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老人医療費は増えていません。

日本の医療費は、決して多くはないということをすでに述べました。日本の対GDP(国内総生産)医療費は、OECD先進7か国(平均10.2%)の中で、最下位です。日本の医療費が先進7か国並に確保されるためには、あと9兆円不足しているのです。これ以上の医療崩壊を食い止めるためには、国はこれだけの財源を投入すべきなのです。

 そもそも、先進国は、国民の命を守るために、医療費がかさむのが当然だと考えなければなりません。

 それなのに、日本は、これまで医療費などの社会保障費を削減し続けて来ました。それは、2002年の「聖域なき構造改革」による社会保障費抑制策によります。これによって、2002年度は3000億円が、その後は毎年2200億円が削減され続けています。たとえば、介護報酬引き下げ(2003.2005.2006年度)診療報酬引き下げ、雇用保険の国庫負担削減、さらに生活保護の老齢加算の廃止、母子加算の廃止、年金の給付の引き下げなどなど。この影に、どれだけの弱い立場の人たちの生活が圧迫され続けたことでしょうか。

 それにより、日本の医療費は1999年から増えていません。(厚生労働白書図表1-2-2国民医療費、老人医療費、高齢化率の推移より)さらに、高齢化率は増え続けていても、老人医療費はまったく増えていません。増えていないのですよ。増えていないのに、ではこれまでの老人医療制度ではなぜいけないのでしょうか。なぜ、ここで75歳以上をきりはなさなければいけないのでしょうか。

 これは、政府与党の人たちが、お年寄りの医療を守るためにこの制度を作ったのだと、白々しく言うのと違って、お年寄りを守るものでなく、「国民保険」を守るための制度だというのが正しいでしょう。

 毎日新聞が、6月17日から、「医療クライシスー脱医療費亡国論」というシリーズを掲載しています。

これによると、医療経済学の専門家が参加しての厚生労働省の「医療費の将来見通しに関する検討会」の場で、委員が「医療費増に高齢化の影響はほとんどない」「医療費は野放図には伸びない」と口々に言ったと書かれています。医療費の伸びは「高齢化」のせいではないのです。

 厚労省の担当課長すら、「医療費の自然増の最大の要因は高価な薬や機器、治療手段が開発される医療の進歩であることは明白だ」と明言したとすら書かれています。

 アメリカの医療経済学者のゲッツェンの、「医療費の増加率は、国民所得の増加率で決まる」との分折、研究をも紹介されたと。これを紹介した慶応大学の権丈教授は、「医療費の額は結局、社会のパイの中からどれだけ使うかという政治的な判断、つまり医療への政治的スタンスで決まってくる」と解説したと。

 要するに政府の姿勢しだいだということですよね。そして、結局はどんな政府を私たちがえらぶのか、ということになるのです。国交省の道路を作ることを優先させるか、国民の医療や生活を優先させるか、どっちの政府を選ぶのか、ということでしょう。

 私たちは、政府、厚労省の言うことにだまされてはいけないと思います。こういう硬い文章は、きっと読む人を疲れさせるし、いやになって読むのをやめる人も沢山いるだろうと想像できますが、でも、大切なことなのだから、つづけようと思います。明日は、終末期の医療についても話しますね。

広島ブログ

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コメント

先生、お久しぶりです。
今回のお話と全く関係のないコメントなのですが…予定日より一日遅れて6月21日に3552グラムの男の子を出産しました。
昨日、無事に退院してきました。先生には早くご報告したくて…
広島に帰って落ち着いたらまたクリニックにチビちゃん連れて行きます!

