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家庭での性教育(8)あふれる性情報をどうする?

Q.8.子どもたちの雑誌や漫画の性描写に驚いています。氾濫する性情報に触れさせたくありません。

A.8.  そうですね。子どもたちをめぐる性情報は、私たちが若かったころとは比べものになりません。

  私たち、性教育にかかわっている全国の産婦人科医でネットワークをつくっています。年に何回か集まって勉強会や情報交換をしています。

ある会合で、若い男性の勤務医が一枚だけスライドを見てほしいと言いました。「僕の小学校一年生の娘が読んでいた雑誌です」と。雑誌を見開きにしてデジカメで撮影したものです。

そこには、「小学校そつぎょうまでにくわえたおちんちんが10本」と書かれていました。さすがの私たちも「うーん」とうなりました。誰かが、おうい、それを持って今から国会に行ってこい、議員たちに見てもらえ、と言いました。

そのような情報を垂れ流しているのは大人たちです。垂れ流しておいて、そのような情報に触れるな、というのは無理ですね。

  そのように情報が氾濫しているからこそ、私はまともな情報を真正面から与えるべきだと思うのです。そうして情報を見分ける力を身につけてもらうのです。

  今、性教育を規制したいという勢力があります。性教育をまるでセックスの仕方を教えることと誤解して、または意図的にゆがめてしまって、性教育をすることで若者たちをそそのかす、と。

  いえ、若者たちはすでに氾濫する情報によって、しっかりとそそのかされています。それらに対抗するのは、たとえば体を知ること、性交は生殖である、妊娠する行為なのだということ、そして避妊のこと、性感染症のことなどの情報をしっかり与えるべきなのです。

  巷にあふれる情報に接していながら、若者たちは驚くほど無知です。だって、巷にあふれる情報には、そんなことはまったく出て来ないのですから。無知だからこそ、行動を取れる、知れば知るほど行動は慎重になる、私はそう確信しています。

 話しづらければ、本を読ませてあげてください。若者向けの本はたくさんあります。それらをそっと置いておいてあげるだけでも、十分に大人からのメッセージになると思います。

広島ブログ

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コメント

「家庭での性教育」シリーズ・・・我が家は、卒業してしまっているので、思わず息子夫婦に読んでもらいました。
若い人たちの子育てに、とても参考になることばかりで・・・有難うございました。
女性学の講座と同じようなことが・・・性教育の世界でも起こっているということも初めて知りました。
私も、一度、是非、お話を聴かせていただきたいと思っている一人です。
それから、腕を骨折されたお話にも・・・その後の行動力にビックリです。
心身ともに強いパワーをお持ちなのですね。
ファンの宝なので・・・あまりムリをされないように。
それから、もう一つお願いがあるのですが・・・
「キャラメルアイス」の記事に触発されて、私も作ってみました。
私のブログにアップしようと思うのですが・・・「河野先生のブログから」と紹介させていただいてもよろしいでしょうか?
「白熊アイス」のお話も・・・毎日、訪問させていただいていたら・・・と後悔中です。
今日、そごうまで行ったので、知っていたら・・・私も、フツーのアイスに挑戦できたのに。
残念です。


投稿: さくらこ | 2008年6月 5日 (木) 22時56分

 悶々と過ごした!?中学生時代。フォークダンスで触れた異性の手の感触にドキドキしたものです。大切にしたいものだと思える異性をどう教育の中で教えるってことは時代が変わっても難しいのですかね。ネットや雑誌の影響か、最近の40、50代の性的事件の多さに、彼らの中学生の頃の姓の知識が乏しかった反動のようにも感じます。

投稿: うるとらはるく | 2008年6月 6日 (金) 14時41分

おそらく・・・・小学生の女の子を対象として書かれた雑誌(肝心な体の部分はぼやかしている)の内容及び表現には驚かされます。売る側としては立ち読み防止に袋に入れたり紐かけしたりが精一杯。誰が悪いんでしょう?!σ(・・*)は子どもたちだけが悪いとも思えないんです。おもしろおかしくTVで扱い好奇心をあおる・・・そんな風潮に問題があるのではないでしょうか?!規制すればするほどこういう問題は闇にもぐるって言う人もあります。
また、幼い子がかなり過激な表現の雑誌を読もうとしたり親に買いにいかされたりなぞもあります。
”この子はフツーにおうちでこういう雑誌読んでるのね”と感じることもしばしばです。親の再教育こそが必要なのかもしれませんね

投稿: はるめ | 2008年6月 6日 (金) 21時05分

さくらこさま
コメント、ありがとうございます。女性学に対してと、性教育のバッシングとは、まったく同じ人たちによりなされているものです。バックラッシュですね。それと、大変なのは、教育に対しても。あたらしい歴史教科書を作る会などですね。すべて一体のものなのです。くじけないで、とにかく頑張って続けること。そう思っています。ただ、そのような攻撃をする人だけでなく、その人たちにたいする遠慮で、私たちの行動を拒否する人たち。これがとてもいやですね。「キャラメルアイス」おいしいですね。どうぞ、書いていただいても結構ですよ。私のブログから、*brownieさんのところに行くでしょうから。これからもよろしくお願いします。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2008年6月 7日 (土) 21時24分

うるとらはるくさま
ご無沙汰しています。昔も今も、若者をめぐる悩みは同じだと思います。ただ、それを陰湿なものとして封印しようとするのがとてもいやなのですね。大人の性犯罪、特に子どもに対しての犯罪はやはり若い時代に押し込められてしまった結果だと思います。私は、すべての若者たちに、いい性が実行できる大人になってほしいとそう思っています。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2008年6月 7日 (土) 21時31分

はるめさま
私は、そのような情報を垂れ流しにする大人の問題だと。そして、垂れ流しておいて、そのような情報に触れないようにさせようとするのは無理だと思います。それよりも、情報の選択する力を身につけさせたいのですね。私は、少しでも多くの若者たちに私の講演を聞いてもらいたいと、本当にそう心から願いながら懸命に語っています。いつもありがとうございます。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2008年6月 7日 (土) 21時35分

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