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産婦人科医なのに内科も診ます?

 私はずっと産婦人科医であるが、実は開業する時の県への届け出は、「産婦人科・内科」としている。

 大学病院時代、二人のこどもの保育料が、大学から戴く給料の二倍かかっていた。そして、夫の大病。家計がどうにもならなくなった時、教授の手配で、今の東広島の開業医の先生の所に週1~2回、アルバイトに行かせていただいた。そこは先生が急病で、急遽誰か医師がかわりをしないと、住民がとても困ることになっていた。廻りにドクターがほとんどいないし、まして産婦人科はない。で、教室に依頼があったものだった。産婦人科かと思って行ったら、とんでもない。いわゆる田舎の何でも見る医者の典型だった。

 老若男女何でも来る。風邪引きや食あたりなんて当たり前。高血圧、心臓病、耳鼻科、眼科、そして小児科。膝が痛い人も、けが人も。手の指の爪の病気や、もう、ありとあらゆるものが。このような患者さんの間に妊婦さんがやって来る。そして、お産もあるし、中絶もあるし、帝王切開も。虫垂炎の手術も。ほとんどそこで治療をする。どうにもならない人だけ、どこかの病院に手配をする。寝たきりのお年寄りが多い地域。先生は、往診もされていた。地域にしっかり根付き、そして、地域の人たちから慕われる温厚なお人柄の先生だった。

 そこに何年も通うことが出来て、私は、いなかの何でも診る医者の、おもしろさと大変さを知った。私自身も地域の人や病院のスタッフとも仲良くなるし、そして先生が病が癒えても、続いて行くことが出来た。肺炎の方の聴診、レントゲン写真の読み方、小児の風疹、はしか、手足口病、水疱瘡、自家中毒、さらには、お年寄りの膝にたまった液を注射針で抜いたり、膿がたまった手の指の爪を抜く方法、その麻酔の方法、けんかで頭から血がどくどくと流れている人の縫合などなど、産婦人科だけにいては、決して学べない数々のことを学ばせていただいた。

 そこでの経験は、本当にこれまでの私自身の医療活動に、どれだけ役に立っていることか。もっとも、今のように、医療が細分化される前のことだから、できたことかも知れない。そもそも、私たちの時代は、入局するとまず末期癌の患者さんの主治医とさせられた。それはそれはありとあらゆる全身の管理が必要となる。肝臓や腎臓や、貧血や、皮膚科や。食事が取れない方の栄養や電解質のバランスを整えること。そのような患者さんのケアをすることで、全身の管理を学んだ。さまざまな科のドクターの所に行き、教えを請うた。産科では、糖尿病の方や甲状腺の病気の方、血液の病気の方等のお産では、必死でそれらの病気の勉強をした。

  それに、開業してからも、妊婦さんといえども、風邪も引くし食あたりにもなる。胃潰瘍にも虫垂炎にもなる。それらの妊婦さんを、妊娠に差し障らないようなお薬を選び治療する。または、早くに見つけて、専門医に紹介をする、それらの能力が必要となる。

 だから、ご夫婦で私のクリニックに来ては点滴をして帰る方もあるし、高脂血症で私の所で定期的な検査と食事指導とお薬の処方箋を持って帰る人も。また、高血圧の人や神経症の人も。もっとも、私の判断で、私ではいけないと思った人は、専門医に回っていただく。いわゆるプライマリーケアの範囲で男性でも女性でも当方で見させていただいている。

 そういう意味の内科の表示だ。だから、今日shiozyさんが来られても、何の違和感もなく、私もスタッフも対応した。ただ、ファンのスタッフはそわそわと「サインをしてもらいたい」等と言ってはいたが。くどいようだが、私の診られる範囲で、専門医に繋ぐ役割のつもりで、対応させていただきます。

