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10年前の赤ちゃんが。

 昨日のお昼時間、一組の父子がクリニックにやって来た。はるばるアメリカから。

 男の子は10才。彼は、私にハグの挨拶をしてくれた。勉強が好きで成績もいいと言った。スポーツも好き。今アメリカンフットボールとテコンドーをしていると。

 彼にはいま6才の弟がいる。その弟と両親と彼、四人の大変に幸せそうな写真も沢山持ってきてくれた。クリスマスの写真では、おっきなツリーに沢山のプレゼント。兄弟はよく似ている。不思議なことにまるで本当の兄弟のように。

 彼は、10年前、私のところで母親の妊婦健診をし、出生し、そして私のお世話でアメリカに養子として引き取られて行った子である。この子が10才になったら、広島に連れてきますと、親が約束をし、そしてそのとおり10才になったので、連れて来ました、と。

 6才の弟は、彼の養子縁組の4年後にやはり養子として引き取っていただいた。二人兄弟として、とても幸せに育ててもらっている。

 彼の母親は、高校時代に同級生の男性との間で妊娠。高校を卒業して、進学した後の出産である。相手の男性とその家族、本人たちと親同士、すったもんだの末に、結局は、産んでも育てられない出産をせざるを得なくなってしまった。

 生まれてくる赤ちゃんをどうするか、18才の彼女がさんざん考え、悩んだ末の結論だった。

 それから10年。彼は10才。数年前、やはり私に会いにアメリカから来てくれた、日本人とアメリカ人のカップルのところに引き取られていた少女は、「ピアスをするかどうかは、10歳になって、自分で決めなさい。それまではダメ」といい聞かされていた。今回の彼は、10才をキリに、自分の出生にお世話になった人のところへの挨拶周りをするために日本にやってきたのだった。

 彼には、廿日市のけんだま協会のオフィシャルな剣玉をプレゼントした。日本語はわからないけれど、絵がある。それをみて、楽しんでほしい。弟と一緒に。

 最良の選択か否かはわからないけれど、一つの命がアメリカですくすくと育っているのも事実である。

広島ブログ

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コメント

河野先生、お久しぶりです。去年何度か選挙事務所へ行った者です。その節はお世話になりました。
先生の日記に「けん玉」が出てきたので反応してしまいました。
私はけん玉協会の指導員をしています。
広島市内で保育園や児童館などでこどもたちにけん玉を教えています。
アメリカから来た彼にけん玉をプレゼントしてくださってありがとうございました
できれば彼と一緒にけん玉したかったです今度また機会があればお呼びくださいませ。
勝手ながら、私のブログに紹介させていただきますね。

投稿: | 2008年6月15日 (日) 00時42分

河野さんの人間性を彷彿とさせる文章です。一人の少年にとって運命を変える、それも彼にとっては、素晴らしいことなのに、河野さんは淡々と描いておられます。
そこが河野さんの素晴らしいところです。人間の格が違うと思いました。きっと感激されたと思うのですが、自分がしたことを当然のように考えて書いておられることに、私の方が感動しました。
「10歳になったら会いに来る」という約束をきちんと
守った父親の行動もうれしいです。ケンダマのお土産もいいですね。弟のケンダマを楽しむ姿が想像できます。朝早く目覚めて、このブログを読み、感動し、何だか得をした気分です。

投稿: eastwaterY | 2008年6月15日 (日) 04時44分

良かったですね。日本でも産みたくても妊娠や出産できない人が沢山います。もっと社会に養子縁組が受け入れられたらな~と思います。2人目が授からなかった私は夫がよければ、年子で養子をもらいたかったですね。でも夫の返事はノーでした^^他人は育てられないと^^、、、ま~そうでしょうね^^一般的に^^

投稿: zzz | 2008年6月15日 (日) 19時35分

姉さま
ブログ、読ませていただきました。ご紹介、ありがとうございました。知って入れば、、、と、少しザンネンです。けん玉はあげたのですが、あの華麗な演技を見せてあげたいとの想いはあったので。また、機会があればお願いします。ありがとうございました。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2008年6月15日 (日) 22時47分

eastwaterYさま
恐縮です。決してそのように言っていただく者ではありませんので、縮こまっています。子どもたちが幸せになってくれている姿に接するのは、やはりうれしいですね。一度、ゆっりとお会いしたいです。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2008年6月15日 (日) 22時52分

zzzさま
そうですね。私の場では、養子縁組の行き先は国内と海外と半々なのですが。日本でも、大切に育ててもらっている子は沢山います。ただ、アメリカなどは、こどもの意味が少し違うかな?日本では、血を分けた子という概念があって、アメリカでは、子どもは社会の子という感じだと思います。だから、実の子と養子とが一つの家庭の中で混ざり合っていたりします。コメント、ありがとうございました。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2008年6月15日 (日) 22時59分

時々育児の合間に拝読しております。

>出生のときにお世話になった人へのあいさつ回りをしに日本に来た。
きっと、アメリカで両親や兄弟、社会からたくさんの愛情を受け取って自分の存在している喜びを感じているのでしょうね。

先生に妊娠したての時、診察していただいた胎児も1歳4ヶ月になりました。
私の姉妹は相変わらず自分の存在価値を見出せずにいるようですが、私は我が子にたっぷりの愛情を注ぎ育てているところです。(つもりかもしれませんが)

先生のご活躍を応援しています。

投稿: ぷりもこ | 2008年6月20日 (金) 01時32分

ぷりもこさま
コメントありがとうございます。
どなたさまでしょう?
今度いらっした時には、どうぞ、教えてくださいね。この世に生を受けた、すべての命がどうぞ幸せになりますように、と願っています。これからも時々は覗いてくださいね。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2008年6月22日 (日) 14時26分

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