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当番医で情けなかった話。

昨日の当番医は参った。次々と急患があって、対応に追われた。当院で、点滴したりお薬出したり、対応できることはする。でも、午前中に一人、とても強い腹痛を訴える人は、腎臓か尿管、いわゆる尿路結石だ。

 このようなときには医師会から指示が出ている。「二次救急患者を紹介される場合は、まず病院群輪番制当番病院および舟入病院(小児の場合)にお問い合わせください」と。そして、当番病院の一覧表を頂いている。

 その票では内科が広島市民病院になっている。で、連絡をして、受け入れていただいた。

 午後、これもひどい腹痛の方が救急車で運ばれて来た。ほかの内科医院から「卵巣のう腫の茎捻転に間違いなさそうなので」と。患者さんは、歩くこともできないで、うんうんと苦しんでいる。ところが、痛いところが違う。右の肋骨の下をさわると飛び上がるほど痛がる。婦人科の領域には痛みはない。念のための超音波エコーでも、卵巣の腫れもない。その代わり、右の肋骨の下、痛いところに塊がある。さらに念のため、内診をし、膣式の超音波もする。卵巣のはれはまったくない。血液の検査も。

 そして、胆石だと診断をした。どうして、内科で卵巣のう腫と考えられたのか、わからない。

 でも、どこか受け入れを。ひどく痛がる患者さんに、とりあえずの痛み止めをして、病院に連絡をする。

 まず、内科の当番病院、市民病院に。そしたら、今、手のかかる患者さんを診ているので、だめだと断られてしまった。一人診ていたら、次はだめだと、そんな体制しか取れていないのか、と、びっくりした。では、外科に頼んでもらえませんか。胆石に間違いないので、と言ったら、またびっくり。今、うちの外科は胆石の手術はしていません、胆石の人はほかに行ってもらっています、と。それも知らなかった。びっくりした。で、どこかの外科を探してください、と。

 外科の当番病院は、日赤だ。で、連絡をした。そしたら、外科の当直医が、そんな急性のときは、外科ではなく、内科です。どこか内科に頼んでください、と断られてしまった。内科では外科へといわれ、外科では内科へといわれる。

 仕方がないので、消化器の当番病院となっているマツダ病院に連絡した。そしたら、今日は、そんな処置はできません。とても不機嫌に、けんもほろろに断られてしまった。当番病院なのに、今日はだめです、と。

 こうなると、なんか、こちらが悪いことをしているような気がしてきた。こっちだって、好きで頼んでいるわけではないし。でも、そもそも胆石の患者さんを婦人科に送ってくる内科のドクターも問題なのだし。

 どうしよう。で、病院群の整形外科の当番病院になってといるシムラ外科に連絡した。整形だけど、夜は消化器と外科が当番となっている。そこにはたくさんの内科医も外科医もいるし、何とかしてもらえないだろうか、と。そしたら、やっぱり整形外科医しかいません、と断られた。ますますどうしよう。で、やはり夜外科の当番病院になっている原田病院に連絡した。無理かも知れないと思いながら。そしたら、やっぱり、内科をお探しください、といわれてしまった。

 もう、こちらもパニックになりそうだ。で、当番病院はあきらめて、同時に医師会から頂いている「官公立病院日直表」を見る。県立広島病院の当直が一般外科と消化器内科となっている。で、すがるような思いで、連絡をした。そしたら、当直のドクターが、呼吸器内科だといわれた。「医師会から頂いているのは、消化器内科となっているのですがというと、「ご不幸があって代わりました。」といわれる。それでも、一般外科も当直になっているしで、外科に頼んでもらえませんか、と食い下がった。そしたら、「消化器内科はいるんですが、今、吐血の処置をしていて、手が取れません。外科もたぶんだめでしょう。まあ、聞いてみましょうか。たぶんだめですよ、10分くらい待ってください、と。」そのとき、私は、「すみません。お名前をお聞かせいただけませんか。」とたずねたのだ。だって、10分待っている間にどこかほかも探そうと思ったから。たぶんだめなのを漫然と待つよりは。もしかしたら、キャンセルの電話をいれなければならないかもしれないので。」そしたら、ムカッとされて「さっき言ったでしょ。呼吸器内科の〇〇です。」と。本当に、私、悪者そのものだ。ぺこぺこして、一体、何をしているのか、と情けなくなった。

 そこで、また官公立病院日直表を見る。そこに、広島記念病院が内科となっている。7件目の連絡をした。そしたら、ありがたいことに、そこの当直の内科のドクターが受け入れてくださったのだ。やっと、やっと。「ありがとうございます。先生、先生で7軒目なのです。感謝します。」と頭を下げた。

県病院の〇〇ドクターには、外科は結構ですとの連絡を入れて、すぐに救急車を呼んで転送した。記念の先生からは、ほどなく、連絡を頂いた。胆のうにも、腎臓にも大きな石があります、と。