投稿: いおママ | 2008年6月26日 (木) 17時41分

 私は小さい頃から社会科が苦手です(お父様にも申し訳ありません…)。だから、ついつい政治や経済の問題からは目をそらしがちなのですが、先生のブログはわかりやすく書いていただけるので助かります。
 しっかり理解できているかと聞かれると辛いところですが(汗)、無関心でいるよりはましというレベルからこれからも勉強させていただきますm(__)m我ながら情けない話ですが、よろしくお願いいたします。

投稿: うさこ | 2008年6月26日 (木) 21時47分

前の日記とあわせてコメントいたします。
かかりつけ医制度・・うちは納得いかんのです。何でか?!やっぱり医療の上限・・これです。うちのばあちゃんの検査&診断にどんくらいお金かかるんか?!知りません。じゃけども・・アリセプトって高いお薬じゃと聞きました。検査もMRIやらいろいろします。月¥6000でどんぐらい診てもらえるんか?!わからんのです。
ホンマ・・・今まで払ってきた金額しかわからんのがホンマです。たとえば・・・検査あった時は¥5000以上かかります。これは診断確定して変化がないか?!の検査です。もし・・未診断の人が最初から検査してもろーーたら(他の病も調べるんで)?!
¥6000で済むんでしょうか?!アルツハイマーはじめメンタルな病についてはどの開業医さんもよう知っとってじゃとは思えません。主人の父は脊髄小脳変性症でした。昔じゃけぇ病名わかるのに苦労したって聞きました。じゃけど・・・あれはどのお医者さんでも診断つくんでしょうか?!うちはかかりつけ医さんってです。じゃけぇ何でも相談できます。でもでも・・・・かかりつけ医さんも得意な分野と苦手な分野あってんです。医者さんも神様じゃないんですもん。うちの言うことは論理的じゃないと思います。
でも聞いてもわからん制度はおかしいです。

ほいで・・・
わからん制度がもう一つ
これは先生も書いていらっしゃるかかりつけ医の紹介状がないと・・・
に近いんですが・・総合病院に行ってとられる¥1050。これです。地域の開業医さんの紹介状ないと払うようなんじゃと言うことです。これも不思議なんじゃけど・・・お盆とかで他に開いてなくって救急で開業医さんおってんないのに・・なんで?!って。
特にうちの地域は小児科さんの救急外来ない地域ゆえ常に疑問です。なんかわからんコト多くって困ります。
先生がこうして紹介してくださるからうちらの知識も増えるんで助かってます。戦う女河野先生(どこやらのブログより)頑張ってくださいね(笑)

投稿: はるめ | 2008年6月26日 (木) 22時14分

政治家や行政は、いつも自分たちの都合の良い数字を使いますね。
また、都合の良い数字を出すためにいろいろと策もこうじていますね。

消費税を上げて、私利私欲のための収入を増やすために、
福祉を切り捨て、国民を苦しめ、
そして苦しみにあえぐ国民を救うためには、
消費税を上げる必要を言っているように思います。

「命がほしければ、金をだせ」といっているように思います。

いまの既存の政党には、どれも希望が持てません。
特定の団体のために存在する政党には、国民は区別されているように思います。

2大政党は最良でないとも思います。

選挙で、付き合いや所属団体のためとか雰囲気で投票したり、選挙に興味を示さなかったから、今の現状があるのでしょうね。

選挙は、民主主義の方法ではなく、自分や家族や仲間の命や財産を守るために行なわれていると、考える必要があると思います。

投稿: やんじ | 2008年6月27日 (金) 17時48分

現場の話をストレートに語ってくださるから、このブログに伺っています。
結局、社会保障費削減が先立っていては、どんな仕組みを作っても弱いものがより苦しくなるだけなのですね。

先日、県・市民税の納付書が送られてきました。税率は昨年より高くなっています。その分所得税率が低くなっているから、負担は変わらないと当局は言っていますが、所得が少ない世帯の負担は増えています。それも所得税の税率が軽減されるのは19年度だけとか。
固定資産税率はどうでしょうか。地方では家や土地があっても所得のない世帯は多いのです。ないところからでも税金を集めるシステムが進んでいる気がします。

今日も分からない年金を調べるシステムをつくるのにあと○億円かかる・・・というニュース。それも申請があった人のみ。システム開発にばかりお金が流れている気がします。

最近「ザイバク」を知りました。
千葉県鎌ヶ谷市の大学生が、市のお財布事情を知ろうとはじめたものだそうです。
ネット検索するとすぐ出てきます。
私たちも、なにか出来そうな気がしてきます。

