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「ヴァギナ・モノローグ」続き

 以前、例の「ヴァギナ・モノローグ」のお芝居を見に行って、その中で元弁護士の女性が、女性を喜ばせる職業に転職した、というその演技を見て、みんなが抱腹絶倒したという話を書いた。この水曜日に、その役者をした人にばったりと会ったのだ。私は、思わず「ああっ」と声を上げ、そして「ユーアーアアクトレス、ヴァジャイナ・モノローグ!」といってしまった。そしたら、(以下英語で)見に来てたのか、と聞かれ、ええ、行きましたとも。あなたの演技は、それは面白かった、と。あのお芝居全体はどうだったか、どこが一番面白かったか、とか、いろいろと聞かれて、やっとこさっとこ答えたのだが。

 驚いたのが、彼女は広島の人で、私は東京から来たのだとばかり思っていたのだけれど、それも、YMCAの英語の先生だったのだ。それどころか、あのお芝居にでていた、英語の演技をした人は、皆さん、YMCAの先生だったのだそうだ。それは知らなかった。でも、皆さん、堂々として、まるで役者さんみたいだったのだが。彼女も、それから中心になって語りなどをやっていた、指導役の人も、大学で演劇を学び、そして日本に来ているのだそうだから、さもありなんだった。ひとしきり彼女と話していたその時、まさにその時に、アマゾンに注文していた「ヴァギナ・モノローグ」の日本語訳が届いたのだ。

 うわあ、今来た来た、とその本を見せると、彼女も驚いていた。

 このたび、東京への往復の間にこれを読んだ。そして、英語が聞き取れなかったために芝居を見ただけではわからなかったことが、これで明らかになった。

 この本は、劇作家であるイヴ・エンスラーが200人の女性にインタビューし、劇の台本を書き、彼女自身でブロードウェイでひとり芝居をし、大反響を呼び、オビー賞を受賞。その後も役者は変わりながら、世界各地で上演され続けている。それを、このたび、YMCAの先生たちが中心になって、広島で上演したというわけだ。

 本を読んで、あらためて著者がボスニアに行き、女性たちに会い、そこのレイプ・キャンプで行われていた戦争の中でのレイプについての記述に戦慄を覚えた。

「最初のボスニア行きからニューヨークに戻った私は、怒りではちきれそうになっていた。ヨーロッパのど真ん中で,93年の一年間だけで、二万から七万もの女たちが、軍事的な目的でレイプされたのだ。なのに、誰もそれを止めようとしなかった。それは私の理解を越えていた。ある友達が言った。何を驚くことがあるのよ?アメリカでは毎年五十万人の女がレイプされているのよ。しかもこの国は、いちおう平和っていうことになっているのに。」

(注)レイプ・キャンプ:ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争時、セルビア人側が民族浄化戦略の一環として行ったもの。セルビア人人口を増やす目的で、多くのイスラム教徒の女性が収容所に集められ、妊娠するまでセルビア兵によって繰り返しレイプされた。

 この女性のモノローグは、あまりに悲惨で、ここに記すのははばかられる。

 ただひとつ残念で、このことは、会った役者のYMCAの先生にも言ったのだが、日本の、広島の、ドメスティックバイオレンスにかかわったり、シェルターの仕事やボランティアをしている方たちが来ていなかったこと。その人たちにも見てもらいたかった。でも、たぶん、情宣がされていなかったのだと思う。私だって、見た後で、ことの重大さがはじめてわかったのだから。はじめからわかっていたら、私からも宣伝したのだけれど。これが、返す返すも残念だ。

 それにしても、こんな芝居をみんなでやりましょうと、実現させたYMCAの先生たちにあらためて、感動した次第だ。

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広島ブログ

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コメント

はじめまして。毎日、訪問しては色々考えさせていただいております。セルビアのレイプ・キャンプ、全く知りませんでした。その本を私も読みたいと思います。いつも、ありがとうございます。

投稿: 美代美 | 2008年3月29日 (土) 07時11分

先日はありがとうございました。
先生の力強いお答えで、少し安心しました。

名前は犬の名前です。(すみません)

YMCAの先生方はこういった取り組みをされてるんですね!(すごい!素晴らしい!)
私は29年生きてきた中で、「お芝居」というものを見たことがなくて(チケットを取る段階で躓きます)

先生が読まれた本の中身は、壮絶なお話ですよね!
戦争の時だけではなく、今もその行為が行われてる。「そんなの当たり前のこと」と言った方の言葉は…
諦めではなく、悲しみに聞こえました。

どうしようと思っても、どうしようもできない悲しさ
そんな感じに思えました。

日本だって「慰安婦」として、別の国の女性に対して
ひどい事をしていた事実。
同じ女性として、本当にやるせない気持ちになります。

投稿: 鯉太郎 | 2008年3月29日 (土) 13時23分

美代美さま
コメントありがとうございます。ぜひ読んでください。いろいろなことがわかってくる本だと思います。特に、難しいわけでなく、楽しいこともいっぱいあります。私も、この本を読んで演じたくなりましたよ。
河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2008年3月29日 (土) 21時56分

鯉太郎さま
引き続いてのコメント、ありがとうございます。
本当に女性の歴史を見ると、胸が痛くなることがいっぱいあります。それらをちゃんと見据えることも、これからの平和を考えるのに必要なことだとおもいました。それから、お芝居、生身の人間の演技を見るのは、感動ものですよ。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2008年3月29日 (土) 22時00分

 劇の当日、セリフの確認の御手伝いをさせていただいた者です。ボスニアで行なわれたこの悲劇については、ちょうど今、サロンシネマで上映されている『サラエボの花』で描かれていました。本当に深く心に突き刺さる映画でした。公式サイトは↓にあります。
http://www.saraebono-hana.com/
 すでに御覧になっておられたら御免なさい。

投稿: しばいぬ | 2008年4月21日 (月) 22時12分

しばいぬさま
その節は、大変ありがとうございました。おかげさまでよく理解することができました。あの観劇は、わたしにとってとても衝撃で、かつ楽しいものでした。それにしてもあのサラエボの件、誰もが知るべきことですね。つい最近こんなことが起こっていたなんて。映画、見たい!見なければ!でも時間がない、ジレンマです。ありがとうございました。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2008年4月22日 (火) 18時05分

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