 私は、疲れ果てた。次々と連絡を入れながら、一体どうなるのか、と。そして、まるで罵倒されるかのようなドクターの対応も、ほんっとに傷ついた。勤務医が忙しくて大変だというのはわかるけれど、当番医の私はどうすれば良かったのだろうか。一日経った今もまだ私は情けない。

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コメント

はじめまして。

お疲れ様でした。

ドクターでも大変なのですね。救急隊員でしたらなおさら大変なのかも・・・

急病の時、ドクターにしか頼れないし・・・

投稿: 稲穂 | 2008年5月12日 (月) 16時33分

先生と同じおもいを、救急車の隊員の人達は、毎日しているのでしょうね。
各議員は当然で、医師会と自治体が、真剣にシステムを考えなくてはいけないと思います。
インフラ整備のためだけの税金より、医療や福祉に対しての目的税は、必要だと思います。
また、急患の受け入れ人数による、税の軽減や補助とかも必要なのかもしれませんね。
また、医師不足の解消には、医科大学以外でも医師になれる制度の充実も必要だと思います。

投稿: やんじ | 2008年5月12日 (月) 17時51分

 ホント、お医者様は大変ですね。当番医ですと急にどんな事情の人が現れるかわからないものですからね。私も体内にて石がゆっくりと確実に大きくなっているのかな!?

投稿: うるとらはるく | 2008年5月12日 (月) 18時08分

本当に、お疲れ様でございました。
泣きたいようなお気持ち、お察しします。

それにしても救急態勢、本当に不安を感じます。
貴重な体験を 教えてくださいまして、ありがとうございます。

投稿: 美代美 | 2008年5月12日 (月) 20時55分

初めまして、ウッチーと申します。
コメントは恐らく初めてかと思います。
以前、会社で総務を担当していたころ、時々労働災害が起こってしまいました。その時いつも感じていたのは、救急隊の方が受け入れ病院を探すのにとても苦労されていました。怪我をした社員のことを思うと早くと願うばかりですが・・・・医療関係の方々も本当に大変と思います。
河野先生のすっきりしない気持ちは察するには及ばないかもしれませんが、できることを精一杯することしかないと思います。お疲れ様でした。

投稿: ウッチー | 2008年5月12日 (月) 22時11分

河野先生、初めて書き込みさせていただきます。
7件も電話をかけられ、とても長く、おつらい時間でしたね。患者さんも、さぞや苦しかったことでしょう。断る病院側にも事情はあるのでしょうが、そもそも「卵巣のう腫の茎捻転に間違いなさそう」と送ってきた内科はどうなんだ!と思ったのは私だけでしょうか?

実は私は、その茎捻転の痛みを経験したことがあります。本当に苦しかったです。そして、卵巣のう腫の手術をしてもらったのが広島記念病院なので、記事の最後を読んで少しホッとしました。
河野先生のように痛みのわかる、お医者さまが少しでも増えるよう願うしかありません。

投稿: きぃやん | 2008年5月12日 (月) 22時12分

大変な一日だったのですね。
本当にお疲れ様でした。

長女はこの春から看護師になったばかりなのに
毎日「辞めたい」と言いながら出勤して行きます。
「患者様の気持ちがわかってない医者が多い」とも…
河野先生の今日のブログをコピーして
明日長女に見せてやろうと思います。
知識が少なくても一所懸命頑張ろうとしている新米ナースの
やる気を壊さない現場であってほしいと願っています。
長女にはもっと強くなってほしいと思いますが…sweat02

投稿: 音♪ | 2008年5月12日 (月) 22時29分

他のお医者さんの対応にびっくりしました。その人たちだけを責められないでしょうが、でも腹ただちさを感じます。先生、大変だったですね。早く気持ちが晴れますように。

投稿: ハムハムさくら | 2008年5月13日 (火) 00時23分

河野先生
大変な日曜日、ご苦労様でした。
奈良のたらいまわしの事件の時は、まだ他人事のように思っていましたが、明日はわが身と感じています。

それにしても、医学部の定員を増やそうという声が少ないのは何故なのでしょうか。

医学生には金がかかるから、国が定員を増やさないのだという説明をしかるべき人から受けたことがあります。

大学でも、留学生の受け入れで定員の確保を図っているようですが、まずは必要とされる人の育成に力を入れるのが、政治だと思いますが。

小手先のやりくりで解決できる状況ではないと思っています。

最近は理解でないことが多すぎます。

投稿: Apricot | 2008年5月13日 (火) 05時56分

お疲れ様でした。

この記事を読んでいて、とても怖くなりました。

頼まれたことを断るのにその対応ですか・・・
医師からの連絡ですらこんな有様なのだから、
全くの素人の私は、余計にパニックになりそうです。
「おおげさな」とか、軽くあしらわれそうな不安もあります。

