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コラボ(出会い)前夜、太陽の塔

 先日、ある出版社から、団塊の世代、全共闘運動を闘った人の出版を企画しているので、参加をという話が来た。うーん、昔話をするには、まだ若過ぎると思うのだが。しかし、私たちの世代は、まだ人生の終焉ではなく、これから何かをすることもできる、それくらいの余力は有していると思う。そのための参加であるのなら、と思って了承した。どんなものになるかは、またそのうちに。で、今日は私が若かったころのその一部を。

 あのころ、私は、救援対策をしていた。逮捕された学生たちの差し入れ、面会、保釈の申請、保釈金を集めること、親への連絡などが主な活動だった。広島大学の封鎖解除の時などは、大量の逮捕者が出た。一体、何人の学生が逮捕されたのか、それをつかむことも必要であった。あまりに多いので、学生たちは、県内のさまざまな警察署に分散されて留置された。そこへ、電話をする。

「何人がそこにいますでしょうか。」当然、ちゃんと答えてくれない。こちらは、救援対策をしています。学生たちに生活用品の差し入れに行きたいのです。男子用と女子用と、中身が違います。それを用意していきたいのです。と訴えると、たいていの署で答えてもらった。男が何人、女が何人と。そして、それぞれの警察署に行く。紙袋には、代えの下着や、タオル、歯磨きセット、それに女性用には生理用品などを入れてセットをつくっていた。東へ、西へ、北へ、ずいぶん遠くの警察署まで走り回った。

 拘置所も足りなくて、吉島刑務所の中に収容され、臨時の面会所まで作られていた。そして、その多くの広島大学の学生たちの中に、ぜんぜん知らない人が一人まぎれていることがそのうちに分かった。

 彼S君は、北の遠いところから来ていた。そこで、べ平連の活動をしていて、市庁舎の屋上の日の丸を引きずり降ろして焼いて、そして指名手配をされていると。そのまま逃亡して広島まで来たと。で、広大闘争のドサクサの中で、逮捕されたのだった。彼は、その件と広大の件と両方で起訴され、やがて保釈され、裁判を待つ間、広大の学生寮に居候していた。

 私たち救援対策の部屋も寮に構え、そこで忙しくしていた。そんなある日、S君が私に言った。

「Hさん(私の旧姓)ねえ、万博の太陽の塔さあ、あのてっぺんに登ってさあ、そこで「葉隠」を読みながら、死のうと思うんだよ。」と言った。彼は、葉隠にはまっていた。例の「武士道と言ふは、死ぬ事と見つけたり」のあの葉隠だ。「格好いいでしょう。あの万博のあの太陽の塔が最高の舞台だと思うのさ。」と。

 そうして彼の姿は広島から消えた。それから数日後、太陽の塔の目玉に一人の男が座り込んでいる、と大騒ぎになった。彼は、説得にも応じず座り込んでいると。

ああ、やった!!S君だ。彼は死ぬ。あそこで死ぬつもりで行っているんだもの。でも、私にしか言っていないし、だれにも言える事ではないし。でも死なせてはいけないし。どうしよう。でも、本当に彼なのか、それを確かめなければ。

 ここから明日に続きます。明日9日は広島ブログのコラボの日。いつかコラボに参加したいと思っていたけれど、どうも書きたい内容と、日のタイミングがずれていました。今回のお題は「出会い」だそうで、これは、私と夫との出会いをちょっと恥をさらしてでも書かなければ、と思ったのです。でも、どう考えても、一回では書ききれないので、今日からその準備です。

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コメント

懐かしい話しですね。私の同志も逮捕されて東署に抗議に行きました。東京でのデモは激しくて隣の人の手を離すとすぐに引っ張られごぼう抜きにされた人もいました。私も夫も公安から目をつけられてデモをする度に写真を撮られ、結婚して夫の実家に行った時も警察に情報が流れていたそうです。
今日の続きが早く読みたいのですが明日はコラボ参戦ですか。私も毎週楽しんで参加しています。明日が楽しみですね。
ところで、後期高齢者医療制度、私も疑問を持っていましたが弱者は生きているのが辛くなるような制度がバンバン通過していますね。何とかしたいですね。

投稿: 初ちゃん | 2008年4月 8日 (火) 23時43分

コラボ参戦、ありがとうございまーーす。
それも一日早く、続き物で。(笑)
太陽の塔の彼、なつかしいですねえ。
ネタばらしになってはいけませんので、今日はお礼だけにしておきます。
続編を待つShiozyです。

投稿: shiozy | 2008年4月 9日 (水) 07時30分

ここにもドラマがっ!
って実話なんですよね。これまで全共闘運動ってテレビやドラマの「昔のお話」に感じられていたのに、shiozyさんや初ちゃんさんが当時のことを語られるのをきいて、一気に身近になってきていました。
続きが待ち遠しいです。

投稿: | 2008年4月 9日 (水) 10時55分

こんにちは。時々、お邪魔させていただいています。
そして、いつか・・・私の住む市でも、講演をお願いしたいと夢を抱いています。
本日の記事は・・・日ごろと一味違いますね。
最近「死」を望む人の心を思っています。
人生が楽しくない・儚い・辛い・・・いろいろ出てきます。
そして、それらの根底にあるのが「自己肯定観の欠如」ではないかと。
それは・・・幼い、原点時代に・・・誰かの「愛」を感じることができなかったのでは?と。
母親でなくても良い、誰か大人の人に愛して貰って、生きることの喜びを感じることが・・・赤ちゃんが、この世に生を受けて、最初にしなくてはいけないことではないかと。
話が飛躍し過ぎてしまいましたが・・・若い頃に遡ると・・・「生と死」についてついついコメントをしたくなりました。

投稿: さくらこ | 2008年4月 9日 (水) 15時59分

初ちゃんさま
同じ世代ですものね。私も夫とのデートは、ぜーんぶ尾行されていたと、後で聞きました。やましいことは何一つないけれど。ただ、理想に燃えたいい青春だったと思います。後期高齢者医療制度、本当に何とかしなければ。いつもコメントありがとうございます。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2008年4月 9日 (水) 18時07分

shiozyさま
あの時代を生きてきた人たちが、その後あまりにおとなしくて、なんか、何にもしてないような印象すら持っています。これからでも、何かしでかしませんかね。せっかくの団塊の世代なのですから。コラボ、出会いよりも、太陽の塔のほうに力が行ってしまいました。これからもよろしくお願いします。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2008年4月 9日 (水) 18時12分

柿さま
コラボ、初参加させていただきました。ただ出会いを書くだけなのが、ともすればとんでもなく長編になりそうで。また、機会があれば参加させてください。ありがとうございます。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2008年4月 9日 (水) 18時23分

さくらこさま
コメント、ありがとうございます。
そのとおりです。私が取り組んでいる性教育も、「自己肯定感」をいかに形成して成長していくか、が大きなテーマです。私の今日のは、尻すぼみかも知れません。これからもどうぞよろしくお願いします。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2008年4月 9日 (水) 18時25分

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