家庭での性教育(4)性交をどう教える?私の場合。
Q.4. 性交はなかなか教えられません。
A.4. 子どもはかぶと虫などの虫さんや小さな生き物が大好きです。子供が小さいころから、うちでもずいぶんいろいろと飼いました。かぶと虫、クワガタムシ、ハムスター、十姉妹、せきせいインコ、金魚、うさぎ、そして猫ちゃんなど。
子どもたちは、飼育の本と首っ引きでそれらの育て方を勉強します。えさは何がいいか、お水はどうすればいいのか、中でも、繁殖は大きな興味でした。カブトムシが交尾をすると、卵が生まれる。その卵を大切に育てて、冬を越し、春を終えるころ、沢山のかぶと虫が生まれてくる、子どもたちにとっては、わくわくするような出来事なのですね。
子どもたちが、虫かごを覗き込んで、「交尾せんかいのう、交尾せんかいのう」と言っていました。時には、オスをつかんで、メスの背中に乗っけたりしています。私は、ああ、そうだ、と思いました。交尾によって赤ちゃんがうまれる、これは決していやらしいことではない、子どもにとっては素敵なことなのだ、と。で、そのときに私は、笑いながら言いました。人間もそうなんだよ、交尾で赤ちゃんができるんだよ、と。
子どもたちもあっ、そう、なんて、あっさりしたものでした。
ある日、娘が赤ちゃんをほしがりました。赤ちゃん産んで、二人じゃ少ないと。そして、いったのです。「パパとママ、お願いだから、交尾してっ」と。私は、吹き出しました。だから、言いました。「あのね、虫や動物は、交尾って言うけど、人間だけは交尾とは言わないよ。」と訂正です。「どう言うん?」「あのね、人間はね、性交って言う。英語だと、セックスというよ。」と。
そしたら、子どもたちが目を丸くして言いました。「ああ、セックスって、交尾のことじゃったん。分かった分かった」と。息子が小学4年生。娘が2年生の時です。私は、すでに子どもたちに「セックス」という言葉が入っているのに、あらためて驚きました。何か知らないけれど、何か変な雰囲気のある言葉として、耳に届いていたのですね。
私は性交については、早ければ早いほど教えやすいと思っています。世の中は情報社会。それも、とてもいやらしく興味深い物としての情報が飛び交っている今、まともに正面から、大切なこととして伝えるには、そんな情報が入る前のほうが教えやすいと思っています。それに、そう語った後は、本当に教えたいこと、もっともっと語らなければならないこと、それらを、まっすぐに語ることができるようになりました。
文月さん、息子さんが「どうやって精子を卵子にとどけるん」と聞かれたのですね。そのときには、すでに彼は本を読んで知っているはずなのに。だから、それをそのままに自然に会話をすればいいのです。「あれえ?あなたはもう図書館の本を読んで知っているでしょう?本を読んでもまだ分からないことがあるの?」そう切り返せばよかったのではないでしょうか。彼は、本を読んだだけではまだ分からないことがあったのかも知れません。何か信じられない気持ちだったのかも知れません。それは、その先を聞いて見なければわからないので、だから、そう尋ねてみてほしかったですね。
子どもとの会話の基本は、「性は決していやらしいことではなく、大切なこと」との姿勢をしっかり持つことです。そうして向き合うなら、きっともっと大切な会話がしていけると思うのです。文月さんの場合も、最高のチャンスだったと思うのです、、。
もし、質問をされて答えることがとてもむずかしいのなら、「私は今、どう説明したらいいのか、よく分からないから、だから、何か本を買ってこようね。その本を一緒に読んで調べようね」せめてそのような逃げ方にしてほしいのです。子どもは知りたがっている、知りたがっているものを拒絶するのは、最悪のパターンだと思います。子どもたちは、どこかから、答えを得ようとするのですから。この子はどこから答えを得るのだろうか、と考えたなら、やはり私が頑張ってこたえなければ、そう私は考えて来ました。でも、それは私が医師だからでは決してありません。子育てで子どもと向き合うときは、職業なんて、ホント、関係ないのですから。
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コメント
なるほど、そういう答え方もありますね。
私も子供が小さい頃に、まだ情報が入らないうちにいろいろ教えてきました。おかげで思春期の今も隠さず話ができていますが、こういう話題のとき、冗談なのか本気なのかわからず戸惑います。
やはり、チャンスととらえて正面から向き合うべきですね。もう少し、柔軟な発想が必要なようです。ありがとうございました。
投稿: 文月 | 2008年5月31日 (土) 21時53分