投稿: ペア | 2008年6月27日 (金) 22時53分

ときどき、ブログを見ていただいて、ありがとうございます。。。ワタシのブログは「お得&素敵情報ネタ」で行くのだ!と決めているので、心の中のギモンとか怒りとかを文章で書いたりはしません。でも、ドラマよりニュースがスキで、雑誌より新聞がスキで、(でも、それらもスキ・・・)そんな自分が「世間から浮いているのかなぁ」と寂しく思うとき、河野先生のブログを読んで、「よっしゃ!」と思ったりしています。後期高齢者の問題~子供の性教育~キャラメルアイス~温泉~編み物~・・・広すぎます!

・・なんて♪ワタシもそんな、幅の広い女性になりないなぁと思えるお手本のような先生です。

・・・私事ですが、今度、広島県の有料老人ホーム適正化委員会の委員に(なりゆきで)なりました。。。「おひとりさまの老後」を読めばいいやぁ・・と思っていたら、「お金持ち前提」みたいで、ちょっと違和感があります。。。

自分の頭で、自分の言葉で意見が言えるように、先生のブログとか、他は何がいいかなぁ・・・と、悩み中ですが、「遠い将来のこと」と他人事のように今まで考えていたので、ちょっとしゃきっとして、自分の頭で考えてみたいと思います。

(えっと、自分の気持ちを伝えたいだけだったので、できれば公開を希望しないのですが・・お任せします)

ありがとうございました。

投稿: アキ子 | 2008年6月27日 (金) 23時08分

いおママさま
ひゃー、おっきな子が生まれたんじゃねえ。おめでとう!!二人になって大変でしょうけど、どうぞ、疲れ果てないように。かえってきたら、早くあわせてくださいね。お兄ちゃんにも新入りにも。待ってます。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2008年6月29日 (日) 03時05分

うさこさま
コメントありがとうございます。このようなコメントに、ものすごく励まされます。このブログを書くのに、調べ物など、すごくエネルギーを使うので。さらさらと書いているようでも、結構大変なのですね。また、頑張ります。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2008年6月29日 (日) 03時08分

はるめさま
そうですね。今、わからないことがいっぱいあります。医療の現場にいる私ですら、なんで?と思うことはいっぱいですから。紹介状の件、実はね、持っていったら、そこの受診料は安くなるこのシステム、これもやたら大きい病院に患者さんが来ないようにするシステムを厚労省が作っているのですね。でもね、紹介状を書いてもらうのに、お金がかかるのですよ。だから、患者さんにしてみれば、紹介状を書いてもらうのにお金を出して、大きい病院の受診療を安くするか、紹介状なしで、受診料を高く払うか、あまり変わらないのですね。かかりつけ医の制度、6000円というの、今は、これはドクターと契約しないほうがいいと思います。またね。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2008年6月29日 (日) 03時19分

やんじさま
ねえ、私はこんなことを選挙の時に一生懸命しゃべって。でも、落ちてしまって。その上、どんどんこの医療の、命の現場は悪くなるばかりで。あらためて悔しいと思っています。でも国民も次の選挙では、なんらかの判断をするのではないかと期待しているのですが。見守りましょう。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2008年6月29日 (日) 03時22分

べあさま
いつもありがとうございます。ザイバク、検索してみましたる面白いですね。このように、今は市民、国民がしっかり目を開いて、しらなければならない、そして声をあげなければ、と思っています。本当に馬鹿にされているんですもの。情報、ありがとうございます。これからももっと頑張って書きますので、よろしくお願いします。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2008年6月29日 (日) 03時29分

アキ子さま
いやあ、老人ホーム適正化委員なんて、すごい!!そんなことも知りたいので、ぜひ情報を流してください。ブログ、これからも楽しみに読ませていただきます!コメントありがとうございます。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2008年6月29日 (日) 03時44分

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