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コメント

本日はありがとうございました。
アドバイスいただいた薬剤のお風呂に入って、肌はつやつやです。
ブログで勝手に「かかりつけ医」にしてしまいました。(汗
これまで「産婦人科医」のハードルが高くて、相談に伺えませんでしたが、これからは大手を振って相談に参りたいと思います。
Shiozyの駆け込み寺をよろしくです。

投稿: shiozy | 2008年2月13日 (水) 22時43分

かかりつけ医って本当に必要ですね。特に年齢がかさむと、どんな人もあちこちと故障が・・。そんな時にどこに行ってよいか本当にわかりません。shiozyさんが羨ましいです。特に私のように、婦人科の疾患もありの膵臓もありのだと、常に2箇所は大変なんです。外科のお医者さんは切って5年もたったら「はい。完治です」で先日終わってしまいました。
でも、まだ時々お腹が・・・。手術をすれば仕方ないと言われましたが、それでも不安です。
そんな時に、かかりつけ医が居たらどんなに安心かと。常に探すのですが、なかなかしっくりとはこないんですよね。河野先生、息子さんも娘さんも、東京なんですよね。(^○^)
引越て頂けたら・・(^人^)。東京分院でも。お孫さんにもいずれ会えることですし、近い方が・・。(広島の方に恨まれそうですが)

投稿: どらみ | 2008年2月14日 (木) 09時35分

昨日は暖かい伝言をありがとうございました。
読ませていただき想像すると、とても私には耐えられないだろうなという厳しい現状が思い浮かんできました。それを続けてこられたということは、その分だけ、大変なことも背負われたと思います。まだまだ、悩んで修行中の身としては、学ばせていただいていますとしか言えません。

投稿: しゅんぼうママ | 2008年2月14日 (木) 19時18分

shiozyさま
来て戴いて、こちらこそありがとうございました。スタッフのみんなもよろこんでいました。どうぞ、これからも遠慮なしに使ってください。往診もO.K.ですよ。廿日市にも往診に行っていますし。緊急の時にはどうぞご連絡を!五十肩、まだまだ痛そうで、気の毒でした。体のかいかいは少しはいいでしょうか。またご連絡下さい。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2008年2月15日 (金) 01時39分

どらみさま
引き続きのコメント、ありがとうございます。そうだったんだ。今日のコメントを読んで、やっと気づきました。お元気でいらっしゃいますね。うーん、もうこれからは東京は無理な話。どうぞ、お近くでどなたかドクターを捜してくださいね。広島にお帰りの節は、どうぞ覗いてくださいませ。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2008年2月15日 (金) 01時43分

しゅんぼうママさま
私、しゅんぼうママのブログを読む度にこどもが小さかった時のことを思い出します。それも、いつも胸の痛みを伴って。子育てをするということは、どれだけ一生懸命やっても、いつも痛みを伴うもの。それが親だと今、思っています。頑張ってくださいね。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2008年2月15日 (金) 01時48分

年末先生に頂いたお薬のおかげで、
もう微熱が続いたりというような変調はありません。
ありがとうございます♪
でも、この間の寒い朝、34.8℃という表示を見て、
おお、やっぱり私は変温動物になったのかという想いを一層強くしました(笑)。
冬眠一歩手前?
やっぱりまだお薬頂き続けた方がいいでしょうか・・・?

なぜこんなことを書くかというと、
元気な時には先生にお会いできなくて寂しいからです。
元気が一番なのはよくわかっているのですが・・・^^;
本音を言えば、風邪でもなんでも先生のところに伺いたいくらいですが、
そんなことでお忙しい先生のお時間を割いて頂くのは申し訳ないし。

という訳で、元気な時は
こちらの方にせっせと通わせていただきます(*^_^*)

投稿: Hoch | 2008年2月15日 (金) 12時23分

Hochさま
はは、病院というのは、具合が悪い時に来る所だから、通わなくっていいというのは、喜ばしいことなのですよね。もし、また何かあればどうぞ、いつでもいらっして下さいね。ブログ、これからもどうぞよろしくお願いします。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2008年2月18日 (月) 02時20分

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