの人は四苦八苦するのに。130人分。どうやって作るのか。パンと牛乳を配ればいいというものでなく、ちゃんとした朝ごはんだと。

 Bさんは激しい労働とストレスから、すっかり体調をくずしている。気の毒だけれど、体調を取り戻すためには、仕事をやめるしかないだろう。その組織は人をもっと入れる気がないらしいから。しかし、せっかく難関を突破して就職したので、できることならやめたくはないのだけれど。

 Cさん。ハローワークを通して就職したのに、仕事をしてみると、ぜんぜん待遇が違った。パソコンにひとすら向き合っての仕事だか、出来高払いとされ、一日中働いても、何と給料が月に2~3万円にしかならない、と。それはひどい。生活もしていけないし。大体、約束が違うのだから。黙っていてはいけないのじゃないの?言っていくところがあるのでは?彼女は結局そこをやめたが、その前に何箇所かにその実態を訴えて、少しだけお金を取り戻した、と、晴れやかな顔で報告に来た。お金は少々でも、泣き寝入りをしないで、どうどうと戦ったことの満足感だったと思う。よくやったねえ、と私は拍手と握手をした。

 この社会はやっぱりおかしい。ワーキングプア、働いても働いても生活は楽にならず、一部の人だけが富みを得ていく。労働者を守るべき組合は、やっとパート職にも目を向け始めたと聞く。働く人の労働が正しく評価され、せめて文化的な生活ができるような、そんな社会であらねばならないはず。でも、この社会は、そこからどんどんと遠ざかっているような気がする。

広島ブログ

|

« カソリックの学校で話すということ。 | トップページ | またまたステキなゲストが来てくださいます。 »

コメント

昨晩TVで、派遣で働く人に「正社員になりたければ資格を取るなどの努力をすればいいじゃないか」と言っている人がいました。
生活していくのがぎりぎりの人にとっては、それはひどい言葉だと思いました。

投稿: 六郎 | 2008年7月19日 (土) 08時35分

河野先生
 いつか必ず巻き返す。そういう強い意志を一人ひとりが持ちましょう。一部の富裕層が多くの貧困層をいじめ抜く社会を必ず変革していきましょう。障害者や高齢者が隅っこに押しやられ捨てられる社会を阻止しましょう。再び戦場に送られたり戦禍に見舞われるような社会に進んでいくことを阻止しましょう。今はその手段が明確ではないけれど、一人ひとりの力を結集し、うねりを作りたい。必ず巻き返す。いつかきっと。私は毎日つぶやいています。

投稿: おとぎぞうし竹本 | 2008年7月19日 (土) 10時10分

はじめまして。いつも拝見させていただいています。
これから日本はどの方向に向かっていくのか、行こうといているのか不安です。
子供たちが大人になった時、どんな社会になっているのか・・・
目先のことばかりではなく、もっと先を見越して欲しいものです・・・

投稿: chama | 2008年7月19日 (土) 11時27分

日本という国は、戦争のころからなんら変わっていないんじゃない?
次期総裁最有力とされる、麻生さんマイクを握って最初の言葉が「下々の皆さん」というお粗末さの意識です。

絞れるところをとことん絞れ。
生かさぬように殺さぬように。
多くの女性がないています

投稿: とまと | 2008年7月20日 (日) 10時46分

いまの実態は全く蟹工船です。

バカ売れしてますよね。
まさかいま復活するとは思いませんでしたが、規制緩和を進めればこうなることはわかりきってました。

しかもこの上に消費税増税などと戯けたことがもくろまれていますね。

しかしあまりにひどいことをした支配者はかならず滅びます。もうひと辛抱です。

投稿: さとうしゅういち | 2008年7月21日 (月) 23時44分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/205567/41897512

この記事へのトラックバック一覧です: 診察室から。労働の評価について。:

« カソリックの学校で話すということ。 | トップページ | またまたステキなゲストが来てくださいます。 »