もちろん、医療関係者や病院だけに「改善しろ」と責めるつもりはありません。
診てもらう立場からはどうすれば良いのか、という事も考えてみます。

投稿: かをり | 2008年5月13日 (火) 11時00分

稲穂さま
稲穂さまも介護タクシーでご病気の方に接していらっしゃるので、わかっていただけるとおもうのです。本当に今、医療は大変です。崩壊しつつあることを身をもって感じました。コメント、ありがとうございます。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2008年5月13日 (火) 14時58分

やんじさま
やはり、個人の問題だけでなく、システムとしてこの国は崩壊しつつあるということなのでしょう。本当にそれを実感しました。このブログのプリントしたものを医師会に提出するつもりなのですが、でも、何のてだてもないと思います。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2008年5月13日 (火) 15時01分

うるとらはるくさま
石、持ってるのですか?それとも、ジョーク?もし持っているのなら、しっかりと主治医とつながっていないと、いざというとき、大変です。それを実感しましたね。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2008年5月13日 (火) 15時03分

ウッチーさま
コメント、ありがとうございました。医療の崩壊は急激に進んでいると思います。これでも、まだ広島市は恵まれているといわれているのですが。本当にパニックになりそうでした。でも、受け入れていただいてよかったです。医師会が出している当番病院の指示はまったく役に立ちませんでしたが。これからもよろしくお願いします。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2008年5月13日 (火) 15時09分

美代美さま
本当に一人ひとり゜自分や家族の緊急の時はどこにどうすればいいのか、日ごろからつながっていたほうが言いと思います。防衛ですね。今回、思い知らされました。コメント、ありがとうございました。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2008年5月13日 (火) 15時11分

きぃやんさま
卵巣のう腫の茎捻転の経験が御ありなのですね。それは、本当に痛かったでしょう。私は、産婦人科だったら、しっかりつながりがありますので、どこかで何とかすることができるのですが。今回ばっかりは、本当に途方にくれました。コメント、ありがとうございました。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2008年5月13日 (火) 15時13分

音♪さま
いつも、ご両親の介護のこととか、おいしそうなお弁当のこととか、ブログを読ませていただいています。お嬢様、看護師になられたのですね。最初のころは、それはいろいろと大変だと思います。がんばって!!といいたいです。とにかく、二年、頑張れ。そしたら、後はなんとでもなります。自分の気にいるところに勤めることもできるようになるし。転職さえ可能になりますよ。と、伝えてください。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2008年5月13日 (火) 15時20分

ハムハムさくらさま
コメント、ありがとうございます。そうですね。勤務医の先生たちも大変だとよくわかっているのでずか。でも、本当に途方にくれて。患者さんがお気の毒で。個人を責めるのではなく、システムをなんとか作らなければならないと思います。こけからもよろしくお願いします。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2008年5月13日 (火) 15時24分

Apricotさま        
 そうですね。やっとここにきて、厚生労働省も石の数を増やさなければ、という方向になってきたと聞きます。これまでは、足りているとばかり言っていたのですが。それから、やはり救急のシステムをちゃんと作らなければならないと思います。単に、医師一人ひとりの責任にして任せたのではだめなのだと、今回痛感しました。コメント、ありがとうございました。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2008年5月13日 (火) 15時28分

かをりさま
コメント、ありがとうございました。国民一人ひとりとしては、日ごろから、いざというこ時にもちゃんと対応してくれる医師とつながっていることで防衛しましょう。だれかが何とかしてくれる、ではだめなのだと、痛感しましたよ。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2008年5月13日 (火) 15時32分

何年か前に義母が倒れて救急の見立てが悪く
地域の当番医耳鼻科に回した悲劇(喜劇?)から
安佐市民Pに転送したところ妻がカーテン越しに
救急隊員に安佐市民P当番医が『何でこんなの連れて来たんだ追い返せ』
と罵倒してたというのを思い出しました

地方の基幹病院と違い都市部の数多い病院地域に起こる全くもって悲喜劇でしかないです

公立総合病院は、24Hの緊急医療体制の必須を条例化するくらいでないと
(同時に勤務医の処遇改善も)

また、総合病院の高齢患者の多さが勤務医の疲弊を招いてるのでは?
医事課は経営的に患者の囲い込みがしたいでしょうが、
地域のかかりつけDrで対応出来る患者はもっと開業医にフィードバック出来るシステムが必要では?
治療を受ける個人の自由の前に、地域全体の医療体制の充実を図らないと

とかく個人の医療充実を叫ばれるマスコミほかの昨今ですが
日テレの様にジェネリック薬品を悪者し
(ジェネリックの良悪は別として)
国民全体の健保システムをむしろ崩壊させてしまいかねない考え方をはじめ
特に高齢者への対応は改めてもらわないと支えてる逆三角形の人口比の勤労者層には負担ばかり増え続けています
(長々と失礼しまし

投稿: ハッスルカーン | 2008年5月14日 (水) 07時39分

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